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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第16章 片手間にいろいろしながら生きていこう

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304.事なかれ主義者はしばらく待った

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 世界樹のお世話が終わったので案内をするために町へ向かう。

 その間、ランチェッタ様とさっき使った生育の加護について話をしていた。ジュリウスは先導をするために僕たちの前を歩き、僕たちの後ろにはディアーヌさんがついて来ている。


「生育の加護を持つ者が増えれば、飢饉でなくなる者も少なくなるわね」

「一気に成長させればたくさん備蓄とか作れるからそうかも……でも、植物が育つ時に必要な水とか栄養とかどうしてるのか謎だし、あんまり同じものを育てすぎても植物に良くないって聞くけど、加護は問題ないのかな?」

「生育の加護については、シズト殿に分からない事はわたくしにも分からないわ。ただ、植物を成長させる魔法と考えれば、使用者の魔力で代替してるんでしょうね」


 魔法って何でもありなんだなぁ。利用しまくってるし、とても助かるからいいんだけどさ。

 距離が近ければ近いほど消費魔力が少なくて済むのも、遠くまで効果を発揮するために余分な魔力を使ってしまっていると考えれば納得だ。

 もしかしたら育てる植物に必要な物が多ければ多いほど魔力消費が多いのかもしれない。

 魔道具で作ったたい肥を混ぜ込んだ土で育てる場合と、そこら辺にある土だけで育てる場合の違いを同じ植物で実験してみるのも面白いかもしれない。

 話をしている間に畑を抜けていた。

 今日も町はとても賑やかで、物や人を乗せた浮遊台車がたくさん行き交っている。

 たくさんの食材を他の街から持ってきた商人と、それについてきた護衛の冒険者たちが通りを歩いていた。

 料理大会の前は奴隷の方が多かったのに、今では外からの人が多いかもしれない。

 人が多くなればそれだけトラブルは増えるけど、その対策はある程度町でもしているらしい。

 公認奴隷商のブライアンさんが各地から集めてきた選りすぐりの戦闘奴隷たちをホムラが買ったらしく、奴隷の証である首輪を着け、武装をしている者たちが町を巡回している。

 ドラン公爵が駐屯させている兵たちも見回りをしているので、何かしら揉め事が起きてもすぐに対処できるだろう。


「今日はどこから案内してくれるのかしら?」

「まずは東にあるプロス様の教会からにしようかなって。魔道具が多いとあれもこれも気になって時間が足りないってなりそうだし、エント様の教会は最後にしようと思う。まあ、ガレオールにあるところとあまり変わらない気がするからそんな時間がかからないと思うけど」

「それはどうかしら……わたくし、ガレオールの教会はあまり詳しく見てないのよね。最後にしてもらってじっくり見る事ができるのはとても嬉しいけれど、じっくり見る事ができるからこそ長居してしまいそうね」

「休暇に丁度いいじゃないですか」

「あまり留守にし過ぎてもダメでしょ?」

「その方が私たちとしては都合がいいです。主が不在だからこそ好き勝手しようとする愚か者を炙り出せるかもしれません」


 ランチェッタ様と後ろにいたディアーヌさんが何やら言い合いを始めてしまった。

 これは聞かない方が良い気がするから心を無にして歩いていると、前方に人だかりができていた。

 それに気づいたランチェッタ様が僕の手をニギニギとしてくる。


「アレは何かしら?」

「んー、場所的にトロッコ乗り場じゃない?」

「トロッコ? 坑道とかにある?」

「そうだよ。ジュリウス、ここでちょっとトロッコを見たいんだけど、人が集まってるから危ないかな?」

「特に問題ございません。あまり私から離れないでいただけると助かりますが」

「ん、分かった。じゃあその内来ると思うからちょっと待ってようか」


 待っている間はランチェッタ様に道路に敷かれた線路を見せ、ドワーフたちに作ってもらった事や、トロッコは僕が作っているわけではない事を説明しているとトロッコがやってきたようだ。

 長く連結されたそれはだんだん前世の電車のようになってきている気がする。

 まだ車体は坑道とかにあるトロッコだけど、その内電車の車体のような物を提案してみてもいいかもしれない。

 歩く速度より少し早い程度の速度だが、たくさんの荷物と人を乗せてやってきたトロッコは、僕たちの前を通り過ぎ、人だかりの中を突っ切って進む。邪魔にならないように人だかりが避けていく様は、先頭車両で見たら面白いかも。

 人だかりの真ん中ら辺で止まると、荷物と人の入れ替えが始まり、物の数分で終わるとトロッコが出発した。外から来た者たちは興味本位でトロッコに乗っていたみたいだ。首輪を着けていない者たちが体を伸ばしていた。


「あんな感じで人とか物を運ぶんだけど……ランチェッタ様?」

「………」


 ランチェッタ様は僕と繋いでいない方の手を顎に沿えて、何やら考え込んでいる様子だ。線路をジッと凝視して固まってしまっている。

 ディアーヌさんの方を見ると、肩をすくめられた。


「一度こうなると考え事が終わるまでは他の事はしません」

「……そっか」


 とりあえず道のど真ん中はいろいろと邪魔だし、注目集めるから端っこに寄ろうか。

 手を引いて歩くとすんなりと移動してくれて助かった。ただ、今日もスケジュール通りには進まなさそうだ。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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