表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第16章 片手間にいろいろしながら生きていこう

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

447/1359

300.事なかれ主義者は念のため間に入った

評価&いいね&ブクマ登録ありがとうございます。

 ドライアドたちのプレゼント攻撃が止み、町へ行こうと思ったけど手を繋いだままのランチェッタ様が急に立ち止まった。

 視線の先にはドライアドたちと一緒に人族の幼い子どもたちが水やりや草抜きなどをしていた。


「町に行かないの?」

「行くわ。けど、畑仕事をしている子たちも気になるのよ。小さい子ばかりだけど、あの子たちがこの畑を作ったの?」

「いや、ほとんどレヴィさんだね。管理はドライアドたちがメインで、そのお手伝いで町の子たちに来てもらってるんだよ」

「レヴィア殿が……それはすごいわね。畑仕事をしているような手じゃなかったけれど、魔法でも使ったのかしら」

「魔道具を使ったんだよ。最近は耕す場所がないからどこかに放置されていると思うんだけど……」


 と視線を彷徨わせると、話を聞いていたのか幼子たちの監督役として来ていた少女が持ってきてくれた。

 お礼を言ってからランチェッタさんにそれを見せる。


「魔動耕耘機って名前の魔道具だよ。これは……魔石を使うタイプか。魔石を所定の位置に置くと、動くんだよ。こんな感じで」

「へえ、楽そうね。開拓する時にあると便利ね。でも、これだけの広さの畑だと水やりも大変よね」

「そこは魔動散水機で勝手に水がまかれるようになってるから大丈夫だよ。魔石入れ忘れると水が出ないから、ドライアドたちが毎日点検してくれてるけど、そのくらいかな」

「……その魔道具を見せてもらってもいいかしら」

「いいけど……町に行かなくていいの?」

「後で行くわ」


 一番近い魔動散水機の所まで行くと、ドライアドがちょうど魔石を入れている所だった。

 話を聞いていてやって見せてくれている……わけないか。ドライアドがきょとんとした表情で僕をじっと見ている。気にせず作業をしてください。


「……これは真水よね?」

「そうなんじゃないかな?」

「魔法で生み出した水を周囲に飛び出るようにしてあるのね」

「まあそんな感じだと思うよ」


 ぶっちゃけ、見た目だけ真似て作ったけど後は付与頼りだから具体的な内部構造とか知らない。


「これが流通したら日照りで悩む事もなくなりそうね。シズト殿以外に作る事ができるのかしら?」

「今の所できたって話は聞かないねぇ」

「そう……残念ね」

「そういう時って水魔法が使える人が水を生み出すとかじゃ駄目なの?」

「数が足りないわ。それに、水魔法が使える者は戦闘以外にもそういう使い方ができるから割と重宝されているのよ。だからわざわざ助けてくれる事はほとんどないわね」


 まあ、魔力は有限だもんね。

 そう考えると、水系の魔道具を普及させても余計な恨みは買わないかも……?

 首を傾げて考えていると、ランチェッタ様が「他にどんな魔道具があるの?」と問いかけてきた。

 どんなって言われても、後は……じょうろとたい肥を作る箱くらいか。

 どちらも屋敷の近くに置かれていたはずなのでとりあえず屋敷に向かった。




 外にあったじょうろとたい肥を作る箱だけではなく、ボウリングや独楽について説明をしているとお昼の時間になった。

 結局町の中に入る事ができずに時間が過ぎてしまった……当初の散策の計画が大きく狂っている。

 観光名所と言われている場所をリサーチしたけど、ぜんぶは回れないかもしれない。

 どうしたものか、と考えながらジューンさんが作ってくれたお昼ご飯を食べ終えて、屋敷を後にした。

 本当は食べ歩きをしたかったんだけど、念のため毒見の必要があると言われてしまったらどうしようもなかった。屋台の物を食べる度に毒見をしてもらってたら温かい料理が冷めちゃうだろうし。

 ……毒を無効化する魔道具でも作ろうかな。

 できそうな気もするけど……完全ではなさそうだ。

 それに、今作ったところで本当にそれが毒を無効にする魔道具化どうかを調べてもらう必要が出てくるだろうし、無駄になりそうだからやめた。万が一なんかあったらエリクサー出せばいいや。

 畑と畑の間の道を通り、町に近づくにつれて喧騒が大きくなってくる。

 でも、ランチェッタ様はその賑やかさよりも、所々にある外灯が気になるようだ。


「シズト殿の家の周りだけじゃなくて町の中にもあるの?」

「うん。ただ、町の方は数が多すぎるからウチの魔道具師たちが作った廉価版だけどね」

「そう。明るさ次第だけど、依頼したら作ってもらえるのかしら?」

「そこら辺は僕に聞かれても分かんないから、レヴィさんにお願いしますー」


 魔道具関係の仕事は基本的にホムラやユキが管理しているけど、王侯貴族が相手の時はレヴィさんの管轄だ。

 僕には分からない色々な事があるだろうから下手に手出ししないように気を付けている。


「分かったわ。それにしても、本当にドライアドが多いわね。目撃例が数少なくて文献なんてほとんど残っていないのに」

「あー、確かに他の所だとほとんど見た事がないけど……世界樹の周りにたくさんいるよ?」

「……世界樹の育て方と一緒に、一部のエルフが秘匿してたのね、きっと」

「世界樹の影響で珍しい植物が豊富だったと思っていましたが、彼女らのおかげもあるんでしょうね。ドライアドたちが訪れた場所は豊作になると言われていますし」

「捕まえようとしたり危害を加えたりしたら不作になるんだったわよね」

「そうと分かっていたとしても、農業が難しい我が土地には欲しい種族ですよね」


 ランチェッタ様とディアーヌさんが畑作業をしているドライアドたちを見ながら黙った。

 何となく目つきが怪しい気がする。

 …………無理矢理お持ち帰りするのはダメですよ?

 堆肥を報酬として用意すれば何人かは手伝ってくれると思うので、平和的にお願いします……って、ちょっと今取り込み中だから髪の毛で絡みついて来ないでほしいなぁ!

最後までお読みいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ