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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第15章 三本の世界樹を世話しながら生きていこう

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267.事なかれ主義者は放っておきたい

 いつもと同じ時間にシャキッと目が覚める。安眠カバーのおかげで今日も快眠だ。

 ただ、いつもと違ってなんだか柔らかい感触と温もりを主に右半身に感じた。

 視線をそっと動かして僕を抱き枕にして眠っている人物を見る。

 最初に目に入ってきたのは真っ白な毛だ。世界樹の根元でだいたい寝ているモフモフの毛玉でも、狐の耳が生えているわけでもない普通の頭だ。何だか甘い良い匂いがする。

 僕の体に抱き着くように眠っているので大きな胸の感触が……胸だよね、これ? 多分胸。おそらく胸。だって柔らかいんだもの。自分から触った事がないから万が一の可能性で違うかもしれないけど。

 意識したら下半身が先に起き上がりそうだったので思考をどこかに放り捨ててガバッと起き上が……れないですね、がっつりホールドされてますわ。


「ユキ、起きて」

「起きてるわ、ご主人様」


 パチッと目が開いて僕を見上げたユキは、ふっと笑った。

 ホムラと同様端正な顔立ちの彼女が微笑めばそれはもうドキッとするわけで……とりあえずさっさと離れてもらう。

 お願いしたら素直に聞いてくれてすぐに離れてくれた。

 ただ、その恰好がまた問題だった。そっと視線を逸らしてユキに抗議する。


「どうして下着姿な訳!?」

「寝苦しいからに決まってるじゃない、ご主人様」

「そんな当たり前みたいに言われても困るんですけど! とにかくなんか服着て!」

「分かったわ、ご主人様」


 静まり返った室内だからか、服を着る音がやけにはっきり聞こえてくる。

 しばらくするとその音が止み、ユキの声が聞こえてきた。


「着たわ、ご主人様。それで、次は何をすればいいかしら? 鎮めるお手伝い?」

「けっこーです! 早く出て行って!!」

「そう、分かったわご主人様。また今度お手伝いさせていただくわ」

「けっこーです!!」


 クスッと笑ったユキはパーテーションの向こう側に消え、しばらくしてから扉が開き、閉じる音がした。

 深くため息を吐くと、しばらくの間、心を無にして過ごす。

 ……最後の最後で余計な事をユキが言ったからしばらく時間がかかりそうだ。

 息子が鎮まるまで時間を要したが、何とかモニカがやってくるまでには鎮める事ができた。

 今日は都市国家トネリコに行くからいつもの服装ではなく、ユグドラシルの代表が着る特別な服を着る必要がある。

 手伝いは不要だけど、何か間違っていないか確認をしてもらうためにモニカがやってくるので、それまでに何とか自分で着替え終わらないといけない。

 本当にギリギリだったけど、何とか間に合った……? いや、モニカの事だから着替え終わるまで待っていた可能性もありそう……。


「どうかされましたか?」

「いや、なんでもないよ!」

「そうですか」


 僕が首を傾げていた事が気になったのだろう。

 目の前にいた黒髪の少女モニカも同じく首を傾げて聞いてきた。

 あほな事を考えてました、なんて言えるわけもなく曖昧に笑ってごまかす。

 モニカは僕の立ち姿をいろんな角度から見て、袖や襟の部分や、ズボンの裾が気になるのか少々弄った。

 着せ替え人形みたいに最初から最後まで着替えの手伝いをされると流石に恥ずかしいけど、このくらいのチェックや微修正は慣れた。


「……問題ありません。お食事の準備が整っております。お食事になさいますか?」

「うん。白い服だから食べるのに気をつけなきゃ……とかは魔道具化してるから必要ないのいいよね」

「そうですね、私ども奴隷もこの服が汚れてもすぐに汚れを落とす事ができて重宝しております」

「そっか、それは良かった」


 食堂に着くと、いつものように皆揃っていた。

 先程まで賑やかに何か話をしていたのに、僕が入ってきた瞬間にピタッと静かになるのは何だか気になるけど……たぶん、下手に突かない方がよさそうな事なので、気にせずに「いただきます」と唱和して朝食を食べる。

 護衛としてついてくる予定のラオさんとルウさんは既に食べ終わっていて、防具の調子を確認していた。二人とも今日は魔力マシマシ飴を舐めておらず、真剣な表情だ。

 僕と同じような刺繍が施された純白のワンピースを着ているジューンさんは普段と変わらず、のんびりと食事をしている。

 レヴィさんは普段の農作業用の服ではなく、海のように青いドレスを着ていた。開いた胸元にはひもを通して首飾りにされた『加護無しの指輪』が光っている。

 ドーラさんは食事を既に済ませ、大きな盾の手入れをしている。


「……なんか皆いつも以上に物々しくない?」

「トネリコにいるジュリーニからの報告では、前任の世界樹の使徒が行方を晦ましているそうです。ジュリーニには安全確保をさせておりますが、念のため護衛の方々には私からその旨をお伝えさせていただきました」

「なるほど……」


 厄介事が起きる前にパパッと用事を済ませてさっさと帰ろう。

 前任の使徒がそのまま行方を晦ませたままでこっちに危害を加えないならほっときたいなぁ……。

 ああ、でも陰で恨まれて呪われるのは厄介だし、やっぱり見つけてもらうべきなのか。

 でも、触らぬ神に祟りなしっていうし、下手に手を出すと刺激して良くないか?

 ……うーん、分からん。

お読みいただきありがとうございます。

ストックが尽きました。

明日以降更新できるかは分かりませんが、善処します。

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