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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第17章 結婚しながら生きていこう

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319.事なかれ主義者は思い出さないように頑張った

いいねありがとうございます。

 ………やってしまった。いや、やられてしまった、の方が正しいかもしれないけど……やってしまった。

 目が覚めると隣には裸の女の子が眠っている。

 とても長い黒髪が特徴的なその女の子が着ていたと思われるスケスケのネグリジェや、際どい下着がベッドの端の方に畳まれている。

 僕が起き上がってやっちまった、と手で顔を覆っていると、隣で寝転がっていた女の子――ホムラがもぞもぞと動いた後、挨拶をしてきた。


「おはようございます、マスター」

「……おはよう、ホムラ。とりあえず服を着て」

「かしこまりました、マスター」


 ホムラがむくっと起き上がって着替え始めようとしたので慌てて彼女に背を向ける。

 一瞬見えた白く透き通った肌は、昨夜見た肌とは違うように見えた。外から入ってくる自然光と、魔道具から出る人工的な光の違いによるものかもしれない。

 ホムラが着替えている事を意識から追い出すために、僕もさっさと服を着る。

 綺麗にたたまれていた服に袖を通して着替え終わる頃には、ホムラもガウンを羽織っていた。


「その恰好じゃあれだから、自分の部屋で着替えてきて」

「かしこまりました、マスター」


 照れた様子は全くなく、平常運転の彼女は無表情のままぺこりと頭を下げると、言われたとおりに外に出て行く。

 普段通り過ぎて、昨日の夜の事が夢のように感じる。

 ただ、今日もしっかりと安眠カバーを使って眠っていたので、夢ではない事は分かっていた。

 ついに童貞ではなくなってしまった……。

 何とも言えない気持ちだが、証拠隠滅をしようと思ってベッドのシーツやら自分の体やら異常がないか確認していると、ホムラが扉を開いて出て行くのと入れ替わりに、人が入ってきた。


「入ってもいいかしら、ご主人様」

「良いよって言う前に入ってるじゃん」

「ちゃんとプライベートゾーンには入ってないわよ?」


 そう言いながらパーテーションの向こう側から現れたのは、短く切り揃えられた真っ白な髪に褐色の肌が印象的なユキだ。

 体をすっぽりと覆うローブを着ているというのに、胸の膨らみはよく分かる。

 ユキは僕と視線が合うと、口元を綻ばせた。


「おはよう、ご主人様。今日も準備が整ってしまっているのね。まあ、いいわ。ご飯に行きましょう」

「……うん」


 ユキが普段通り過ぎる。

 何かしら突っ込まれるかもと覚悟してたのに……いや、食事の時に聞いてくる可能性もあるから油断はしないようにしよう。

 ただ、ユキには「準備が終わってないから」と言って部屋の外で待っていてもらって、新しく作ったクリーンルームで自分の体を念のため綺麗にしておく。臭いをかいでみたけど、どこからも特に変な臭いはしなかった。シーツは……ちょっと僕一人じゃ大変だったから諦めた。多分問題ないと思うし……。

 部屋から出て、ユキと合流して食堂へと向かう。

 誰ともすれ違う事無く食堂に着くと、皆揃っていた。ホムラもちゃんと着替えていつもの魔法使いっぽい格好だ。

 席に着いて食事前の挨拶をすると食事が始まった。

 いつもと同じような光景だけど……僕の被害妄想か、皆の視線が気になる。

 食べる事に集中しよう、とドレッシングがかかったサラダをもしゃもしゃと食べていると、もりもりとご飯を食べていたレヴィさんが今日の予定を確認し始めた。


「私は特に誰とも会う予定がないから久しぶりに農作業に専念するのですわ。皆はどうするのですわ?」


 まあ、レヴィさんの格好を見れば分かるよね。

 今日はドレスを着ておらず、長袖の服を着ていた。机で見えないけど、たぶん下はズボンを履いているんだろう。

 日差しとか気にしないレヴィさんの事がちょっと心配になったので、魔道具化した麦わら帽子を渡したんだけど、セシリアさんがそれを持って控えている。


「アタシらは町の奴らが『離れ小島のダンジョン』に行くらしいから引率する事になった」

「今日は日帰りの予定だけど、万が一の事があったらしばらく帰ってこないかもしれないわ」


 食事をすでに終えて魔力マシマシ飴を舐めていたラオさんとルウさんは防具を身に着けていたけど、ダンジョンにまた行くようだ。

 既に調査し終えた階層で、冒険者希望の町の子たちに『ダンジョンとはどういう所か』を実際に見てもらって教えていくらしい。

 研修所の教員だけで回そうとしていたらしいが、実際に見た事がある人がいた方が良いという事でラオさんたちが行く事になったんだとか。


「レヴィの護衛」


 全身鎧を身に着けていないドーラさんがぽつりと呟くように言葉を放った。

 世界樹ファマリーの根元の畑では護衛は必要はないが、万が一のために付き添うらしい。

 ただ、護衛と言いつつだいたいレヴィさんに言われて近衛兵と一緒に農作業の手伝いに回されているのを僕は知っている。


「私はぁ、ユグドラシルの話し合いに参加ですぅ」


 エルフの正装である純白の布地に金色の刺繍が施されたワンピースを着ているジューンさんは、ユグドラシルの人たちに呼ばれてそっちに行くらしい。

 ホムラとユキはそれぞれドランとガレオールにある店の店番をしてもらう予定だ。

 モニカやノエルはいつも通りそれぞれやるべき事をやるようだ。


「ごちそうさまでしたっす~~~~」


 食べ終わったノエルが競歩のような歩き方でそそくさと部屋の外に出て行く。

 給仕をしていたエミリーは、料理大会で優秀な成績を修めた子たちが新しく働く事になったのでその教育をするらしい。

 顔合わせはすでにしている。ただ、女の子ばかりだと思っていたけど、男の子も数人いた。

 時間のある時に話をしようとは思うんだけど、エミリーの教育を邪魔しちゃいけないと思ってなかなか話す事ができていない。


「シズトはどうするのですわ?」

「僕はトネリコのお世話をしたら向こうでやる事があるからそっちで過ごすかなぁ」

「お供します」

「よろしく、ジュリウス」


 護衛としてジュリウスがついて来てくれるらしい。ただ……ジュリウスも一緒に連れてってくれるのかなぁ。

 難しい気もするけど、ちょっと説得頑張ってみよう。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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