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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第19章 自衛しながら生きていこう

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374.事なかれ主義者は閉じ込めてしまった

いいね&高評価ありがとうございます。

 アイテムバッグを量産したり、ドローンゴーレムの試験飛行をしたりした翌日の早朝。

 まだ日が昇る前にラオさんに起こされた。


「おはよ……ラオさん」

「まだ眠いんだったらそのまま寝とくか?」

「んーん、今日の内に済ませたいから」

「そうかよ」


 ラオさんは朝早くというのにシャキッとしていて、完全武装していた。

 ラオさんに出て行ってもらって、寝室として使っている部屋に一人残された僕はせっせと着替える。

 安眠カバーを使わないと目覚めすっきり、とはいかないか。元々朝は強くはなかったし。

 ただ、昨日は試験飛行後に余った魔力でレヴィさんが貰って来たアダマンタイト製の武具や家具などを【加工】していたから安眠カバーを作り直す余裕はなかったから仕方ない。

 クレストラ大陸にいる間はお世話係は無しという事で昨日は普段よりもだいぶ早く寝たんだけど、それでも眠い。

 魔力切れで気絶するように寝たからかだるさもある。普段は安眠カバーのおかげでこういうのは感じていなかったのかもしれない。

 着替えを済ませて部屋から出ると、扉の前でラオさんが待っていた。


「準備はもう終わってるの?」

「ああ、アダマンタイトもアイテムバッグから取り出してあるぞ」

「ありがと。ルウさんは?」

「念のためドローンゴーレム使って南側を偵察中だ。ジュリウスとライデンが言うには人の気配はないって事だが、気配や魔力を消すのに長けた者が潜んでるかもしれねぇからな」

「そういう人って隠れるのも上手だからドローンゴーレムじゃ見つからないかもね。相手にバレずに近づけたらいいんだけど……あ!」

「閃くのは止めねぇけど、今はやるなよ。あの魔道具ですら普通じゃねぇんだから」

「…………まあ、そうだよね」


 機能の試運転の際、操縦に慣れない間は墜落させたり木にぶつけたりしちゃったから、薄ーくアダマンタイトで覆ったんだけど流石にやりすぎだよね。

 手を加えた後も木にぶつけちゃったんだけど、結構太い枝をへし折っちゃったし。

 もちろんドライアドたちには土下座した。

 階段を下りて廊下を進み、エントランスに行くと眠たそうな目のレヴィさんとドーラさんがいた。……ドーラさんはいつもの事か。

 ドーラさんは全身鎧を身に着けているけど兜はまだ被っていない。

 レヴィさんは寝間着姿だった。どうしてもこれから僕がする事を見てみたいからとセシリアさんに起こしてもらったようだ。そんな面白いものじゃないんだけど……。


「おはよう」

「おはようですわぁ……」

「ん」

「おはようございます」


 セシリアさんは日が昇る前だというのにメイド服をしっかりと着ていた。

 眠たそうな雰囲気も全くない。

 いつも寝ていないんじゃないかってくらい寝ている所を見た事がないんだけど、寝てるのかな。


「セシリアさん、ヤマトから手紙の返事とかきてない?」

「何も届いておりません。こちらが届けた忠告の手紙を読んでいるかは分かりませんが、お気になさらずに実行してよろしいかと」

「ん、分かった。最近は朝日が昇るまでは誰も入って来ないって事だったし、さっさとやっちゃおうか」


 皆を連れてエントランスから外に出ると、ジュリウスとライデンが控えていた。

 ルウさんは映し出されている映像を見ながらドローンゴーレムを操縦している様だったけど、僕が出てきた事に気付いたのか僕の方を見て口を開いた。


「おはよう、シズトくん。今日もいい天気になりそうね!」

「そうだね。絶好の設営日和だね」


 白い雲は所々に浮かんでいるけど、雨が降りそうな感じはしない。

 お試しで防衛設備を作るのに丁度良いと思う。


「シズト様、アダマンタイトの準備は既に終えております。また、ライデンにも確認しましたが、南側に人間はいないようです。ルウ様は万が一の事があるといけないからと、この世界樹の根元付近の森の中をドローンゴーレムで確認しておりますが、人影は見つかりません」

「そろそろおしまいにしてもいいんじゃねぇか? オイラがやって知覚できないレベルだったらあの魔道具じゃ見つけられっこねぇよ」

「そんな事ないわ! シズトくんが作った魔道具だもの。私がちゃんと使いこなせていないからだわ」

「いや、普通に魔道具のせいだと思うなぁ」


 サーモグラフィーだったか、そんな物を搭載してしまおうか。

 蛇の魔物とかが使ってそうな魔法だからか分かんないけど、思い浮かんだし……あ、はい。やる事やります。

 ラオさんにジロリと睨まれたので、そそくさとジュリウスたちの近くに山積みになっていたアダマンタイトのインゴットの所へ行く。

 ほとんどのドライアドたちが眠っている中、僕はそっとアダマンタイトのインゴットに触れる。


「【加工】」


 魔力を込めながら加護を使っていき、アダマンタイトのインゴットが一塊にしていく。

 アイテムバッグにこのまま入れようと思っても持ち上げられないから小分けにしておいたのだ。

 自分の背丈を軽く超えるほどの立方体になった所でスクリーンに映る景色を見る。

 僕たちの遥か頭上にあるので、森の外側まで映っている。まだ暗いのでよく見えないけど、南側に展開している軍のおかげで森と街の区別はつきそうだ。北側の街には事前に境界線が分かるように魔動ランプを置いておいたので問題ないだろう。

 とりあえずアダマンタイトをできる限り細く、上へ上へと伸ばしていき、ある程度の高さまで到達したら、今度は森を囲むように曲線を描きつつ境界線へと広げていく。

 失敗しても作り直せばいいので、速度を優先してガンガン伸ばしていき、完成したのはドーム状の檻だ。

 見えない程細いと怪我をするかもしれないので、アダマンタイトは丸みを持たせて丸い棒のようにしつつ、太くして見えるようにした。

 世界樹を傷つけるのは本意ではないので、世界樹の幹や枝の周りには若干余裕を持たせて空間を作っているからちょっと歪だけど格子状にしてある。

 街の北側へと続く道の先の部分には出入口を後で作る予定だけど、今は出る事も入る事もままならないだろう。

 転移系の魔法を持っている者か、僕くらいじゃないかな。

 隙間なく包んじゃっても良かったんだけど、そうすると真っ暗になってしまうのとアダマンタイトの消費がえぐそうだったからこの形にしてみた。

 問題があったらまた修正しよっと。


「これでちょっかいかけて来なくなるといいんだけどね」

「いや、どう考えても無理だろ」


 ラオさんが呆れた様な声音で言うけど、この檻は万能ではない。


「転移系の魔法で入ってくる事はできるよ? それに、隙間を空けてるから魔法で攻撃してこようと思えばできるでしょ?」

「対策はしないのですわ?」

「んー、魔道具で転移を阻害する結界を作っちゃってもいいんだけど……魔石の消費がねぇ」

「ドラゴニアの王都にもダンジョン産の転移を阻害する魔道具が設置されていますが、懸念されている通り高ランクの魔石を消費しているとの事でした」

「だよねー。どれだけ魔力を増幅しても求められる魔石のランクが高いとねぇ。大陸間の転移で使いたいから……」


 安定的に高ランクの魔石が手に入るようになるまでは一先ず様子見かなぁ。もしかしたらアダマンタイト製の檻を見て諦めてくれるかもしれないし。

 そんな事を思いながら、ルウさんがドローンゴーレムを操作して檻に問題がないか確認しているのを見つつ、量が減ったアダマンタイトをもう一度インゴットに戻していく。

 せっせとインゴットにしている間にドライアドたちも起きてきて、空にある金色の何かを気にし始めた頃、いきなり脳内に声が響いた。


『我を閉じ込めてどうするつもりだ、人の子よ』


 声が聞こえる前に動いたのはジュリウスとライデンだった。

 二人は僕の背後に回り、世界樹を見上げている。

 僕たちも二人の視線を追って上を見上げると……巨大な鳥がいた。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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[気になる点] >とりあえずアダマンタイトをできる限り細く[のばして]上へ上へと[伸ばして]いき、ある程度の高さまで[伸ばせたら]今度は森を囲むように曲線を描きながら境界線へと[伸ばして]いく。 「…
[気になる点] ふと、高ランクの魔石はどこでどんな人たちが補充してるんだろう?
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