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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第19章 自衛しながら生きていこう

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383.事なかれ主義者は入城した

高評価&いいね&ブクマ登録ありがとうございます。

 リヴァイさんたちと遊んだり、ファマリアを案内した翌日。

 安眠カバーのおかげでいつものようにすっきりとした目覚めだった。ただ、いつもと違うのは、何やら手でモフモフとしたものを触っていた事だろうか。

 ついついモフモフの尻尾をモフモフしてしまったけど、尻尾の持ち主であるエミリーが頬を赤く染めながら僕に寄り添って寝転がっていた。

 もっと触っててもいいんですよ? と、蕩けたような目で僕を見つめる赤い目から顔を背けて、服を着るようにお願いし、着替えが済んだら部屋から出て行ってもらった。

 今日は世界樹ファマリーのお世話なのでだいぶ魔力が持っていかれるだろう。

 だから魔道具作りはお休みして、ニホン連合のキョートに行く事になった。

 ジュリーニたちがずっと向こうで待ってくれている。

 その間に色々とあったらしいから、今回は変装をせずに世界樹の使徒として訪れる事になった。

 真っ白な布地に金色の刺繍が施されているエルフの正装を着て部屋を後にした。

 まずは世界樹ファマリーのお世話をするために外に出ると、既に転移陣の前にキョートに行く人全員揃っていた。

 今日の朝ご飯は向こうで食べる事になっているので、さっさと終わらせてキョートに向かおう。


「全部はやめてください。【生育】」


 ……お願いはしっかり聞いてくれたけど、いつも以上に魔力を持っていかれた。

 だいぶ日が空いてしまったから仕方ないか、と気だるさを感じつつ、皆の下へと向かう。


「大丈夫ですわ?」


 心配そうに尋ねてきたのはレヴィアさんだ。

 今日はレヴィさんの瞳よりも濃い青色のドレスを着ていた。胸元は大きく開いていて、袖がないタイプのドレスだ。

 マーメイドラインというんだったっけ? 規格外の胸の膨らみからは想像できない程細い腰、そこからまたお尻にかけて膨らんでいるラインが丸分かりだ。

 左手の薬指に皆とお揃いの指輪を嵌めている。

 普段嵌めている加護無しの指輪は既に首から下げていた。


「まあ、慣れてるし……」

「魔力切れに慣れる事自体、普通は考えられねぇんだけどな」

「辛かったらお姉ちゃんがおんぶしてあげるからね?」

「大丈夫でーす」


 呆れた様子で僕を見るラオさんと、心配そうに屈んで目を合わせてきたルウさんはどちらも武装をしている。

 黙って待ってくれていたエルフのジュリウスや、ドーラさんも武装をしていた。まあ、この二人は大体護衛をしているから見慣れてるけど。

 ジュリウスと同郷のエルフであるジューンさんも、世界樹の使徒の代理人としてついてくる事になっていた。

 だから僕と同じように正装していて、真っ白なワンピースを着ている。

 スカートの裾から、エルフらしからぬ胸辺りまで伸びるように金色の糸で蔦が刺繍されていた。

 ホムラとユキはいつも通り、魔法使い然とした格好だ。

 お店の方は、ある程度任せる事ができるから丁度良い機会という事で、一日任せる事になったらしい。


「皆準備できてるみたいだし、お腹も空いたからとりあえず向こうに行こうか。ジュリウス、お願い」

「かしこまりました」


 ぺこりと頭を下げたジュリウスが、淡く輝いている転移陣の上に乗ると、転移陣の光が強まって、その場から忽然と姿を消した。

 しばらく経っても特に何もなかったので、次にレヴィさんとドーラさん、それからメイド服を着てレヴィさんの少し後ろからついて行くセシリアさんが向こうへと転移する。

 僕とジューンさんはラオさんとルウさんと一緒に転移した。

 転移した先にはホムンクルスのクーが待っていて、飛びついてきたのでいつものようにおんぶをする。

 慣れって怖い。びっくりしなくなってきた。


「でも危ないからやめてね」

「え~~~」

「先行ってるぞ」

「シズトちゃん、早く降りましょ?」


 ジューンさんに急かされたのでクーを説得するのはとりあえず後回しにして馬車を下りる。

 馬車が停まっていたのは日本風のお城のすぐ目の前だった。

 出迎えてくれたのはこの国の国主の女性だった。白髪交じりの黒髪で、豪華な着物が似合っている。

 口角を上げて優し気な笑顔をしたその女性がぺこりと頭を下げた。


「よくおいでくださいました。世界樹の使徒様。私は京都雅孝と申します。京の都と書いて『みやこ』、雅孝のまさは『みやび』で、たかは親孝行の『孝』の字だと教わっております」

「ご丁寧にありがとうございます。僕は音無静人と申します。本日はお招きいただきありがとうございます。あまり慣れていないため、至らない点があるかと存じますが、宜しくお願い致します」


 僕の礼と合わせて、いつの間にか後ろに回っていた皆が頭を下げる気配がする。

 雅孝様は鷹揚に頷いて「それでは参りましょう」と言うと踵を返して城へと向かって行く。

 前世では日本の城に入った事がないからちょっと楽しみだけど、ドキドキしながら歩いていたら後ろからついてきているラオさんが咳払いをしたので、背筋をしっかりと伸ばして雅孝様を追いかけた。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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