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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第22章 安全第一で生きていこう

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459.事なかれ主義者は自分なりに頑張るつもり

 面会を希望してきた知の勇者タカノリさんと会うために、会談予定地の周辺を人払いしたうえで『鑑定眼鏡』をかけた世界樹の番人たちが邪神の信奉者が潜伏していないか確認して回った。

 問題がない事を確認した後は、世界樹の番人たちが手分けして禁足地と街の境界線付近に遊牧民が使うテントを設営してくれた。

 知の勇者御一行の準備が整ったという事で、僕たちも出発し、周りにエルフとドライアドたちに囲まれながら森を進んだ。


「ねむたいねー」

「お昼寝する~?」

「でも、案内しなくちゃいけないからー」


 こっちのドライアドたちは他のドライアドたちと比べると活発的ではなく、基本的に日当たりのいい場所でお昼寝をしている。

 一日の内、半分以上寝て過ごしているのが普通だそうだ。

 ただ、自分が育てている植物に異変があったらパチッと目を覚まして様子を確認しに行く姿を見ると、やっぱりドライアドだな、と思った。

 ちなみに、その光景を見る原因となった不審者は、僕がやってきた噂を聞きつけた商人だったようだ。

 なんとかつながりを持とうと思い、禁足地に入り込んで森を進んでいたところ、珍しい果実がなっている事に気付き、取ってしまったらしい。

 今後、同じようなトラブルは起きないだろうけど、禁足地である森に入れないように周辺に見張りを立てた方が良いだろうか、とも思ったけど僕について来た信頼できる人たちには数に限りがある。まずは僕の行動範囲である世界樹の根元周辺をしっかりと見張る、という事になった。

 不法侵入してきた商人のおかげで、なんか異変があったらドライアドたちが反応してくれるだろうって事が分かったしね。

 だいぶ歩いてやっと森を抜け、会談場所に着いた。

 そこには複数人いたけど、おそらく茶色の髪の男の人と、黒髪のおじさんのどちらかが知の勇者だろう。日本人っぽい顔立ちしているし。

 ……見た目で相手を判断してはいけないってラオさんとかが言ってたけど、ぱっと見、茶髪の男性がそれっぽいなぁ。

 服装もそうだけど、黒髪のおじさんはツルハシ担いで安全第一と書かれた黄色いヘルメットを被ってるし。あの人が知の勇者だったらびっくりだ。

 念のため確認しようと思い『鑑定眼鏡』に魔力を込めて起動すると、茶髪の男性の方に【鑑定】の加護があった。


「お初にお目にかかります。知識神の神官タカノリと申します。邪神の信奉者と敵対する事が多い身ですので、名前だけお伝えする無礼をお許しください」


 なるほど、名前を知られるとそういう危険もあるのか。


「あ、はい。じゃあ僕も名前だけで……シズトです。よろしくお願いします。とりあえず……お立ちください……?」


 跪かれたままだと話辛いしね。

 タカノリさんたちが立ち上がると視線が僕に集中した。

 ジュリウスに「席を用意してありますので移動しましょう」と言われたのでタカノリさんたちを連れてテントの中に入る。

 寝泊まりしているテントより少し小さいからついて来たエルフたち全員をテント内に入れるわけには行かないので、最低限の人数だけ確保して中に入る。

 ソファーがあったのでクーをそこに落として、僕も隣に腰かけると当然のようにクーは僕の太ももに頭を乗っけてきた。


「クー、大人しくしててね」

「はいはーい」


 クーは適当に返事をすると、僕の太ももに頬を擦りつけたり、クンクンと匂いを嗅いだりした後、目を瞑って動かなくなった。

 タカノリさんに念のためこのままでもいいか確認すると、彼は当然のように頷いて「多くの女性を満足させるのは勇者の責務ですからね」と言った。

 ……勇者じゃないし、クーはそういう対象じゃないんだけどなぁ。

 でも、否定すればするほど怪しまれそうなのでさらっと否定すると、タカノリさんもそれ以上聞いて来ずに本題に入った。


「イルミンスールに邪神の魔の手が迫っています。国として、ご協力していただけますと幸いです」


 事前に聞いていた通りだ。

 どうやら知識の神ナレジ様を祀っている教会は邪神と敵対関係にあるらしい。

 それは【鑑定】の加護で邪神から加護を授かっているかどうか分かるから狙われやすい、というのもあるらしいけど詳しい事には興味がない。

 とにかく、彼らと友好的な関係を築いていきたい。

 そうしたら代わりに邪神の信奉者を捕まえていってくれるかもしれないし、狙いは向こうに偏るかもしれないから。

 それに、今の所読心の魔道具を持ったジュリウスから合図はない。

 少なくとも目の前にいるタカノリさんは信頼できる大人なんだろう。

 であれば、予定通り話を進めよう。


「あ、はい。もちろんです。できる範囲の事であればお手伝いさせていただきます。早速なんですけど、邪神の信奉者対策グッズを見ていただきたくてですね。もし実戦で使えそうって言う事だったら貸し出ししようかなぁって」

「……グッズ?」


 不思議そうに首を傾げるタカノリさんを置いといて、ジュリウスがアイテムバッグの口を開けておいてくれたので、せっせと手を突っ込んでは僕たちの間にあるテーブルの上に魔道具を並べていく。

 身代わりのお守りに鑑定眼鏡は当然複数個。チラッと後ろを見てラオさんを見るけど、彼女は仁王立ちしてタカノリさんの後ろにいる護衛たちを見ているだけなので、新しく作った魔道具も取り出す。

 見た目は細長い鎖の先に丸い金属がそれぞれついているだけだけど、『加護無しの指輪』と同じ魔法を【付与】している。

 名前は思いつかなかったけど、武器にこんな感じのものがあったらしい。『加護封じの流星錘』という名前が仮でつけられた。

 邪神の信奉者たちも授かった加護を使って呪いを使っているらしいので今回これを作った。もしこれでも呪いを防ぐ事が出来ないのなら、別の物を作ろう。

 本当は武器なんて作りたくなかったけど、加護無しの指輪とかどうやって相手につけるんだ、って話になるわけで、仕方なく作ったのだけど……タカノリさんの様子を見るに、使い道はありそうだ。

 さて……事前にラオさんたちと一生懸命考えた価格を参考に、交渉を頑張ってみよう。

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