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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第23章 呪いの対策をしながら生きていこう

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478.事なかれ主義者は人形を作った

 お昼ご飯を食べ終えた後は特にする事がない。

 皆がいたら何かしら一緒にして過ごしていたけど、今は室内にジュリウスとムサシ、それからドライアドたちくらいしかいなかった。

 特にする事もないのでムサシから最近の事を聞いている。


「議長として会議に参加してるんだよね? どんな話をしているの?」

「そうでござるな。以前までは国同士の話し合いの場に同席をしてほしいと言われる事が多かったでござるが、最近は蔓延している呪いに対してどうするか、という話をしているでござるよ。転移門で繋がっている都市以外にも広がりを見せつつあるみたいでござる」

「こっちでは呪われた人たちはどうしてるの?」

「国際連合があるのを活かして情報共有や物資のやり取りはしているでござるが、足りないものだらけでござる。『身代わりのお守り』の廉価版でもできないかとクロトーネ王国の研究機関で研究を進めているでござるが、芳しくないようでござるなぁ。代替案として、クロトーネ王国ではゴーレムや魔法生物に看護をさせているそうでござるよ。ただ、それらを操る魔法使いも不足しているでござるから、他の国では軽症者に重症者を看護してもらっている所もあるみたいでござる。治療をするためのエリクサーはもちろん足りないでござるが、軽症者のための上級ポーションの供給も追いつかなくなってきているでござる。【聖女】の加護を持っている者を各国が複数人抱えているでござるが、万が一の事を考えて治療には当たらせてないようでござる」


 なるほど、国際連合という組織が既に出来上がっているクレストラ大陸でも他の大陸と同じような状況か。

 シグニール大陸や、ミスティア大陸で行う事の参考になる事がないかと思ったけど……ん?


「……患者を誰に看病させてるって言った?」

「魔法生物やゴーレムでござるよ。あとは一部の国では軽症者にさせているでござる」

「魔法生物やゴーレムには呪いの影響はないの?」

「まだ一ヵ月も経っていないから分からぬでござるが……ゴーレムの操縦者や魔法生物の制作者に持たされている『身代わりのお守り』に影響はないでござるから大丈夫だと思うでござるよ」

「なるほど……。看護者用の『身代わりのお守り』を作るより、人間のお世話をしてくれるロボットみたいなものの方が確かにいいよね。そっちなら廉価版でもいいからつくれるかもしれないし……。自壊機能を設けるかは悩みどころだけど、とりあえず作ってみるか。魔力残量的に行けるかな。ジュリウス!」

「ハッ」


 僕が求めたらすぐにジュリウスはスッとアイテムバッグを差し出してきた。

 僕はアイテムバッグの中に手を突っ込んで、中からいくつか木材を取り出した。

 ホムンクルスのように意思が生まれてしまうと困るので、命令に忠実で自我がない物を想像する。……うん、やっぱりゴーレム系だよね。

 前世の知識を頼りに、【加工】を用いてマネキンのような物を作り上げた。魔法陣を刻むのは背中側が良いだろうか、お腹側が良いだろうか……どっちでもいいか。

 一先ず背中側に【付与】を使って魔法陣を刻んだ。

 魔力残量的に次何かを作ったら倒れるのが分かっているので、自壊機能は今回は付与をせずに終わった。


「ジュリウス、ちょっと試してもらっていい? 自律式じゃなくて遠隔操作式になったっぽいから、魔法陣に手を置いて魔力を流せば動かせると思う」

「かしこまりました」


 ジュリウスは、僕の背丈と同じくらいの大きさのマネキンの背後に回り込むと、背中に手を置いて魔力を流し込んだ。魔法陣が淡く輝き始め、魔力を流し込まれ続けると輝きが増していく。


「ひとまずこの程度にしておきましょう」


 ジュリウスが魔法陣から手を放すと、マネキンがぴくっと動いた。

 ムサシとドライアドたちと一緒に様子を見守っているとゆっくりとだけど歩き始めた。


「随分と動きが滑らかでござるな。関節部分を球体にしているからでござるか?」

「んー、たぶん?」


 以前見かけたデッサン用のマネキン? は関節部分が球体だった気がしたので、試しに作ってみたけど問題ないようだ。

 普通のゴーレムはもうちょっと動きが鈍くなるらしいけど、僕が作ったマネキン……というか、ウッドゴーレムは指の部分も凝って作ったので細かな作業が出来そうだ。

 ジュリウスがアイテムバッグから色々出して持たせているが、あまりにも重たい物は持ち上げられないようだけど、看病するだけだったら人一人持ち上げる事ができれば十分だ。

 強いて改善点をあげるとすれば、持ち上げられた時に感触が固かった事とヒンヤリしている事だろうか。

 ただ、今は量産する事が大事だからこのままでいいだろう。

 そんな事を思いながらウッドゴーレムにお姫様抱っこされていると、何やら白い鳥が飛んできた。


「クロトーネ王国の使い魔でござるよ」


 見慣れているのか、ドライアドたちも世界樹の枝の上にいるフクちゃんも何もしないが、ジーッと注目が集まっている。

 ムサシが白い鳥が足で持っていた筒を受け取ると、逃げるように飛び去ってしまった。

 その様子をドライアドたちと一緒に見送っている間に、ムサシは筒の中から書簡を取り出して読んでいた。

 その表情が険しくなったので、あんまりいい内容ではなかったようだ。


「何が書かれてたの?」

「一部の国で、上級ポーションを与えていたのにも関わらず軽症者が重症化したようでござる」

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