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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第19章 自衛しながら生きていこう

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371.事なかれ主義者は急いで食べた

評価&いいね&ブクマ登録ありがとうございます。

 世界樹フソーよりも北側の国々との交渉をしてから数日が経った。

 ここ数日、ずっとクレストラ大陸にいるのは、大陸間を移動するために必要な魔石が高ランクなのであんまり行ったり来たりできないからだ。

 資金はあるけど買い集めるのに結構時間がかかるらしい。

 だから先代の世界樹の使徒が使っていたと思われる建物で寝泊まりをしながら世界樹フソーの世話をしていた。

 毎日【生育】を使っていたからか、世界樹フソーはだいぶ回復してきたようで、葉っぱが増えてきた。

 ドライアドたちのまとめ役であるお菊ちゃんが言うには、「元通りになるまであとちょっと!」らしいけど、ドライアドのいう「ちょっと」はちょっとじゃないって知ってる。

 特に急ぐ必要はないから魔力は半分ほどしか使わず、のんびりと世界樹の様子を見ていく事にした。

 残った魔力は魔道具の制作に使っている。

 初日にまとめて作った魔動車は交渉をした四ヵ国用だ。

 結局、あの後の交渉では代理人だったファルニルを除いた参加国の持ってきたアダマンタイトの平均を貰う事になった。

 いったいどれだけの価値があるのかは分かりたくないけど、そこら辺の貴族ではおいそれと手を出せない金額にはなったらしい。

 これで貴族から魔動車に関する依頼が減るだろうから僕は助かるし、向こうは思いのほか安く手に入って他の魔道具を購入する余裕も出てたくさん買い物ができて嬉しいだろうからどっちにも損ではない、はずだ。


「そんなにこれに価値があるとは思えないんだけどね」


 出来上がった魔動車を四台並べて眺めてみるけど、手直しをしたい部分が色々あった。代金は既に貰っているからいい加減納車しないといけないんだけど……変な所で拘ってまだ納車してない。ドワーフのドフリックさんがいれば相談できたんだけどな……。

 御者席……というか、運転席の安全性を確保できていなかったので前世の車のような形に落ち着いた。正面から見たら金色に輝く軽トラのように見えなくもない。

 運転席をアダマンタイトで覆ってしまうと前が見えなくなってしまうので、フロントとサイドの部分はガラスを嵌め込んだ。ガラスは魔法陣を刻んで耐久力を高めてみたけど、ジュリウスが軽く攻撃すると割れてしまったので大した強化はできなかったようだ。


「それを見出すのは向こう側ですわ。だからシズトは気にせずに向こうが求めた物をどんどん作っていくのですわ~」

「まあ、買った後の事なんて考えても仕方ないってラオさんたちにめちゃくちゃ言われたから考えないようにするけどさー……」

「それにシズトが魔道具を作りまくれば、ヤマト側にもそれは知られると思うのですわ。向こうも市場だけではなく魔道具師との繋がりを持てるからもしかしたら戦争を止めるかもしれないのですわ」

「それにお前、フソーの住人だったエルフたちを買うつもりなんだろ? だったらあって困る事はねぇからどんどん稼いだ方が良いんじゃねぇか? 後悔しないために」


 朝食を食べ終えたラオさんが魔力マシマシ飴を舐めながら僕を見てくる。

 まあ、確かにエルフたちを助けるために買い集めるとは言ったけどさ……。そのための資金集めの影響でいろいろ変わってしまう事を想像すると申し訳なるというかなんというか……。

 そんなどうしようもない事を考えながら取れたての野菜を使ったサラダをもしゃもしゃと食べる。

 窓の外にいるドライアドたちがくれた野菜でとてもおいしい。

 チラッと窓に視線を向けると一斉に顔を引っ込めるけど、彼女たちの頭の上に咲いている花はやっぱり隠せてない。

 日が経つにつれてだんだん花が増えていっているような気がするけど、覗かれるのは食事をしているこの部屋だけだから放置している。


「レヴィさんは今日も他国と交渉するんだよね? 今日は誰と?」

「ファルニルのギュスタン・ド・アリーズ様ですわ。話がまとまったようだからアダマンタイトを持ってくるそうですわ。そのついでに、他の魔道具も購入するか提案してみるのですわ~」


 ポタージュスープを優雅に飲んでいたレヴィさんは今日もドレス姿だ。

 交渉をする時はその恰好なので予想はついていたけど、今日も迎賓館で応対をするようだ。

 その護衛役としてドーラさんがついて行くために武装していた。


「ラオさんとルウさんは?」

「特にやる事ねぇよ」

「冒険者ギルドが近くにないもの。それに、私たちの大陸とこっちの大陸では違うと思うし、今後できても行かないと思うわ」

「そっか。じゃあ作った魔道具の試運転お願いしてもいい?」

「元からそのつもりよ。ね、ラオちゃん」

「ああ」


 いまだに新しい魔道具を作ったら他の人が試してから僕が試す事になっていた。

 作った事がある物だったら別にいいんじゃないかなぁ、とは思うけど大人しく従っている。

 ちょっと面倒だけど、それで困る事は今の所ないから。

 ジュリウスはいつも通り僕の護衛をしてくれるから特に確認する必要もないだろう。

 窓の外で覗くドライアドが増えているから早く食べ終えて世界樹フソーのお世話をしないとね。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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