376.事なかれ主義者は反面教師にする
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ドラゴニアにやってきた勇者三人組と会う事になった。
農作業をしていたレヴィさんはドレスに着替えてついて来てくれるようだ。
今日のドレスも露出度が少ないけど、規格外の胸部の膨らみは隠しきれない。
キュッと絞られた腰回りも、その下の膨らんだお尻のラインは頑張れば隠せるかもしれないけど、今日は体のラインにそったデザインのドレスだった。
指から外した『加護無しの指輪』は紐を通されてネックレスになっている。僕とお揃いの指輪は付けたままにするようだ。
ラオさんとルウさんは武装している。
ラオさんは手にグローブを付けているため結婚指輪は外しているようだけど、ルウさんは指に嵌めていた。
ラオさんも紐を通して首飾りにして無くさないようにしているようだ。
「以前会った金髪の男の事を考えたらつけておいた方が良いと思ったからつけるように伝えておいたのですわ」
「言われなくても私は付けていたわよ? ただラオちゃんが邪魔だからってアイテムバッグにしまおうとしてたから、レヴィちゃんを真似して首飾りにしてみたの」
「同じ宝石を身に着けている事で察して失礼な事を言ってこないといいですわね」
陽太の評価は、女性陣からは散々なようだ。
ただ、以前エンジェリア帝国との騒動の後にあった謝罪の際に不躾に胸とかばっか見てたから分からなくもない。
トネリコで会った時には明と姫花が陽太の行動について聞いていたし、下手なちょっかい出されたら気分良くないし……やっぱり会わない方がお互いのためなんじゃないかなぁ。
なんて事を考えつつも、屋敷の一階にある応接室で陽太たちが来るのを待つ。
しばらくすると、扉がノックされた。
「シズト様。勇者様御一行がお見えになられました」
「入れていいよ」
「かしこまりました」
扉を開けたのはモニカだ。
日本人の血を色濃く受け継いだ彼女は黒い髪に黒い瞳と日本人のような容姿をしている。
陽太の視線がジロジロ向くのも分かるけど、モニカの左手の薬指についている指輪が見えていないのかな。
なんて考えていたら視線で悟ったのか陽太の後ろを歩いていた明が陽太の尻を蹴飛ばした。
「何すんだよ!」
「約束、忘れたわけじゃありませんよね?」
「んだよ、見るぐらいいいだろ」
「心証が悪くなるからそれもやめてください。どうしてもシズトのお相手がどんな人たちか見てみたいって言うから連れてきましたが、守れないなら宿で留守番しててください」
「近衛兵に送らせるですわ?」
「わーったよ。気をつければいいんだろ」
渋々と言った様子で陽太が椅子に座ろうとして、明が咳払いした。
……陽太は相変わらずだなぁ。体格は冒険者っぽくがっしりしているけど、中身は全然変わってない。あ、髪の色も変わってないな。相変わらず金髪が好きなようだ。
明と姫花は見た目はほとんど変わっていない。後衛職だからだろうか。
姫花は聖女らしく白を基調にした服を着ていて、腰には小さくて可愛らしいポーチがある。
明はとんがり帽子を被り、指には魔法の威力を向上させるためか指輪を嵌めていた。
「座っていいよ」
「ありがとうございます」
座ったまま三人を出迎えていた僕は手で座るように促すと三人共椅子に座った。
姫花と明は姿勢よく座り、陽太は足を広げて座った。
僕の隣に座っているレヴィさんが僕の太ももに手を置いたまま三人を見ている。
合図はないから敵意とかはなさそうだ。
「今回は忙しいのに時間を作って頂きありがとうございます。ドラゴニアの首都を目指す旅の途中で立ち寄ったので顔を見せておこうと思いまして」
「元気にやってるようで良かったよ」
三人共しっかりとご飯を食べる事ができているようで痩せすぎている様子はなく、冒険者として活動をしているからか太ってもいなかった。僕は脂肪燃焼腹巻がないとすぐに太るのになんだか不公平な気がする。
……まあ、だからといって冒険者に戻るつもりはないんですけど。
「一部分が元気すぎる者もいますが、問題なく過ごせてます」
「お疲れ様です」
さっさと別行動をしちゃえばいいんじゃない? とも思ったけど、そうなったらそうなったで面倒事をおこしそうだし手元に置いておきたいよね、分かる分かる。
基本的に誰かと一緒に行動している僕も手元に置かれている自覚があるからね。特に魔道具を作る時。ラオさん以外はあんまり止める事はないけど。
「今回はなんでドラゴニアに呼ばれたの?」
「王女殿下から聞いていらっしゃらないのですか?」
「特に聞いてないよ。モニカ……ほら、そこの壁際にいる黒髪の女の子が三人が来たって教えてくれただけ」
三人の視線がモニカに向かったのを見てから隣に座っているレヴィさんに視線を向けると、レヴィさんは小声で「お父様たちの意向ですわ」と言った。
「ドラゴニアの『国王陛下からシズトに対する謝罪が済んでいるのであれば好きな所で生活すればいい。ただし、事前にどこに住むのか報告する事』とお手紙を貰ったのでこうしてドラゴニアに駆け付けました」
「三人共ドラゴニアに住むの?」
「そのつもりです。どこの都市で生活をするかはまだ未定ですが」
「ねぇシズト。姫花、ファマリアに住んでもいい?」
それまで静かに黙っていた姫花が、小鳥のように首を傾げながら尋ねてきた。
前世のクラスの中では容姿が整っていた彼女がそうすると可愛らしいと思っていたんだろうけど……なんだろう、レヴィさんたちで目が肥えてしまったのか特に何も思わない。
「そっちがちょっかいをかけて来なければどこで暮らそうが好きにすればいいんじゃない? ただ、ここら辺ってアンデッドしか出て来ないし、近くのダンジョンはアンデッドばかりだから姫花たちのような高ランクの冒険者には人気ないけどね」
「問題ないわ! むしろアンデッド系ばかりだったら姫花、役に立てるし。なんてったって聖女なんだから!」
フフンッと自慢げに胸を張る姫花だけど、その隣に座っている陽太は嫌そうに眉を顰めていた。
「ここら辺、大人向けの店がねぇだろ。そういう店ができる予定があるんだったらいいけどよ、無いんだったら俺は嫌だぞ。奴隷たちに手を出すなって言われてるし、商人の所の奴に手を出すと後が面倒だしよ」
「だったら一人で行けば?」
「お前が一人で残ればいいだろ!」
「…………それもありかも?」
「残っていいなら僕もここに残りますから陽太が一人になりますね。……一抹の不安が残りますが、ドラゴニア側が監視を付けるでしょうし」
「まあ、着けると思うのですわ」
「……陽太って、こんな頭の中そっちの事しか考えてない系だったっけ?」
前世でもスクールカーストの上位にいた人間だったから結構モテてたしそう言う自慢はしてたけど、ここまで不躾にじろじろ人の体を見たり、手を出したりするタイプじゃなかった気がする。
明と姫花が揃ってため息を吐いた。
「エンジェリア帝国での生活が忘れられないんでしょう」
「ほんと、キモイ位とっかえひっかえ楽しんでたからね」
「……なるほど」
こうなってしまうのを見込んでハニートラップを仕掛けてたのかなぁ。
僕も陽太のようにならないように気を付けよう。
最後までお読みいただきありがとうございます。




