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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第17章 結婚しながら生きていこう

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323.事なかれ主義者は相談したい

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 目が覚めると、ユキが僕にくっついて眠っていた。

 寝る前に夫婦の営みを、という事でやる事はしっかりやった……というかやられたんだけど、その後の記憶がない。

 僕は寝転がっているだけでいいと言われ、好き勝手弄ばれた後に疲れて眠ってしまったんだと思う。

 安眠カバーは僕が寝た後にユキが僕の頭の下に入れてくれたのだろう。

 おかげで眠気を全く感じずに起きる事ができるんだけど……ユキが起きない。っていうか、僕に抱き着くようにして手と足を絡ませてきてる。

 ホムンクルスも普通に人と同じくらいの体温のようだ。素肌が触れ合っている部分が温かい。

 このままではいろいろとまずいからすぐにこの拘束から抜け出そう、と思って動こうとしたところで声がかかった。


「おはよう、ご主人様。朝から元気ね。一回した方が良いかしら?」

「そっとしておいてもらえると助かります!」


 いつの間にか起きていたユキが、黄色い瞳で僕をジッと見てくる。

 起きたのならば加減は不要だ、と拘束を外そうともがくけれど、普通にユキの方が力強いんだよなぁ。


「ユキ、離してくれないかな」

「……分かったわ、ご主人様」


 一瞬何事か思案した様子のユキだったが、僕の体の上に乗せていた足や腕をどかしてくれた。

 スケスケの寝間着を身に着けた彼女はガウンを羽織って「先に外に出ているわね」と言って部屋から出て行った。

 僕はベッドに汚れがないか確認した後、自分の体を見て胸のあたりに何か痕がついている事に気付いた。


「……キスマークってやつかな、これ」


 でもこんな色なのか……? んー、虫に刺されたわけじゃなさそうだし……と観察していると、パーテーションの向こう側にある部屋の扉が叩かれた。


「シズト、起きているのですわ? もう入っていいのですわ?」

「ちょっと待ってて!」

「分かったのですわー。ゆっくりでも大丈夫なのですわ!」


 ゆっくりしていると変な誤解を受けそうなので変な痕みたい物は気にせずに服を着て、クリーンルームに行き、魔道具で体を浄化しておく。

 体は綺麗になったんだろうけど、やっぱりお風呂に入らないと綺麗になったって実感が湧かないよなぁ。した後にお風呂に入った方が良いのかな。

 考え事をしながらレヴィさんの声のした方の扉に向かうと、扉が外側から開けられた。

 扉の向こうで待っていたのは普段着……というか農作業用の動きやすい服を着たレヴィさんだ。


「シズト、おはようなのですわ」

「おはよう、レヴィさん。セシリアさんも」

「昨夜はお楽しみでしたね」

「……お楽しみ……なのかなぁ」


 流されるまま流されていただけで楽しんでいたのかは謎だ。

 扉を開けてくれたセシリアさんにお礼を言ってから食堂へ向かう。

 僕の隣をレヴィさんが歩き、セシリアさんは後ろからついてきた。


「左様ですか。お楽しみではなかった、と。では、今日は楽しんで頂けるように頑張らせていただきますね」

「頑張るのですわー!」


 ……余計な事を言ったのかもしれない。

 いや、楽しんだって答えても「もっと楽しんでもらえるように頑張りますね」的な答えが返ってきたような気がするけど……うん、夜の事は考えないようにしよう。




 今日の皆の予定を確認しながら朝ご飯を食べた後、ファマリーのお世話のために外に出た。

 レヴィさんは今日は僕と一緒にいると決めているそうで、ついて来ている。もちろんセシリアさんも一緒だ。

 レヴィさんの護衛役としていつも近くにいるドーラさんは、今日は世界樹ファマリーの周囲に張られている聖域という結界の魔道具の外に出る事はないと伝えると、ドランに出かけてしまった。

 護衛のジュリウスは屋敷の方で僕の様子を見守っている。

 レヴィさんの護衛として周りにいた近衛兵たちは、フェンリルがいるから不要だとレヴィさんに言われ、ドライアドや子どもたちと混ざって農作業をしていた。いつもの事だけど、それでいいのか近衛兵。

 真ん丸の白い毛玉に挨拶をしてから露出している巨大な木の根っこに触れる。


「あんまり魔力持っていかないでください。【生育】」


 目を瞑ってお願いしたけど、普通に半分くらい持っていかれた。

 以前と同じ割合に戻っているけど、僕の魔力は増え続けてるはずだから、量的には増えてるんだよなぁ。

 長い年月をかけて世界樹を育てたエルフの事を考えると、僕の代でファマリーが成長を終えるとは思えないし、大丈夫かなぁ、次の代の人。

 青バラちゃんが言うには、世界樹にも意思があるみたいだし、そこら辺は良い感じに加減してくれるといいなぁ。


「終わったのですわ?」

「うん、もうこれでおしまい」

「じゃあ次は何をするのですわ? 特に予定がなければ、一緒に畑の手入れでもするのですわ?」

「そうだねー、それもいいけど……ちょっと話をしたいかなぁ」

「いいですわ。何の話をするのですわ?」


 ニコニコしながら首を傾げるレヴィさん。レヴィさんの動きに合わせてツインドリルがゆらゆらと揺れる。

 深呼吸をして、それから唇を湿らせて……口を開く。


「結婚式、やっぱりやろうかなって思って。その事で相談に乗って欲しい」

「………」

「レヴィさん?」

「分かったのですわ。場所を変えるのですわ?」

「そうだね、ちょっとここだと落ち着いて話せそうにないし」


 なんたって、ドライアドたちが纏わりついて来るからね。

 僕の体をよじ登って、肩に乗るのが最近のブームらしい。

 誰よりも早くてっぺんに登ってご満悦のレモンちゃんを地面に下ろし、屋敷へと戻った。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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