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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第22章 安全第一で生きていこう

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448.事なかれ主義者は口止めした

 ドライアドたちを下ろしながら、モニカにお腹の子が加護を授かっているよ、と伝えるとホッとした様子だった。


「良かったです。私のような思いをして過ごしてほしくありませんから」

「でも、誰かの子どもはそうなっちゃうよね、きっと」

「そうでしょうね。先程のお話を聞く限りだと、神力に限りがあるようですから、十三人の子ども全員に加護を授けて貰えるとは思っておりませんでした。授けて貰えたのはとても幸運な事だった、と思うと共に、他の方々の子どもには授けてもらえない可能性が高いと考えると、何とも言えない気持ちになってしまいますね」

「加護があろうがなかろうが平等に接するつもりでも、周りの人たちはそうとは限らないもんね」


 モニカは日本人の血が色濃く出ていて、髪も瞳も黒い。

 これだけ日本人っぽい見た目だと、当然加護を授かっているだろう、と思うのが当たり前らしい。

 そして、そう思って近づいて来た人は、彼女が加護を授かっていない事を知ると「ここまで勇者の血が色濃く出ているのに加護を授かっていないなんて、神々から見放されているに違いない」と離れて行ってしまったそうだ。

 もう慣れた、という彼女の笑顔はどこか寂しそうだったな、と思い出している間に屋敷からジューンさんが出てきて「ごはんですぅ」と大きな声で伝えてきた。

 そういえばまだご飯を食べてなかったな、と思い出して食堂へと向かう。

 食堂には既に皆が揃っていて、席に座っていた。

 僕も椅子に座り、食前の挨拶を済ませて食事を始める。


「モニカの子どもも加護を授かってよかったのですわ~」


 レヴィさんは妊娠仲間が増えたからか、とても嬉しそうだ。

 その視線の先には、壁際に控えているモニカがいる。先程は明るい表情を見せてくれた彼女だったけど、今は浮かない顔をしている。


「レヴィア様よりも早く出産しないといいのですが……」

「こればっかりはどうしようもないのですわ。気にしなくていい、と言っても気にするのでしょうけれど……どっちが早く産んでも恨みっこなしなのですわ」


 一応、レヴィさんは僕の第一夫人だ。

 その第一夫人よりも身分が低く、後ろ盾もないモニカが先に産むといろいろと言われるかもしれないらしい。

 貴族社会って面倒だな。やっぱり僕は平民のままがいいや。

 モニカのためにも何か準備してあげたいけど、早産しにくい魔法ってどんな魔法だそれ……。

 そもそも早産の原因ってなんだったかな。明だったら覚えてるかな? どうせ今日も日帰りでダンジョン探索しているんだろうし、聞いてみようかな。

 コーンスープを飲み干したところでホムラとユキに視線を向けると、二人とも口の周りが汚れている。

 手近にあったハンカチでそれぞれの口元を拭ってあげたところで思い出した。

 ただ、ちょっと聞き辛いので声を落として二人にこそっと聞いてみる事にした。


「そういえば、魔法生物って妊娠しないって知ってた……?」

「はい、存じております、マスター」

「むしろ、ご主人様は知らなかったのかしら?」

「特にそういう知識なくても作れちゃったから……」


 具体的な魔法を知らなくても、イメージがしっかりできていれば作れてしまうのがすごいよね。

 前世のアニメの知識でホムンクルスとか、そういうイメージは容易にできたし。

 でも、二人とも知ってるなら話は早いね。


「夜の過ごし方の事なんだけどさ――」

「子どもを作る目的以外でもする事はある、とマスターの前世の記憶にありました、マスター」

「愛し合うために必要な事だと思うから、変更はあり得ないわ、ご主人様」

「……そうだね」


 食い気味で拒否されてしまった。まだ最後まで言ってないのに。

 でも、僕の前世の記憶と聞いて他の人たちがこっちを見ているので、これ以上は突っつかない方が良いだろう。

 直接起動したからか、ホムラには僕の記憶が色濃く引き継ぎされてるから、余計な事を言わないで欲しいし。

 食事が終わったラオさんとルウさんの視線がこっちに向いているし、話を変えよう。


「エント様から、プロス様の教会で式を挙げた人は子どもを作るのは待ってほしいって言われたんだけど、どう思う?」

「それはどうしてですわ?」

「神力が足りないんだって。あと少しで溜まりそうだから、って言ってたけど……」


 神様の言うあと少しってどのくらいなんだろう?

 エルフたちみたいに感覚が違いそうでちょっと怖い。しっかり聞いておけばよかったな。


「どう思うも何も、プロス様がそう望まれているなら待てばいいんじゃねぇか?」

「そうねぇ。むしろ子どもを作ってしまって神様の不興を買うのは避けたいわ。ドーラちゃんは?」

「ん、問題ない」

「あ、でも、夜は今まで通り過ごしたいわ。ラオちゃんもそう思うわよね?」

「アタシに振るな」

「継続希望」

「万が一の事が起こらないように、地母神の教会に行った方が良いかもしれないのですわ。確か、ドランにもあったはずですわ?」

「ん」

「今日、ダンジョンに行くついでに寄る?」

「それでいいんじゃねぇか?」


 話がとんとん拍子でまとまりつつある。

 どうやら、地母神は出産に関わるあれこれをお祈りする教会らしい。

 大地の神としての側面だけではなく、出産や、豊穣をも司っているんだとか。

 ファマ様、役割被ってね? とは思ったけど、豊穣の加護は豊穣祈願とかに使われるだけらしいので問題ないっぽい。

 皆が今日の予定を話し合う中、僕はのんびりと食事を進めていたんだけど、話が一段落したところでレヴィさんが隣に座っていたホムラに「そういえばシズトの前世に関する話を聞きたいのですわ」と言った。

 レヴィさんの正面に座っていたランチェッタさんも「なんか意図的に話を逸らしてたから気になるわね」なんて、言っている。


「前世の話、と言われましても色々あります」

「性行為に関する事とか、隠したい何かがあるんじゃないかしら?」


 ぐいぐい行くランチェッタさんは、ニヤニヤと笑いながら僕をちらちらと見ている。

 このままでは僕の黒歴史というか、隠さなくちゃいけないコレクションが晒されかねないので、ホムラに「前世に関する事は言っちゃダメ」と慌てて命令した。

 ランチェッタさんもレヴィさんも何か文句言っていたけど、墓場に持っていくと今決めたから絶対教えない。

 ……前世の部屋に隠してた薄い本とかはどうなったんだろう。なんか心配になってきた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 地母神「わかりました。そこまで熱心に祈る皆様のために、ワタクシが喜んで皆様がすぐ妊娠するようにしておきますね。それこそ避妊薬を貫通するぐらい強力なのを!」
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