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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第22章 安全第一で生きていこう

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445.事なかれ主義者は出来るだけ食べた

 レヴィさんが妊娠した件は、数日の間に一気に広まった。

 ここ数日はレヴィさんに負担がかからないように農業に使えそうな魔道具を考えたり、呪い対策の魔道具を作ったりして過ぎていった。

 今のところ魔道具『身代わりのお守り』は効果を発揮してないので、邪神の信奉者たちの動きはない……と思う。

 ただ、ドラゴニア国内外の貴族たちの動きは活発だ。今日もたくさんの面会希望者がドランやファマリー、ガレオールにやってきているらしい。

 ドランはモニカさん、ガレオールはランチェッタさんがそれぞれ対応してくれている。

 普段、ファマリーでの対応はレヴィさんがしてくれていたんだけど、妊娠が分かっている状況で、無駄なリスクは避けるべきだ、という事で今はジューンさんがファマリーにやってきた貴族や商人たちの相手をしてくれていた。

 僕が出るべきかなって思ったけど、仮にどこかの街で僕が対応したらそこに人が集中して、それだけで一日が終わってもおかしくないからやめておこう、という事になった。


「今日も頑張るのですわ!」

「ほどほどにね。セシリアさん、レヴィさんの事よろしくね」

「当然です」

「私たちも守るの~」

「お腹大事!」


 暇になってしまったレヴィさんは、今日も朝ご飯を食べたら畑へと向かって行った。

 セシリアさんと白と黒のドライアドそれぞれに見守りをお願いした。

 本当はゆっくりのんびりしていて欲しいんだけど、やっぱりある程度の運動とストレス発散は大事らしいから危なくない限りは好きにしてもらう事にした。ただ、お腹に負担がかかりそうな作業はしないでほしい。僕が心配になるから。

 レヴィさんはセシリアさんとドライアドたち、そして、増員された近衛兵を引き連れて畑作業をしに行った。

 残された僕は屋敷に戻って、ノエルの部屋でひたすら魔道具を作る。

 邪神の信奉者に誰が狙われるのか分からない以上、備えはあればあっただけ良いだろう。『身代わりのお守り』も万能ではないので、足りない質は量で補うしかない。

 世界樹のお世話をした後の余った魔力で魔道具を作り続けているとあっという間にお昼になる。

 ラオさんやルウさん、ドーラさんは「フェンリルとジュリウスがいるなら護衛はいらない」という事で指名依頼を受けるために出かけている。

 ラオさんたちはBランク冒険者として活躍していたから、ほぼ引退に等しい状態の今でも依頼が時々来るらしい。今回はドランにある初心者向けのダンジョン『はじめのダンジョン』の定期調査だそうだ。


「無事だといいんだけど……」

「『はじめのダンジョン』だったら滅多な事が起きない限りは大丈夫だと思うのですわ」


 なんかフラグっぽいなぁ。

 サンドウィッチを飲み込んだレヴィさんは言葉を続けた。


「シズトの昇格試験の時は本当にイレギュラーだったと聞いたのですわ。アレ以降はスタンピードの兆候もないようですし、心配はいらないのですわ」

「ですわ~」

「おいしいですわ~」

「しゃきしゃきですわ!」


 ドライアドたちがサンドウィッチを頬張りながら嬉しそうにお喋りをしている。

 気分転換に、という事で屋敷の外に敷物を敷いて、そこで食事を食べている所だ。


「これはパメラのカツサンドデス!」

「ちょっとパメラ! 独り占めはやめなさい! あと、翼をバタバタ動かさない。羽根が入るでしょ!」


 暇を持て余していた翼人の少女パメラもどこからともなく飛んできて食事に加わったから、給仕に専念するつもりの様だった狐人族のエミリーも一緒にご飯を食べる事になった。

 パメラの事を注意しつつも、一緒に食事ができて嬉しいのか、白い尻尾がパタパタと振られている。

 パメラを探しにやってきたアンジェラや、リーヴィア、それからジューロさんも仲良く三人で話をしながらいろいろなサンドウィッチを食べている。

 エルフたちから生贄として捧げられてやってきたリーヴィアは、最初はこちらの顔色を窺っていたけど、今ではもうすっかりそのころの面影はなく、強気で悪戯好きな女の子になっているそうだ。

 エルフ的感覚で歳が近いという事でジューロさんとも仲良くなって上手くやっているようで良かった。

 ドライアドたちがわらわらと集まってきた事もあって、随分と大勢での食事になっちゃったな、と忙しなく行き交うバーン君と彼の事が好きな女の子三人組や、別館で住んでいるエルフのジュリーンさんやダークエルフのダーリアさんを見て思ったけど、あんまり知らない人を屋敷に出入りさせたくないので増員は今の所考えていない。

 お小遣いを増額するから頑張って欲しい。

 そんな事を考えていると、背後から声がして、忙しなく給仕をしてくれていた子たちがピシッと石のように固まった。


「食事中だったか。そういえば、まだ昼を食ってなかったな、ラグナ」

「ここでついでに食べていくか」


 振り返った先にはリヴァイさんとラグナさんがいた。この国の王様と公爵様だ。

 食事に加わっても物怖じするような子はいないけど、給仕の子たちは気が気じゃないだろう。

 ジュリーンやダーリアも、やって来た時に挨拶をする程度って言ってたし。


「毒見とか諸々あるだろうし、うちの子たちはまだ王侯貴族相手の給仕に慣れていないのでご遠慮ください」

「むぅ……そうか。では食事が終わるまで待つか」

「ここに居座るのも問題だろう。リヴァイ、ボウリングでもどうだ?」

「そうだな。前回来た時は名づけの事ばかり考えていて忘れていたし、遊んでいくか」


 そんな話をしながらリヴァイさんたちはボウリングレーンが置いてある場所へと歩いて行った。

 その後をパメラが飛んでついて行く。ボウリングと聞いて遊びたくなったのだろう。ただ、カツサンドをたくさん詰め込んだバスケットを両手でしっかりと持っている所がパメラらしい。


「それにしても、二人揃って何しに来たんだろうね?」

「指輪を嵌めたままだったから分からないのですわ。とりあえず、食事が終わったら向こうにいくのですわ」

「それもそうだね」


 考えても仕方がない事だし、今はサンドウィッチとドライアドたちがいつの間にか持ってきた果物を食べ切る事に専念しよう。

 ……大食い三人組がいないし、ちょっとこの量は無理かもしれない。

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