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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第22章 安全第一で生きていこう

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460.事なかれ主義者は暇つぶし用に頑張って思い出した

 タカノリさんとの交渉は当初の予定通りの形でまとまった。

 魔道具は『身代わりのお守り』等の消耗品を除き、基本的にレンタルで一定額を貰う事になった。『鑑定眼鏡』も『加護封じの流星錘』も使い方によってはちょっと問題になるかもしれないし。

 まあ、流星錘の場合は加護を持っていない人相手だとただの武器だし、加護持ちでも場合によってはそこまで影響が出ないらしいから。

 僕や邪神の信奉者たちのように魔法で代替えできないような加護だと、特殊能力を封じられて大変だけど、ラオさんやルウさんは加護を封じられても身体強化などである程度戦えてしまうから加護が封じられた程度じゃ困る事はないんだとか。それにある程度だったら避ける事ができるらしい。僕には無理だと思う。

 確実に相手を行動不能にさせるんだったら、『安眠カバー』に付与したり、簡単に外せないように鉛玉みたいな物に付与して相手の体に打ち込む形式にしたりすればいいんだけど、悪用される可能性も考慮して今回の魔道具をレンタルする事で落ち着いた。

 ………試作した魔道具たちはまた人知れずアイテムバッグの肥やしになるのだろう。


「それでは、私はこれで失礼します」

「次回会う時には『鑑定眼鏡』の扱いなど決める事ができるといいですね」

「そうですね。ただ、こればかりは私の一存で決める事はできませんから」


 知識の神の教会は、王侯貴族の加護を見る際に一定額のお金を寄付してもらう対価に、鑑定をしていたらしい。

 そうなると、『鑑定眼鏡』の今後の取り扱いが問題になってくるわけで、タカノリさんにどうするか聞いたら返事は保留になってしまった。

 個人的には広めちゃって邪神の加護を持っているか分かるようにした方がいいんじゃないかと思ったけど、加護持ちである事を隠したい人の加護まで暴いてしまう問題もあるし、知識神の教会との兼ね合いもあるので、タカノリさんたちがレンタルした『鑑定眼鏡』以外はしばらくの間、僕たちだけで使う事になった。

 こんなに要望が通ったのは、おそらくタカノリさんがだいぶこちらに譲歩してくれているからだろう。

 僕はお世辞にも交渉上手なんて言えないしね。

 去っていくタカノリさんを見送り、僕たちも世界樹の根元へと戻るために森に戻る。


「交渉が上手くいって良かったじゃん」


 上機嫌で歩いていると、僕の隣に近寄ってきたシンシーラが口元を綻ばせながらそう言った。


「そうだね。これでイルミンスールの安全をより早く確保できるかもね」

「そしたら街に行くデス! 森の中は暇でしょうがないデスよ!」

「だから向こうに残ってた方がいいんじゃない? って聞いたでしょ。それでもパメラが『面白そうだからついて行くデス!』って言って聞かなかったんじゃん」

「自業自得じゃん」


 しょんぼりするパメラだったけど、ここは心を鬼にしなくちゃいけない場面だ。

 万が一、街の方へと遊びに言ったパメラが呪われて帰ってきたら後悔するだろうから。

 本当は世界樹の番人である護衛のエルフたちも向かわせたくないんだけど……。


「街の探索に向かわせるのは決定事項ですから」


 前を歩いているジュリウスに視線を向けると、彼は僕の視線に気づき、首を振った。まだ読心の魔道具を起動しているようだ。


「安全確保という点においていえば、クー様とドライアドたち、それからエンシェントツリードラゴンがいれば十分です。万が一の時のために人員を残すとしてもそれは奥方様たちだけで十分でしょう。もう数日様子を見て特に何事もなければ過剰な人員配置を止めて、街の探索に充てます。私も探索班に加わりたいところですが、番人たちはシズト様の近くにいて欲しいと考えているようですので、残る事になるでしょう」


 ジュリウスの……というか、エルフたちの意思は固いようだ。

 どうやら僕に自由に過ごしてほしいという思いもあるみたいで、禁足地に引き籠っている現状をよく思っていないみたい。

 それはイルミンスールのエルフたちも同様で、彼らは一足早く今日から魔道具『鑑定眼鏡』をかけて街に向かうらしい。

 話を聞いていたパメラが、ジュリウスの近くに走り寄った。


「それが終わったら街に行ってもいいデスか!」

「そうですね」

「いつくらいになりそうデスか?」

「一週間から二週間くらいでしょうか。どうやら街だけでもかなりの広さになるようなので」

「そんなにデスか!? 暇すぎて死んじゃうデス……」


 再びしょんぼりしたパメラのために、何かしら新しい遊びを用意してもらうべきだろうか。

 それとも前世の記憶を頼りに自分で作った方が早いかな。

 そんな事を考えながら、森の中を進み、小一時間ほど歩いてやっと世界樹の根元の開けた土地に戻ってきた。

 ドライアドたちにお礼のたい肥を与えると、「やったー」と喜んで森の中へと消えて行った。どうやら自分が丹精込めて育てている植物にたい肥を与えようと考えているようだ。

 この開けた土地周辺は安全という事で、周りを警護していたエルフたちも離れ、所定の見張り位置へと戻っていく。

 残された僕たちは特にやる事もなかったので、ぞろぞろと移動して、僕用に建てられた大きなテントに集まり、カードゲームをしたり、前世のテレビで紹介されていたボードゲームを何とか思い出しながら作った物で遊んだりして過ごした。

 ただ、頑張って思い出したボードゲームたちも賭け事には勝てなかったようだ。


「通って欲しいデス!!」

「通らないじゃん。ロンじゃん。リーチ一発タンピンドラドラで一万二千点じゃん」

「一巡目くらいは安パイ切った方がいいんじゃないかなぁ……」

「パメラちゃんはそういう子だから……」


 流石のルウさんも苦笑いを浮かべている。

 その後も代わる代わるで対局してみたけど、圧倒的ドベはやはりというかなんというかパメラだった。

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