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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第19章 自衛しながら生きていこう

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393.事なかれ主義者はつい捕まえてしまった

評価&いいね&ブクマ登録ありがとうございます。

 修一さんと話をしてから五日ほど過ぎたけど、怒涛の日々だった。

 世界樹の世話をしながらだったけど、状況はどんどん変わっている。

 一日目は世界樹フソーのお世話をした後、溜まりに溜まった鉄を大量に消費して都市国家フソー跡地の南側の地面をすべて鉄で覆った。

 世界樹フソーの根元からたくさんの鉄を消費して、ぐんぐんとまっすぐ伸ばしていき、金色の檻の外に出たら地面に広がるように加工した。

 ドローンゴーレム越しの光景だったから扱いが上手くできなかったおかげで鉄で覆って行くのも遅くて、ヤマトの兵士の殆どは逃げてしまったけど、今ならそれでよかったんだと思う。

 建物の中にいて異変に気付かず、逃げ遅れた人たちは今日も鉄にコーティングされた建物の中で騒いでいる。一応酸素が入るように小さな隙間は空けているから元気が有り余っているのだろう。ただ、一部の兵士たちは、いつの間にか覆った鉄ごと建物の壁を溶かして脱走してたけど。

 アダマンタイトで地面や建物を覆っていたら逃がす事はなかったんだろうけど、残量が心許ないので諦めた。

 二日目は建物の中に囚われた兵士たちを救出しようと百人単位で複数の部隊が鉄で覆われた都市国家フソーに足を踏み入れた。

 その様子をドローンゴーレムで確認していたので、ある程度中に入って来たところで歩いている足元の鉄を瞬時に増加させ、足ごと固めてみたら見事にたくさん捕まえる事ができた。

 今日も仲良く「解放しろ」と騒いでいる。

 どうやら拘束するために体を包んだ鉄に対して炎系の魔法を使う事ができていないようだ。まあ、足の周りの鉄を溶かそうと思ったら必然的に足にくっついている鉄も溶かさないといけないもんね。僕だったら怖くて無理だ。

 三日目は誰も戻って来なかったのを警戒したからか、さらに大勢の人たちがやってきた。

 数えるのも馬鹿らしいほどやってきた人たちは、足を固められて立ち往生している人たちを発見すると警戒したのかその場で足を止めてしまったので、全員の足を丸ごと固めた。

 範囲が広すぎたので加減が上手くできなくて、股下数センチまで鉄で覆ってしまったけど僕は悪くないと思う。

 今日も仲良く「助けてくれ」と叫んでいる。

 飲まず食わずだと死人が出てしまうだろうからそろそろ何とかしないといけないなぁ、と思いつつ、まったく身動きが取れない彼らの足元は、彼らから出たモノで汚れているので近づきたくない。

 ドライアドたちが森にいたスライムを街に放ったけど、スライムよりも人間がたくさんいるので処理が追い付かないようだ。っていうか、足を動かせなくしてるだけで魔法は使えるから、近づいてくるスライムをヤマトの兵士が倒してしまうからほんとにどうしたものか……。

 四日目からは地上を歩いて人が来る事は無くなった。その代わり、勇者が兵士を引き連れて空を駆けて飛んできたけど、旧市街地の惨状を見ただけで帰って行ってしまった。

 そして、今日にいたるという訳だ。

 朝食を食べながら、旧市街地の汚れをどうしたものかとか、わらわら集まってくるからつい捕まえてしまった兵士たちをどう扱えばいいのかとか考えながら、もしゃもしゃとサラダを食べているのを窓の外からドライアドたちに覗かれている。

 彼女たちは自分たちが渡した食材が使われているかを見ているのではなくて、僕が朝食を食べ終わるのを待っているのだ。

 不慮の事故とはいえドローンゴーレムが、彼女たちが育てていた植物を破壊してしまったので、【生育】の加護でいろいろお手伝いするのが最近の日課となっていた。

 ジッと見られていると早く食べ終わらないといけなくなるような気がしてくるの不思議。


「シズトは今日、何をするのですわ?」

「んー、とりあえず旧市街地の様子の確認かなぁ。レヴィさんは今日も北側の国々と会談するの?」

「そうですわね。大市場を引き続き継続する代わりに、各国から駐屯兵を派遣してもらっているのですけれど、南側も制圧するべきじゃないかという意見が出ているからその話し合いですわね」

「今なら戦闘らしい戦闘にならないしね。ついでに捕まえちゃった人たちをどうすればいいか聞いて来てよ」

「分かったのですわー」


 どうやら修一さんが旧市街地で捕虜になっている人たちの様子を伝えてくれたようで、ヤマトの兵士たちは地面を覆っている鉄に近づこうともしていない。

 一定の距離を保って元都市国家フソーを遠巻きに見ているのだ。


「近くで人族同士の戦闘とかやめて欲しいし、もうちょっと拡張しとこうかな」

「良いと思うのですわ」


 旧市街地を覆う鉄の地面は、鉄の道のように世界樹を囲う森の中を縦断して建物の近くまで続いている。

 一部分だけを加工する事に慣れたので、加工している最中に逃げられる事もないのは既に確認済みだ。

 鉄の追加をするのはちょっと操作が難しくて、捕虜となっている人たちの足元を覆う鉄が増えちゃうんだけど、まあ大した問題じゃないだろう。どうせ動けないんだし。


「ラオさんとルウさんは交代で引き続きドローンゴーレムの操作をお願い」

「分かったわ! シズトくんの力になれるように頑張るわね!」

「アタシたちは護衛なんだが……まあ、ジュリウスが行動不能になるよりはいいか」


 魔力が多いレヴィさんは北側の国々とお話をしに行ってしまうので、ラオさんとルウさんにドローンゴーレムの操縦をお願いしている。

 捕虜たちを助けに来た人たちを捕まえるだけだったら定点カメラを設置して見張るのもありだと思うんだけど、捕虜は無視して攻めてくるかもしれないからドローンゴーレムで偵察をしてもらっている。


「ユキは大市場で魔道具を売ってきてね」

「わかったわ、ご主人様」


 ニコニコしながら答えてくれたけど、褐色肌についた真っ白なお髭を拭いてから話そうね。

 牛乳を飲んだ後がくっきりとついていたのでハンカチを持つと、当たり前のように拭きやすいように顔を差し出してきた。

 それを拭った後にホムラに視線を向けると、彼女は真っ白な肌なのに、ジャムで口周りだけ色づいていた。


「ホムラはライデンやジュリウスと一緒に僕の護衛よろしくね」

「かしこまりました、マスター」


 表情を動かす事なく口の周りを拭かれた彼女は、また焼かれたパンをがぶりと噛んでいた。

 命じても自分たちで口の周りを拭かないし、二人のためにゴーレムでも作ろうかなぁ。


「…………あ、そっか。ごみ処理をするためのゴーレムを作ればいいんだ」


 ただ、糞尿の後片付けをする訳だから、イメージ的に後片付けをしたゴーレムに近づきたくないんだよなぁ。

 リモコン式じゃなくて、自律式のゴーレムでも作るか。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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