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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第22章 安全第一で生きていこう

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469.事なかれ主義者はすっかり忘れていた

 知識神の教会の方との会談も無事に終わり、残りの細かな交渉はホムラとユキに任せる事になった。

 こちらの国との接点はまだないから転移門は求められる事はないだろうけど、どうせいつかは求められるのなら作っておいた方がいいのだろうか。

 そんな事を思いつつ森を進んでいくと、転移陣の上で微睡んでいるドライアドを発見した。なんか人数が増えていて転移陣の上にぎゅうぎゅうと密集している。


「どの子が欠片を持ってる子だったっけ……?」

「起こして聞きゃいいだろ」

「なんか申し訳なくない?」

「下手に手を出して騒ぎになるよりはいいだろ」


 ラオさんが端っこの方で眠っていたドライアドに声をかけた。しばらく声をかけているけど、起きる気配がない。

 僕もラオさんの隣にしゃがんで、ドライアドに「起きて~」と声をかけて見たけど、「むり~」という寝言が帰ってくるだけだ。

 …………寝言か、これ? 狸寝入りってやつなんじゃないだろうか、と思いつつドライアドの一人のほっぺたをぷにっと突いてみると、寝ていたドライアドたちが一斉にパチッと目を覚まして僕に視線が集中した。


「えっと……向こうに転移したいんだけど……」

「人間さん?」

「人間さんかな?」

「人間さんだね」

「神様をたくさん感じる人間さんだ」

「じゃあ問題ない?」

「問題ないんじゃない?」

「向こうの子たち起きてるかなぁ?」

「寝てる子もいるけど、起きてる子もいるよ」


 ドライアドたちがそれぞれ話し始めた。一斉に視線を向けられた時はびっくりしたけど、特に何事も問題ないようだ。


「アタシらはしない方がいいかもな」

「なぜデスか?」

「ドライアドたちに認識されてねぇかもしれねぇからだよ」

「一瞬空気がピリッとしたじゃん」

「そうデスか?」

「そうよ。だからパメラちゃん、面白そうだからって突いちゃダメよ」

「パメラが覚えてられると思えないじゃん」

「それよりドライアドたちにアタシらの事を覚えてもらう方が早いかもしれねぇな」

「二人と違って私たちは加護はないじゃん」

「でもパメラちゃんには翼があるし、シンシーラちゃんには尻尾があるでしょ?」

「そこで判断されたらだいぶ緩くなるぞ。向こうの奴隷たちと同じで何か共通の身に着ける物を作った方が手っ取り早いんじゃねぇか?」

「それもそうね」


 ラオさんたちがパメラを捕獲した状態で話をしている間に向こうのドライアドたちが準備を終えて呉れた様で、転移陣の魔法陣から淡い光が漏れ始めた。

 とりあえず向こうに転移しよう、という事で周囲を警戒していたエルフたちよりも先に向こうに行く。

 転移陣から皆が降りると、再び魔法陣が淡い光を出し始めた。


「同じ身に着けてる物でいいんだったら結婚指輪でいいんじゃない?」


 それを見ながらさっき思いついた事をラオさんに聞いてみたけど、ラオさんは首を横に振った。


「それだと、アタシら以外が判別されねぇだろ。それこそ今向こうに置き去りになっているエルフたちとかな」

「でもこの転移陣を使うのって僕たちが街に行く時くらいだよね? 大体誰かはいるんじゃない?」

「……イルミンスールの者たちが普段使いをしないのであれば問題ないかと。それに、身体強化を使えばこの程度の森はすぐに抜ける事も出来ますから、わざわざ転移陣を使う必要性もないでしょう」

「それはアタシらも同じ事が言えるんだけどな」


 ラオさんがなんか言っていたけど、話の流れを見守っていたジュリウスの一言で、とりあえず結婚指輪を覚えてもらうという事になった。

 既製品ではなく、オーダーメイドで作ってもらった指輪であれば多分大丈夫だろう。

 とりあえず古株の向日葵ちゃんに覚えてもらう事になったので、ラオさんたちにはドラゴンさんの方に行ってもらい、その間に僕はジュリウスを連れて世界樹イルミンスールの方へと歩いて向かった。




 世界樹のお世話を済ませた後、余った魔力を使って、せっせと『身代わりのお守り』を量産した。知の教会の方から優先して作って欲しいと言われたからそれに専念しているけど、『加護封じの流星錘』や『鑑定眼鏡』の改良案が思いついていないからというのもある。


「使用者を制限できたらいいんだけどね」

「指定じゃ駄目なのか?」


 せっせと魔道具を量産している近くで僕の様子をジッと見ていたラオさんが不思議そうに尋ねてきた。

 彼女は自身の指にはめられている魔道具『帰還の指輪』を指差して「これを押し付けて来た時に使用者の指定をしたって言ってただろ?」と不思議そうに尋ねた。


「……なるほど。確かにそれはありかも?」


 制限しなくちゃ、ってばっか考えてたから忘れてたけど確かに『帰還の指輪』の中でも最初の方に作ったやつは使用者の指定をしていたわ!

 試しにイメージしてみたら簡単にできた。どうやら特定の条件に当てはまる人だけ使えるようにする便利な物はないけど、一人だけだったらできるようだ。

 元々ある効果に付け加えて使用者の指定も付与するからか分からないけど、普通の物よりも魔力の消耗が激しかったから予定の数は作れなかった。

 ただ、これで悪用される心配はこれでほとんどなくなるんじゃないだろうか?

 あるとすれば、魔力込める前の未使用の物を盗まれるくらいだけど……また追々考えよう。

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[一言] 700話達成おめでとうございます。
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