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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第23章 呪いの対策をしながら生きていこう

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475.事なかれ主義者はとりあえず量産した

 ミスティア大陸からシグニール大陸に戻ってきて数日が経った。

 戻ってきたその日に、ドラゴニア王国の王都で呪いと思われる症状が出た者が現われたとセシリアさん経由でリヴァイさんたちから連絡が入ったけど、下手人である邪神の信奉者は未だに見つける事ができていないようだ。

 邪神の信奉者を国を挙げて探しているのに見つからず、それでもどんどん呪われる者は増えていく。

 捜索に当たっていた兵士も気づかない内に呪われているという事で療養のために捜索から離れる者が増加しているそうだ。

 同じタイミングで、他の国々でも同じような呪いが拡がっていると報告があった。

 そのほとんどが転移門がある首都や都市だったので、転移門を悪用されているのではないか、と思う人もいたようだけど、門番全員に『鑑定眼鏡』を貸し出している。

 彼らが買収されてなければ、邪神の加護を持った者は転移門を利用していないはずだ。

 朝ご飯を食べ終えた後にのんびりとお茶を飲みながらどうした物かと考えていると、アイテムバッグの中を確認していたレヴィさんが一通の手紙を取り出した。


「ムサシからの報告書がアイテムバッグに入っていたのですわ」

「なんて書いてあるの?」

「………クレストラ大陸に設置してある門番たちの聞き取りが終わったみたいですわ。やっぱり、誰一人嘘をついておらず、本音を語っていたらしいですわ」

「そっか……じゃあ、『鑑定眼鏡』で見つける事ができないように加護とか魔法を使ってるのかな?」

「その可能性もあるのですわ」


 困った様に眉を八の字にさせながらレヴィさんは頷いた。

 呪いが広まっている事もあり、余計に外に出る事もなくなったので今日もオーバーオールを着ていた。

 お腹は……まだ膨らんでないかな? 体調は良好なようで、本当に妊娠しているのか疑問に感じるけど、他の人がしているというのだからそうなんだろう。

 ……あとでお腹に耳を当てさせてもらおうかな? まだ心音とか聞こえないかなぁ?

 うーん、と首を捻っていると、レヴィさんの正面に座っている女性が口を開いた。

 シグニール大陸にあるガレオールという国の女王であるランチェッタさんだ。

 小柄だけどレヴィさんに匹敵するほどの規格外の大きさの胸を持っている女性で、露出の少ない服を着ていてもその膨らみを隠しきる事は出来ていない。露になっている肌は、ドラゴニアでは珍しい健康的に焼けた褐色の肌だった。


「こっちの転移門の門番の聞き取りも済ませたけれど、クレストラ大陸と同じだったわ。ユグドラシル出身のエルフたちだったから、シズトに対する忠誠心は高いから心配はしていなかったけど……そうなるとどうやって呪いが広まってしまっているのかが分からないのよね。もし仮に各国の街それぞれに邪神の信奉者を送り込んでいるとしたら、どこかで見つかっていてもおかしくないでしょうし、なにより転移門があるところだけをピンポイントで潜ませる理由が分からないわ」

「荷物に紛れて移動している……とか?」

「その可能性も考慮したけど、門をくぐる時に荷物検査を行うからそれはないと思うわ。魔力探知にひっかからなかったとしても、目視で確認すると思うし」

「臭いでも怪しい荷物がないか確認するように伝えております」


 灰色の髪を指で弄りながら考えを述べたランチェッタさんに続いて口を開いたのは、壁際に控えていたジュリウスだった。

 ユグドラシルの世界樹の番人たちのリーダーであり、僕専属の護衛みたいな立場になっているエルフだ。

 僕の身辺警護をしつつ、エルフたちをまとめてくれてもいる。

 そんなジュリウスが言うには、門を通る馬車には『看破』の魔法をかけた上で魔力探知をしつつ、五感をフル活用して変なものが混じっていないか確認しているらしい。


「相手がどのように呪ってきているのか分からない以上、一先ず呪われた人を治していくしかないのですわ」

「軽症者には上級ポーションを与えているけど、回復していっているみたいよ。ほとんどが軽症者で、一部の者しか重症化していないのが幸いね」


 ランチェッタさん曰く、数日しか見ていないので今後どうなるかは分からないけど、しばらくは上級ポーションを与えておけば問題ないらしい。


「重症化した人はどうしてるの?」

「上級ポーションや解熱作用やら鎮痛作用のある薬草を煎じて与えているわ。ただ、それは治すためというよりは苦痛を和らげるためね。エリクサーを使えば治るみたいだけど、庶民ばかりだからその後の事を考えるとおいそれとはね……」

「治っても、エリクサーの代金なんて払えるわけがないから、奴隷になってしまうのですわ。もちろん、上級ポーションですら払うことが出来ない人もいるでしょうけど、エリクサーよりはましですわね」

「それに、エリクサーにも数に限りがあるでしょう? 変わらず王侯貴族や大商人はエリクサーを求めるのに庶民に優先的に回した、と知られたら快く思わない者も一定数出てくるでしょうね」


 それに、呪いが広まり続けている現状で、エリクサーを求める人はより増えるだろう、との事だ。

 どうしたものか……と考えていても答えが出てくる事はなく、ランチェッタさんはお城に戻っていった。

 ラオさんたちも念のため外に出るのを控えて屋敷の中で過ごす、との事だったので世界樹のお世話を済ませた後は皆でのんびり過ごした。

 そうしてお昼ご飯の時間になった頃、ライデンから再び手紙が来た。

 どうやら、呪いの治療をしている建物の中で、看護をしていた者が持っていた『身代わりのお守り』が反応したらしい。

 即座に建物の出入りを禁止したうえでライデンが確認をしに行ったみたいだけど、邪神の加護を持った者は見つける事ができなかったようだ。

 ……とりあえず、『身代わりのお守り』を多めに作っておこう。

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