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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第18章 ニホン観光をしながら生きていこう

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353.事なかれ主義者はあんまり知らない

いいね&高評価ありがとうございました。

 ランチェッタ様は多忙な方なので、クレストラ大陸についての話をしたら早めにお暇した。

 去り際「次はもう少しゆっくりとお話できるように頑張るわ」と言っていたけど、侍女のディアーヌさんが「睡眠時間を削って頑張るのはやめてくださいね」と僕に聞こえる声量で女王様に注意していた。

 僕も睡眠時間を削って仕事をするのは良くないと思う。

 それでも以前よりは仕事量がだいぶ減ったのでちょっとお茶する時間くらいなら作れるとランチェッタ様が主張していたので、今後も定期的に会って話をする事になった。

 屋敷に戻った後はエミリーやシンシーラとお昼ご飯を食べた。

 食事の後はモフモフの尻尾を触りながらあったら便利そうな魔道具を聞きつつ魔道具を作ったんだけど、ノエルに見せたら「潰れてて読み取れないっす」と言われてしまった。うん、自重しますね。

 そのノエルはというと、昨日の今日だったが、ポケットクリーナーと名付けられた魔道具を作る事ができていた。魔法の効果は落ちてしまって取れない汚れはあるけれど、ちょっとした汚れだったらしっかり取る事ができるらしい。

 ただ、ノエルはそれを自慢する事はなく、他の魔道具をじっと眺めていた。

 描いた魔法陣が発動した後の事は興味がないノエルらしい。

 僕はその隣に座ってエイロンやエルヴィスと話をしながら魔道具の案をダンジョン産の紙にまとめて過ごした。今日はファマリーのお世話をする日だったから魔力に余裕がなかったから。


「シズト様、ノエル、お食事の時間です」

「うん、わかった。教えてくれてありがと」


 呼びに来てくれたエミリーには先に食堂に向かってもらう。

 机の上がごちゃごちゃになっていたので一通りアイテムバッグの中に突っ込んでおく

 適当に突っ込んでも取り出す時には念じるだけで簡単に取り出せるって本当に便利だよね。

 リュックの中にあるはず、って中身全部ぶちまけて探す必要がないのはとても楽だ。

 バッグの中に入れた事すら忘れてしまったら一生取り出せなくなるのが悩みどころだけど……まあ、それはメモか何かして対処するしかない。


「ほら、ノエル行くよ」

「今いい所だからほっといて欲しいっす」


 背を向けたままノエルが返事をした。

 これは無理だな。僕の筋力じゃ引っ張っていく事も難しいだろうし、放っておこう。

 魔道具を使えば余裕だけど、ホムラたちに任せてしまおう。

 ノエルの部屋を出て、階段を下りて食堂に向かう。

 道中では誰ともすれ違う事無く、食堂まで辿り着いた。

 扉をくぐって中に入ると、ラオさんとルウさん、それからノエル以外は全員揃っていた。


「ノエルは一緒じゃなかったのですか、マスター」

「もう少し後でくるって」

「……そうですか、マスター」


 無表情のまま一言だけ返すと、ホムラは席を立って食堂から出て行ってしまった。

 ……まあ、そのうちノエルと一緒に戻ってくるでしょ。

 食卓について二人を待っていると、レヴィさんが話しかけてきた。


「結局、ガレオールの問題って何だったのですわ?」

「ドライアドたちが実験農場に突然現れて占拠されてた」

「ファマリアの子たちですわ? ユグドラシルの子たちですわ?」

「それがどっちでもなくて、どうやらクレストラ大陸の世界樹の根元で暮らしてたドライアドたちだったみたい」

「海を越えてやってきたんですかぁ?」


 ジューンさんが不思議そうに首を傾げている。

 最近は、レヴィさんに次いでよくドライアドたちと関わっているから、彼女たちにとって潮風が害である事や緑がない場所はあまり良くない事を知っているからだろう。


「ヤマトの船に自分たちが育てた植物を紛れ込ませてこっちの大陸まで運ばせたんだって。青バラちゃんが道を繋げる時も青いバラを目印にしてるし、そういうものなんだろうね。紛れ込ませた事がバレて捨てられたり、船が魔物に襲われて沈んでしまったりしたらまたやればいいやって思ってたみたいだけど、とんとん拍子に上手くいったらしいよ。ただ、ガレオールについても潮風がやばいから避難先を探してて、屋外で全くそういう塩の影響がない実験農場に逃げ込んだみたい」


 そこまで話したところでノエルの足を掴んで彼女を引き摺って運んできたホムラが食堂に入ってきた。

 二人が席に着いたところで食事前の挨拶をして食事を始める。

 僕は果肉がたっぷり入ったみかんジュースを飲みながら話を続ける。


「安全な場所を探したのは古株の子で、潮風にやられて体調を崩しているらしいんだよね。それで、下の子たちが好き勝手しちゃって、実験農場の中が植えた覚えのない植物でいっぱいになってたよ」

「どこのドライアドも似たようなものなんですわね」

「みたいだねぇ。とりあえず今は仲良く棲み分けしてるみたい。以前からドライアドたちの助力が欲しいってランチェッタ様は思ってたみたいだし、古株の子が元気になったら交渉するつもりみたいだよ。その時は僕も同席するつもり」

「それならぁ、問題なさそうですねぇ」

「そうだね。あとは、世界樹についてだけど……小さい子たちには今すぐにでも世界樹フソウに向かってきてほしいって言われてるんだよね。ただ、こっちにも都合があるから、古株の子と話をしてからねって言って待って貰ってる状態なんだ」


 今日の謎の魔物の肉のステーキを切り分ける事ができたので口に運ぶ。

 香辛料か何かが効いていて、辛いけど美味しい。臭みが全くないのはそういう魔物だからだろうか。それとも香辛料か何かのおかげかなぁ。

 もぐもぐと咀嚼をしていると、壁際に控えていたメイド服を着た黒髪の少女モニカが話しかけてきた。


「ドランの方は特に問題ございませんでした。また、ジュリーニ様から報告があり、もうすぐシガの首都ビワに着くそうです」

「シガにビワってきたら滋賀県が元か。……でっかい湖とか作ってそうだなぁ」

「よくご存じですね」

「マジであんの!?」

「はい。国土の半分ほどを湖にしてしまった過去の勇者たちがいました。そのため水上都市が多い国だそうです。馬車に浮遊の魔法を付けていたおかげで、船を利用せずに当初の予定通りに着きそうとの事でした」

「馬車を引いていた子たちって水の上走れるの?」

「いえ、ペガサスに替えたそうですよ」


 なるほど。それなら水の上を走るって言うか、空を飛べば問題ないもんね。

 そう思っているとジュリウスが話に加わってきた。


「ただ、湖の魔物に襲われてからは世界樹の根元に住み着いたグリフォンに協力を依頼し、馬車を引いてもらいました。それからは問題なく進む事ができているようです」


 ……そんな事にグリフォン使っていいのかな。

 まあ、本人……本グリフォン? が納得しているならいいのか。

 とにかく、点在する水上都市を中継しながら進み、もうすぐ首都に着くとの事だったので明日、明後日には観光する事ができそうだ。

 滋賀県は琵琶湖のイメージしかないけど、他にどんなものがあるのかな……。

 過去の記憶を掘り起こそうとしながらのんびりと食事をしたけど、琵琶湖が邪魔して全然思い出せなかった。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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