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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第3章 居候して生きていこう

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39.事なかれ主義者は修道院に行った

ブックマーク登録といいね、ありがとうございます。

誤字脱字報告とても助かりました。

 ドーラさんが求める魔道具を作った翌日、今度はラオさんが話があると街に連れ出した。

 中央通りより少し南側にある大きな建物は、何度か遠目から見かけた事があったが入るのは初めてだった。

 高い塀に囲まれたその建物の敷地に入ると、想像以上に広かった。

 作物を育てている所もあれば、洗濯物を干す場所もあるようだ。

 たい肥できたらここに寄付しようかな?ドーラさんが買うかな。毎日様子見ているし、買うかもしれないな。


「ここがラオさんの妹さんがいる修道院?」

「ああ、あんまりきょろきょろすんなよ」

「そうは言われてもなんか視線が気になるんだけど」


 こちらを遠くから見ている修道服姿の人たちに視線を向けると、サッと顔を背けられる。

 中には顔を黒い布で隠している人もいたけど、あの人たちは前が見えているんだろうか。


「外から人が来る事が少ねぇからな。ほら、こっちだ」


 そうして案内された部屋には、静かに横たわる赤い髪の女性がいた。

 間違いなくラオさんの妹さんだろうな。

 ラオさんと顔も体つきもめっちゃ似てるし。

 違う所と言えば、髪がとっても長い事かな?


「寝てるみたいだし、出直した方がいいんじゃない?」

「いや、ただ寝てるわけじゃねぇからいつ来ても一緒だ。シズト、お前いつもどういう風に魔道具思いついてんだ?昨日ドーラに言われてたの作ったらしいじゃねぇか」

「え?んー、こういう事したいなって思うだけかな。できない時は全然思い浮かばないんだけど、作れそうな物だったらどうすれば作れるか思いつくんだよ。んで、そのイメージを残したまま加護を使えば出来上がり、って感じ」

「……ほんと、お前の加護頭おかしいよな」

「別に欲しくて手に入れたわけじゃないんですけど?」


 正直、生きていけるんだったら面倒事が起きそうな加護持ちより加護無しの方がよかった。

 まあ、そうなるとすぐに詰んじゃいそうだから【付与】を貰えた事に感謝はしてるんだけどね。

 ちょっと拗ねていると、雑に僕の頭を撫でてラオさんが謝ってくる。


「そんな加護を持つシズトに頼みがあるんだけどよ。妹を目覚めさせる魔道具ってなんか作れないか?」

「んー、ピンとこないね。妹さんはどうして眠ってるの?」

「ちょっと冒険を一緒にしてた時に加護持ちにやられてな。あんまり詳しくは分かってねぇが、【呪い】の加護持ちだった可能性がある。ルウは盾役だったからな、仲間を守ってその力を食らっちまってよ。今じゃわかんねぇだろうけど、酷い怪我を負っちまって生死の境をさまよってたんだけど、何とかここまで治す事はできたんだ。ただ、どんなに待っても起きねぇ。精神的に何かしらの影響を受けるものだったのかもしれねぇんだ。……なんか、思いつかねぇか?」

「んー……原因が具体的に分かったらなんとかできるかもしれないけど、今は正直思い浮かばないかな。……ごめん」

「そうか……」


 ラオさんが何も言わず、ルウさんをじっと見つめている。

 何といえばいいのか分からず、僕は黙っていろいろと考えてみるけど、やっぱり思いつかない。

 安眠カバーを枕に着けたら時間になったら起きるんじゃね?って思ってみたけど安眠カバーが思い浮かばない時点で違うんだと思う。

 精神的な異常を治す魔道具は思い浮かんだ。洗脳状態を解くものを作ろうと思えば作る事が出来る。ただ、ルウさんを治す魔道具、で思い浮かばなかった。

 少しの間、室内を静寂が包んだが、ラオさんがいつもよりも少し高い声で言葉を発した。


「まあ、そんな都合のいいように事が運ぶ訳ねぇわな。そんな暗い顔すんな。無理だろうな、って思ってたけど念のため確認しただけさ。ちょっとこれから行くとこが出来ちまったから、護衛はもうそろそろ終わりだけど、今まで通りよろしく頼むな」


 そう言ってニカッと笑いながら僕の頭を力任せに撫でるラオさん。

 何とかならないかな、とその日ずっと考えていたけど、ホムラに寝かしつけられるまで思いつく事はなかった。




 翌朝、朝ごはんを食べている時にラオさんから奴隷を買うように促された。


「金は余ってんだろ?ある程度腕が利く奴隷を買って、屋敷の防衛にあてた方がいいぞ、ギルドからの護衛は今後もつくが、事情を深く知らせてる冒険者ばかりじゃねぇからな。あんまり気軽に加護を使ってると、いいように使おうとするやつも出てくるぞ。アタシの言えた事じゃねぇけどな」

「清掃要員も欲しい」

「確かにな。草を刈った後集めるのも面倒そうだしな」

「埃も面倒」


 ラオさんの話に便乗するように話し始めたドーラさん。

 僕の側にいる時は一緒に草集めや埃集めを手伝ってもらっているので本当に申し訳ない。なんかすごく力持ちだからついつい頼っちゃうんだよね。


「奴隷を増やすならご飯を作ったり、屋敷内の清掃をしてくれる人も欲しいっすね。正直、ご飯を作るより魔道具を作っていたいっす。寝る時間と起きる時間が決まってるっすから、たくさん作れないんすよね……あ、ホムラ様を批判したわけじゃないっすよ!?ほんとっす!!!」

「浮遊ランプもどきだけでなく、新しく作られた浮遊台車もどきの売れ行きは好調です、マスター。また、マスターが作った魔道具もドーラ様以外に買う人が出てきました。冒険者の方は魔法剣が手に入らないか、と言ってきました」


 ホムラの顔色をめちゃくちゃ気にしているノエルを全く相手にせず、淡々と告げてくるホムラ。

 周りをウロチョロされて気にならないの?


「んー、まあ部屋が余ってるし奴隷じゃなくてもいいから人を雇ってみたらいいんじゃない?」

「誓文交わさせるのが面倒だし、加護持ちは利用されやすいからな。奴隷で済む内容なら奴隷で済ませとけ」


 奴隷かぁ……無理矢理従わせて不満を抱かれてざっくりやられるとかあったら嫌だなぁ。

 そんな事を考えていたけど、この前お世話になった奴隷商人のブライアンさんを呼びつける事になった。

 ……お店に行って自分の好みを選ぶ感じじゃないんですね。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

お時間のある時に評価もして頂けると幸いです。広告の下にあります。

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― 新着の感想 ―
奴隷までもが奴隷を欲しいと言ってきてる~ ちょっと笑ってしまった
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