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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第18章 ニホン観光をしながら生きていこう

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364.事なかれ主義者は先を見据えて考えた

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 ファマリーに戻ってきた翌朝。

 昨日は夜遅くまで起きていたのに『安眠カバー』のおかげで今日も目覚めはばっちりだ。

 でも、目が覚めても身動きが取れない状態になっていた。

 ルウさんが僕の体を抱き枕代わりにしていて、長い手足が僕に絡みついているからだ。

 色々もがいてみたけれど、結局今日のお世話係であるジューンさんが来るまで脱出する事は出来なかった。


「シズトくん、ごめんね? 苦しくなかった?」

「今回は苦しくなかったけど、次から気を付けてね」

「今度から寝坊しないように頑張るわ」

「そこじゃないんだけどなぁ」


 ガウンを羽織ったルウさんは申し訳なさそうにしながらジューンさんと一緒に部屋から出て行った。

 僕は落ち着いたのを見計らってからベッドから立ち上がり、着替えを済ませる。

 昨日はファマリーのお世話をしたので、今日はユグドラシルかな。

 世界樹の中では消費魔力が少ないので、いろいろとできそうだ。

 特にやる事がなかったらニホン連合のシガの観光でもしようかな?

 着替えをさっさと済ませて部屋から出ると、ジューンさんが待ってくれていた。

 今日も世界樹の使徒の代理人として働くのか、エルフたちの正装である真っ白な布地の服を着ていた。

 長いスカートの裾の方から胸の下くらいまで金色の刺繍がされているその服を着用する事が増えてきている気がするけど、特に僕に話は回って来ないから問題ないんだろう……たぶん。

 食堂に向かうと、すでに皆揃っていた。

 ルウさんはラオさんと同じような白いタンクトップを着ている。袖が短く、ズボンの裾も付け根付近までしかないからさっきまで絡みついていた柔らかい手足がよく見える。

 思い出さないように視線をちょっとルウさんから逸らして席に着くとクーの姿が見えない事に気付いた。

 昨日は別館で寝泊まりしていたし、今頃アンジェラと一緒にご飯を食べているんだと思う。

 別館に顔を出さないと文句を言いそうだから食べ終わったら迎えに行こうかな。

 食事前の挨拶を唱和して、食事を始めるとラオさんとルウさんはすぐに食べ終わってしまった。

 寝不足気味な様子のルウさんは「ちょっと寝てくるわ」と言って自室へと戻っていき、その様子をラオさんが横目で見ていた。

 ……皆の視線が何か言いたげな気がするけど、反応せずに食事を続ける。

 黙々と食事を続けていると、ノエルが嵐のように去っていった。

 ノエルは本当に魔道具の事しか興味なさそうだな。

 普段通りのノエルのおかげで、皆の雰囲気もいつも通りになったような気もする。……たぶん。

 食事を一通りし終えたレヴィさんに視線を向けると、彼女はドレスを着ていなかった。


「レヴィさんは今日どこで作業するの?」

「最近全く自分の畑の手入れをする事ができてなかったから見に行くのですわ。留守中は町の子たちとドライアドに任せていたから大丈夫だとは思うのですけれど、やっぱり自分の目で確かめないと安心できないのですわ」

「なるほど。それで、セシリアさんとドーラさんはその付き添い、と」

「左様でございます」

「ん。あと実験」


 セシリアさんはいつも通りメイド服をしっかり着こなしていた。

 ドーラさんは全身鎧を身に着けておらず、小柄で人形のように整った顔立ちが露になっている。

 三人の恰好から今日の過ごし方は見当ついていたけど、確認って大事だよね。


「ラオさんは今日はどうするの?」

「ルウがあんな調子だから、アタシものんびり過ごすかな」

「それなら一緒に畑の手入れをするのですわ!」

「まあ、いいけどよ。のんびりって言葉の意味知ってっか?」

「レヴィさん的にはのんびりするって事は畑作業をするって事なんじゃないかな。ホムラとユキは店番?」

「そうね、ご主人様。奴隷の子たちに任せっきりでもいいけど、流石に身分の高い者の接客はした方が良いでしょ?」

「エルフを適当に見繕い、従事させることも検討中です、マスター」

「まあ、彼らなら裏切る心配なさそうだもんね」


 ただちょっと一部のエルフが狂信的な感じがするだけで。

 壁際で静かに控えていたジュリウスに視線を向けると、こくりと頷いて部屋から出て行った。

 きっといい人材を見繕ってくれるだろう。


「私はぁ、特に予定がありませんからぁ、厨房の子たちに料理とか色々教えてこようかなぁ、って思いますぅ。できる事が増えればぁ、その分エミリーちゃんもシズトちゃんとの時間が増えますからぁ」

「あ、ありがとうございます……」


 照れ隠しをする事無く、エミリーがはにかみながらお礼を言うと、ジューンさんは「どういたしましてぇ」と微笑んでいた。


「シズトは今日何をするのですわ?」

「ジュリーニたちにシガで待機してもらってるし、いい加減観光しに行こうかなって。順番的に一緒に観光するのはパメラだった気がするけど、予定は空いてるかな?」

「昨日は夜勤明けのためしばらく寝て過ごしていましたが、今日は大丈夫でしょう。パメラに事前に声をかけておきましょうか?」

「うん、お願い」

「かしこまりました」


 ぺこりと頭を下げると、モニカも部屋から出て行った。

 パメラは朝ご飯が終わるまでに声をかけないと遊びに出かけちゃうからね。

 それにしても……やっぱり二人で夜勤を回してもらいつつ何かをしてもらうのは難しいよな。

 仕事は続けたい、って特にシンシーラが言っていたし取り上げるつもりはないけど……何事もなければその内妊娠するだろうし、その時に備えるという理由でもう少し人数を増やそうかな。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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