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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第19章 自衛しながら生きていこう

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382.事なかれ主義者は今度は逃げるつもりはない

高評価&いいね&ブクマ登録ありがとうございます。

 研修所を見学して回った後、迎賓館に向かいながらドランやドラゴニアの話を聞いた。

 浮浪児対策の一環として、研修所のような物を作ったはいいけど、なかなか教師が揃えられないらしい。

 それに、今はそこまで問題にはなっていないが、衣食住を保証してしまうと怠けてしまう者が出てくるかもしれないんだとか。

 ウチの子たちは率先して学んでいるからちょっと想像できないけど、それは身分も関係しているんだとか。

 浮浪児は奴隷ではないから無理矢理学ばせるのもできないし……ん?


「誓文書を使えばいいんじゃない?」

「「…………なるほど」」


 リヴァイさんとラグナさんが同時にぽつりと呟いた。

 仲が良いんだな、と思いつつ二人の悩みに手助けできて良かった。

 この世界には約束を守らせるために便利な物があるんだよなぁ、と思いつつ歩いていると、またリヴァイさんとラグナさんが後ろの方に行って話し始めた。

 レヴィさんに手を握られながら歩き続けていると、今度はガントさんとパールさんが僕たちの隣に並んできた。


「あの勇者たちはドラゴニアで活動をするみたいだけど、本当にいいのかしら?」

「本当にいいですよ。彼らの自由ですから」


 拒否して角が立つ方が面倒だ。

 僕たちの屋敷に寝泊まりさせろとか、魔道具を融通しろとか、世界樹の素材をよこせとか言ってこなければ、町で暮らすくらいなら好きにすればいい。


「彼らに対しての事は問題ないと聞いたが、エンジェリアに関しては大丈夫なのか?」

「……どういう事?」


 レヴィさんの向こう側を歩いているガントさんを見ると、彼は「やっぱり考えてなかったか」とため息をついた。


「エンジェリア帝国から出奔した勇者たちがドラゴニアにいると広まるのは時間の問題だろう。今まで定住していなかった者たちが定住するのだからな。そうなればエンジェリア帝国から何かしらのアクションがあってもおかしくない。それがドラゴニアに対する抗議かもしれんし、裏工作をしてくるかもしれん」

「最近のエンジェリアであれば、両方やると思うわ」


 僕の隣を歩いていたパールさんもガントさんに同意するように頷いた。

 どうでもいいけど、彼女が歩いていると顔の横にあるツインドリルが揺れてめちゃくちゃ気になる。

 レヴィさんのツインドリルで遊んでから余計に気になるようになってしまった……。


「昨日、父上が勇者たちに確認を取ったらしいが、少なくとも二名はこのファマリアに滞在するつもりらしい。エンジェリア帝国とは不毛の大地を挟んで国境が隣接しているから規模は分からんが、軍事的な行動に出てもおかしくないだろう」

「今まで南からの侵略を阻んできたドラン公爵領よりもさらに南にこの町ができてしまったから、最初に襲われるのはここでしょうね。何かしらの対策はしているのかしら?」

「人間相手の対策は……あまりしてないですね」


 町の中の揉め事はユグドラシルに住んでいたエルフとか中年冒険者とかドラン公爵から派遣されている駐屯兵たちが解決してくれるから。


「今までは見逃されていたんでしょうけど、流石に勇者がこの地に留まるのであれば狙われるわよ。早めに対策を講じた方が良いわ」

「城壁を作った方が良い。今だとどこからでも入って来れてしまうからな」

「兵に関しては緊急時にのみ使うという誓約のもと、兵士たちの移動用の転移陣を設置してしまうのもいいかもしれないわね。それで王都やドラン公爵の領都の兵舎とファマリアを繋げてしまえば迅速に救援を送る事ができるわ」

「……なるほど?」


 リヴァイさんやラグナさんが悪用するとは思えないし、何だったら必要な時以外はお互い魔法陣が発動しないようにしておけば問題ないもんな。

 城壁作りは後でお願いするとして、いつ攻めてきても良いように防衛するための兵士を派遣できるように準備しておくのは良いかも?

 戦争は嫌だからできれば起きて欲しくないけど、こっちが何もしなくても向こうが攻めてくる事もある。

 僕だけが暮らしているんだったら前みたいにさっさと逃げても良かったけど、町の子たちもたくさんいるからそれもできないだろう。

 であれば、何かしらの防衛手段を準備しておく必要があるか。

 んー、と首を傾げて考えていると、繋いだ僕の手を握ったり指で弄ったりしていたレヴィさんが同じように首を傾げた。


「城壁を作るのはいいと思うのですわ。でも、フェンリルに言っておかないとまた閉じ込めたと思われてしまうかもしれないですわね」

「そうかな? 飛び越えるくらい余裕じゃない?」

「まあ、余裕だと思うのですけれど、念のため城壁を作る前に聞いてみるのですわ。兵士用の移動手段については、これを機に話し合って決めてもいいかもしれないですわね」


 迎賓館が見えてきた。

 リヴァイさんたちはもう一泊して、それぞれの街へ帰っていくらしい。

 前で話をしていた事は多少耳に入っていたようで、別れ際に後日あって細かい事を決める事になった。

 こちらの世界樹のお世話が終わったらすぐに向こうに戻る事になるだろうし、帰ったら早速防衛用の魔道具を作ろうかな。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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