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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第22章 安全第一で生きていこう

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467.事なかれ主義者は紅茶を飲みながら待った

 ホムラとデートをした翌朝は、いつもの時間にパチッと目が覚めた。

 一人用なのに無駄に大きな寝具から出て、エルフたちの正装である白の布に金色の蔦の刺繍が施されている服を着た。

 自分用のテントから外に出ると、ホムラとユキがテントの前で待っていた。二人ともいつもの魔法使い然とした格好だ。


「おはようございます、マスター」

「おはよう、ご主人様」

「二人ともおはよう。朝ご飯の準備は?」

「アイテムバッグの中に料理が入っているのを確認しました、マスター」

「いつでも準備できるわ、ご主人様」

「じゃあ、冷めないうちにさっさと食べようか」


 エミリーたちが作ってくれたであろう食事はアイテムバッグに入れてもらっている。

 アイテムバッグに時間停止機能があれば、入れた時のままの状態で保存できるんだけど、残念ながら思いつく事がないのでそういう物は作れないんだろう。

 テントの外に出る際に靴に履き替える。魔物の皮で作られたその革靴は、靴紐がなくてローファーみたいな見た目をしている。……ていうか、ローファーか。

 とても軽くて歩きやすいから重宝しているんだけど……世界樹の使徒として会談する時にこの靴でいいんだろうか……?

 あんまり深く考えた事がなかったけど、今まで注意されてないし、まあいいか。

 テントの外に出ると皆から口々に「おはよう」と挨拶をされたのでそれぞれに返し、朝食を食べるために置かれたままの椅子に腰かけた。

 料理を並べるのは皆が手分けして手早く終わらせて、すぐに食事となった。

 食前の挨拶をすると、各々のスピードで食事を進めるけど、やっぱりラオさんとルウさんは段違いに早い。パメラとシンシーラも冒険者だからだろうか。僕よりも早く食べ終わっている事が多いし、今日もそうなるだろう。

 僕の近くに座っているホムラとユキは僕と同じ早さで食事をしているけど、口の周りが大惨事になるから拭ってあげる。

 これはきっとわざとやっているんだろうな、と思いつつも魔道具店関係で他の人よりも関わる機会が少ないから黙って口を拭ってあげている。

 ホムラの後にユキの口元も拭ったと事で、後ろ控えていたジュリウスが口を開いた。


「知の教会の方々のボディチェックと加護の最終チェックを終えました。いつでもお会いする事ができますが、食事後すぐでよろしかったでしょうか?」

「んー………そうだね。魔力は万が一の時のために温存しておきたいし、世界樹の世話は後回しにしようかな。食事が終わって、皆の準備が出来次第行こうか」

「かしこまりました。転移陣の準備をさせておきます」

「よろしくね」


 ジュリウスがドラゴンさんの上で日向ぼっこをしている向日葵ちゃんに話しかけるために離れて行った。

 禁足地を歩いて行き来するのが面倒になったので、組み立て式の転移陣を設置したんだけど、その管理はドライアドたちにしてもらっている。普段使わない時は、使えないように一部分を取り外して保管しているので、悪用される心配は少ないだろう。ゼロとは言い切れないから転移陣の周辺の警備も厳重にしているし、罠も設置しているけど。


「知の教会の人と会談した後は何をするのかしら?」


 食事を終えたルウさんが、装備のチェックをしながら尋ねてきた。

 ラオさんも彼女の正面の席に座っているけど、同じように武器や防具の点検をしている。

 命を預ける道具だからと暇があればメンテナンスをしているけど、やっぱりそういう日々の積み重ねが大事なんだろうな、と見てて思う。僕は魔道具頼りになってそういうのを疎かにしてしまいそうだ。


「どのくらいかかるか分かんないけど、こっちに戻ってきたら世界樹のお世話をして、必要な魔道具を作ったらその後はのんびりかな」

「街の散策がしたいデス!」

「パメラ! 口に物を入れたまま喋るなじゃん!」


 口に入っていた物が飛んだのだろう。シンシーラが注意をすると、パメラはごっくんと口に入っていた物をすべて飲み込んでからまた「お外に行きたいデス!」と主張し始めた。


「それもありかもしれないわね。地図を一通り頭に入れたけど、実際に見た方がどこに何があるか頭に入るでしょうし、シンシーラちゃんはまだデートの権利を使ってないから。もうしたい事は決まったのかしら?」

「……一応決まったじゃん」

「イルミンスールでもできそうな事かしら?」

「問題ないと思うじゃん」

「そう。じゃあ、シズトくんさえよければ、魔道具作りが終わった後は自由時間にしましょ? 昨日は私たち南側に行ったから、今度は北側を回りたいんだけど……問題ないかしら?」

「問題ないじゃん」

「そうと決まれば早く朝ご飯を食べて、知の教会の人と会うデスよ!」


 早くご飯を食べろと急かし始めたパメラだったけど、にゅっとドラゴンさんが首を伸ばして『儂の肉はどうなるんだ?』と尋ねてきた。

 ドラゴンさんのお肉はイルミンスールのエルフたちが僕たちの食事の後に用意する事になっているけど、そうなると護衛が減る。相手の出方が分からない以上、護衛の人数は多ければ多いほどいいだろう。


「ドラゴンさんの食事が終わってから出発で」


 ドラゴンさんが食べるお肉は結構分厚いから火が通るまで時間がかかる。

 もう少し薄くしたら楽になるんじゃないか、とか火の精霊に協力してもらうとかいろいろ試行錯誤してくれているみたいだけど、どうしても時間がかかる。

 僕が食事を終える頃になってやっと一枚目をモグモグと味わっているドラゴンさんだったけど、「早く食べ終えるデス!」とパメラがピーチクパーチク騒いでいるけドラゴンさんは気にした様子もなくのんびり咀嚼しながら、二枚目が焼けるのを待っていた。


「ちょっと赤みが残っていた方が美味しいデス!」

『儂はこんがり焼いた方が好みなんじゃが……』

「いつもの事になりそうだし、何か対策考えた方がいいかなぁ」

「別にいいんじゃねぇか? 騒いでいるのはパメラくらいだし」

「食後、こうやってゆっくりお話しする時間があるとお姉ちゃんは嬉しいわ」

「同感じゃん。パメラはちょっと落ち着くのを覚えた方がいいじゃん」

「それは……難しいんじゃないかなぁ」


 気にした様子もない三人と一緒に食後のティータイムを楽しみつつ、ドラゴンさんとパメラのやり取りを見守るのだった。

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