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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第18章 ニホン観光をしながら生きていこう

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346.事なかれ主義者は明日からする事にした

いいね&ブクマ登録ありがとうございます。

 夕食を食べ終わり、のんびりと食後のデザートを堪能しながらヒロシマで見た使われていない遊具の話をした。

 けど、どうやらこの世界の人たちには共感してもらいにくい話だったようだ。

 話を静かに聞いていたジューンさんは頬に手を当てて困った様に眉を下げている。


「孤児の子たちもぉ、お仕事してましたよぉ。そういうものだと思いますぅ」

「人族も変わらない。数が多いだけより過酷」


 ドーラさんが珍しく会話に参加してきた。

 それに続くように、壁際に控えていたエミリーも話に加わる。


「獣人もそんな感じですね。まあ、私の種族が農耕民族だったから農業に駆り出されていただけかもしれませんが……。遊牧民族でも状況は変わらないでしょうね。狩猟民族は幼すぎると死ぬだけなので狩りには一定の実力がないといけないらしいですけど、鍛錬をひたすらするそうですよ。体が弱い子はそれで命を落とす事もあるそうです」

「平民はそれが普通なのか……。王族に生まれたら違うのかな?」

「そうでもないですわね。私は加護の事もあって最低限の教育しか受けていませんでしたけれど、お兄様や妹は遊んでいる暇はなかったような気がするのですわ」

「そのお兄様やらお父様やらは時折遊びに来てるけど……?」

「成人して、余裕を作れるようになっただけだと思うのですわ」


 レヴィさんの後ろに控えていたセシリアさんに視線を向けると「あれでも結構多忙な方々なんですよ」と苦笑している。

 僕が見るロイヤルファミリーは大体遊んでいるからなぁ。

 壁際にジッと控えていたモニカも、付け加えるように話し始めた。


「王族に生まれてもやはりそうですよね。貴族も大して変わらないです。私の家は下っ端の貴族なのかどうか怪しい家だったので、自分たちの事は自分たちでしていましたし、家業も手伝わされました。領民たちに評判の良くない貴族の家には好き勝手する子どももいるようでしたけど、そういう子どもは社交界に出たらだいたいやらかすので、ドラゴニアでは貴族として生きていけないですね」

「どこに生まれても子どもの頃から大変なんだねぇ……」


 ファマリアに住んでいる子どもたちに少しでものんびりと過ごしてもらおうと思っても、何かしら自分たちで仕事を探すのは、そういう所で育ってきたから、というのもあるのかもしれない。

 休みの日を設けても、隠れて仕事をしている子もいるらしいし……常識を変えるのはなかなか難しそうだ。

 賭け事などの大人向けの娯楽は多いけれど、子ども向けの物は少ない。

 ニホン連合を築いた過去の勇者たちもそれが気になって、公園みたいな所をたくさん作ったのかもしれないなぁ。

 ただそこにあるだけの物になってしまってるけど……。


「かといって遊ぶ事を強制するのもどうかと思うしなぁ」

「ドランでは運送業やレースで儲けて余裕のある子どもの中には遊ぶ子も出てきているそうですから、シズト様はあまり悩まれなくてもいいのではないでしょうか?」

「モニカの言う通りですわ。生活に便利な魔道具を作れば作っただけ町の子たちに余裕が生まれ、暇を持て余したら遊ぶようになるのですわ……たぶん」

「……なるほど?」

「他国どころか自国の街にすらその考え方を浸透させる事は難しいかもしれないのですわ。でも、ドランのように、少しずつ変わっているからシズトは焦らずのんびり好きな物を作っていればいいと思うのですわ~」

「そっすね。どんどん便利な魔道具を作るっす。なるはやでお願いするっす。ごちそうさまでしたっす~~~」


 珍しく魔道具を眺めながらのんびりと食後のデザートを食べていたノエルが席を立って食堂から出て行った。

 ……ノエルはただ自分が新しい魔道具を見たいだけなんじゃないかなぁ。

 レヴィアさんたちも同意見だったようで、目が合うと苦笑いを浮かべていた。




 今日のお世話係であるホムラと一緒にお風呂にのんびりと浸かりながら考え事をしていると、ホムラから話しかけてきた。


「先程の話をお考えなのでしょうか、マスター」

「そうだね。ホムラはどう思う? 僕は子どもは子どもらしく遊んでいればいいと思うんだけど……」

「同意見です、マスター」


 ホムラは考える素振りも見せずに淡々と即答した。


「まあ、ホムラたちは僕に同意するよね……ホムンクルスだもん」

「……マスターのお考えには基本的に賛同するのが私たちです、マスター。ただ、マスターの記憶などを直接引き継いだ私に関しては、子どもは子どもらしく、というマスターの考えをしっかりと理解して同意しているつもりです」

「そっか」


 ホムラをジッと見ると、ちょっとだけ眉を顰めているような気がする。

 今のは僕の言い方が良くなかったから「ごめん」と謝ると、ホムラは元通りの無表情になった。


「先程の話にあった様に、今まで通り気にせずに暮らしに余裕が生まれる魔道具を創っていけばいいかと思います、マスター。それが巡り巡って生活に余裕が生まれて娯楽が生まれるのだと思います」

「そういうものか」

「そういうものです、マスター」

「クーたちは次の国に移動し始めるそうだし、明日からは魔道具や遊び道具作りに専念しようかなぁ」

「それがよろしいかと思います、マスター」


 そうと決まればのんびりと何を作るか考えよう。

 と、思ったのも束の間、ホムラに「そろそろお風呂から出る時間です」と言われて脱衣所へと連れて行かれるのだった。

 抵抗したら抱きしめられて連れて行かれる事を知っているので、大人しくお風呂から上がり、自室へと戻る。

 ……夜はゆっくり考え事ができないから、明日の昼間に色々考えよう。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 目隠し眼帯と首枷と手枷と足枷と腕枷と太腿枷の何も見ることも動くことも出来ないようにして、愛玩人形になったり(魔法封印付き)とか 聴力封印とか暗示とか言われるがままされるがまま与えるがままの意…
[一言] 衣食住が満たされて初めて余裕を考えられるので……このあたりが子供の思考では限界でしょうか。
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