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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第22章 安全第一で生きていこう

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451.事なかれ主義者は王都へ向かう

 大陸間用の転移陣やら転移門を作るだけでは暇つぶしにはならなかったので、ジュリウスと引っ付いてきたクーを連れてクレストラ大陸に行って数日間世界樹フソーのお世話をして過ごした。

 お世話をした後は毎日クーを連れて旧市街地の様子を見て回ったけど、一気にエルフが増えていた。

 どうやら大国ヤマトに奴隷として捉えられていたエルフたちが引き渡されたようだ。

 こっちの管理を任せているホムンクルスのムサシは特に問題ないと言っていたけど、これは問題にはなり得なかったのだろうか。


「どれだけ増えようが、主は拙者でござるから、問題ないでござるよ」

「奴隷から解放しないの?」

「主殿から一任されていたから、ある程度生活が整うまではこのままにしようと考えていたでござる。すぐに解放した方が良いでござるか?」

「やめておいた方が良いでしょう。何を考えるか分かりませんから」


 ジュリウスはそういうけど、一般人だった人たちが殆どだろうし、さっさと解放してあげたい。

 それならせめて、エルフたちが見ている前で僕が世界樹を育てる加護を授かっている事を知らしめるべきだ、と言われたので、この数日間、毎日生育をするところを見せるために、旧市街地にある広間で生育を使っていた。

 離れていてもまあ加護は使えるんだけど、効率悪くなるからもうやりたくない。

 数回した事で、街で見つかったら跪かれるくらいのレベルになってしまったので、ムサシに「僕を見かけてもああいう事はさせないように」と釘を刺して置いた。今度来るときまでには周知徹底されているといいな。


「次はいつ来るでござるか?」

「んー、早ければ数日後かな。イルミンスールの人たちとの話はそんなに長い事するつもりはないけど、流石に高ランクの魔石がもったいない感じがするし、ガレオールと繋がる転移門を使うと思う」

「その場合は事前に教えて欲しいでござる」

「ん、分かった」


 門番がしっかりと働いてくれているので、元都市国家フソーの街の中には邪神の信奉者がいるとは思えないけど、万が一襲撃されたら問題となるので、しっかりと連絡してムサシに迎えに来てもらう事になった。

 まだすやすやと眠っているクーをしっかりと背負い直し、小柄なドライアドたちに見送られながら僕とジュリウスはガレオールの実験農場に転移した。

 どうやらランチェッタさんはいないようだ。

 あるばいとを頑張るドライアドと、その監督をしている兵士さんっぽい人たちの邪魔をしてはいけないからとお暇して、ガレオールのサイレンス支店に設置してある転移陣を使い、ファマリーの根元へと転移した。


「お帰りなさいなのですわ!」


 出迎えてくれたのはレヴィさんだ。今日もいつも通り、農作業に適した露出の少ない服装だ。

 ただ、今までは長ズボンだったけど、お腹を締め付けるかもしれないからとオーバーオール……? とかいうのを着ている。ズボンに肩紐がついていて、お腹周りを締め付けないらしい。ポケットがたくさんついていて、そのポケットには魔道具の燃料として魔石がたくさん入れられていた。

 魔道具化した麦わら帽子は日除けとしてしっかりと機能してくれているだろう。

 お腹はまだぱっと見膨らんでいない。まあ妊娠してから一カ月もたっていないからそりゃそうか。でも、お腹に目が行ってしまうのは仕方がない事だろう。

 レヴィさんも僕が見たから、という訳じゃないけど時折お腹を擦っている事がある。今もそうだ。


「お腹は大事にね?」

「分かっているのですわ~。それより、着替えるのですわ?」

「そうだね。一応、世界樹の使徒として会う……んだよね?」

「その予定ですわ」


 イルミンスールの人たちは数日かけて王都にやってきたらしい。

 今回は王城の一室を借りて会談する事となった。

 第三者……として扱っていいのか甚だ疑問だけど、ドラゴニアの代表としてリヴァイさんが同席する事となっているらしい。

 サクッと着替えを済ませて、真っ白な服に袖を通した。ズボンの裾から上に向かって蔦のような刺繍が施されているそれは、エルフの正装らしい。

 エルフじゃないけど、エルフたちの国の長なので着る事になっている。

 金色の蔦の刺繍はどれくらいの地位にいるのかを現しているらしい。

 世界樹フソーの人たちの正装を見た事がないから、この大陸のエルフ独特の文化かもしれない。

 ただ、結構離れていたユグドラシルとトネリコのエルフたちの正装が一緒だったからなぁ……イルミンスールの人たちの服装がちょっと気になる。

 まあ、会えば分かるし、さっさと王都に向かおう。

 そう思ってドランに通じている転移陣に向かうと、転移陣の上でお昼寝をしていたクーが起きた。


「あーしも行くー」

「……まあ、良いのかな?」

「シズト様の方が立場的には上だと思うので問題ないと思いますが……念のため、使節団の方々とお会いする時はおんぶはやめた方がよろしいかと」

「お兄ちゃんに何かあった時に、すぐに逃がす事ができるようにくっついてるんですけど? ウスウスは何か文句あるわけ?」

「会談にそぐわない行動は向こうに有利な状況を生みかねないです。シズト様が譲歩する事になってしまってもいいのであれば構いませんが……?」

「………………フン!!」


 クーはそっぽを向いたかと思うと、いそいそと僕の体に手を回して背中に飛びついてきた。


「会うまでは良いでしょ、お兄ちゃん」

「……いいのかな?」

「まあ、妥協点はそこでしょう」


 最近ずっと構ってなかったから、ちょっとくらいならいいかな。

 ドライアドとレヴィさんに見送られつつドランの屋敷に転移し、外で待っていた馬車に乗り込むとドラン公爵の屋敷へと向かう。王都に繋がっている転移陣があるのはラグナさんの屋敷にあるからだ。


「向こうが変な要求をしてこないといいんだけどねぇ」

「事前情報では大人しい、と聞いていますが……警戒するに越した事はないでしょう」


 正面に座るジュリウスとそんな話をしながら、僕の太ももの上に頭を乗せたクーの頭を撫で続けた。

 そろそろ機嫌が直ってくれるといいんだけどなぁ。

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