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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第14章 海洋国家を観光しながら生きていこう

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256.事なかれ主義者は供物を求められた

高評価&いいね&ブクマ登録ありがとうございます。

 別荘の中にはレヴィさんが置いていった魔道具が点在している。ただ、どれも魔石を使うタイプの物ばかりだった。


「現地で奴隷を雇うかもって話だったから魔石タイプの物ばかり置いてたけど、自分の魔力を使う物の方が良い?」

「どちらでも大丈夫です!」

「今後護衛用の戦闘奴隷も雇う場合は魔石で動く物の方が良いんじゃねぇか? 万が一の時に魔力切れで動けません、ってなると困るしよ」

「なるほど、確かに」


 この海域は魔物の脅威が少ないとはいえ、万が一の事も考えて一定の防衛力は準備しておくべきだ。

 だから早い内に戦闘用奴隷を買う予定なんだけど、その間の防衛は奴隷たちに『帰還の指輪』と同じ魔法陣を付与した首飾りを渡している。

 別荘は守れなくてもいいから彼女らの命を守れるといいな、と思って渡した物だけど、いざという時に使ってくれないと困るので「危険だと感じたらすぐに使え」と命令した。あんまり命令で強制したくないんだけど、こればっかりはしょうがない。


「除塩杭の方はどんな感じ?」

「問題なく使う事ができてます!」


 ヘレンがそう答えた後、赤いおさげの少女リオノーラがおずおずと手を挙げた。


「は、発言しても、よろしいでしょうか?」

「いいよいいよ、どんどん発言してって」

「ありがとうございます。あの、除塩杭でできた塩が結構な量になるんですけど、どうすればいいんでしょうか?」

「あー……どうしようか?」

「エミリーちゃんに渡して使ってもらう?」

「……そうだね。質とかも分かんないし、そうしようかな。ルウさんの言う通り、とりあえずアイテムバッグの中に入れておいて」

「かしこまりました」

「除塩杭で思い出したけど、農作業用の魔道具を作った方が良いよね?」


 ヘレンに尋ねると、彼女は首を傾げ、困った様に眉を下げた。


「えっと……すみません、使った事がないのでなんとも……」

「じゃあ教えるついでに作っちゃうね!」


 そうと決まれば早速建物の外に向かう。

 とりあえず堆肥を作る箱と、魔動耕耘機を作ろっかな。




 手始めに転移陣のすぐ近くに堆肥を作る箱を作って、ヘレンたちには『全自動草刈り機』によって刈られた草を集めて土と一緒に入れてもらう事にした。

 僕はその間に『魔動耕耘機』や『魔動散水機』を作る。

 耕耘機は人数分も要らないけど、散水機は少し多めに作って畑にする予定の場所に設置した。


「あとファマリーの根元にあってここにない物って何かあるかな?」

「シズト様、ファマ様たちの像がありません」

「ああ、確かに」


 ヘレンたちも祠があったらお祈りくらいしてくれるかもしれない。

 ジュリウスがアイテムバッグの中からアダマンタイトを出して用意してくれたので、それを加工してササッと等身大の三柱の像を作った。

 魔力が余った日は、夜な夜なアダマンタイトの操作ついでにファマ様たちの像を作る練習をしているからお手本を見なくても作れるようになってしまった。

 まあ、悪い事じゃないからいいか。像を作ったついでにお祈りでもしようかな、と思って膝立ちになり手を合わせて像を拝む。


『し、シズト。き、聞こえるんだなぁ?』

「ファマ様?」

「あ? どうした?」

「何かあったの、シズトくん?」

「今ファマ様の声が聞こえた気がするんだけど」

「私には聞こえなかったわ」

「まあ、アタシらは加護持ちじゃねぇしな。んで? ファマ様は何を言ってきたんだ?」

「いや、ただ聞こえるか、って聞かれただけ」

「何か伝えたい事があるんじゃないかしら?」

「とりあえずもう一度祈っといた方が良いんじゃねぇか? 声を届けるほどの事なんだから、よっぽどの事なんじゃね?」

「……そうだね」


 背中からタックルされないか気を付けながら手を合わせると、また脳内に声が響いた。


『し、シズト。い、祈ったままで聞くんだなぁ』

『しゃべっちゃだめだよ……?』

『目もギュッて瞑ってて!』

『な、何か言いたければ心の中で思い浮かべるんだなぁ。わ、分かったんだな?』


 わかりました。

 ところでどうして今回は脳内に声が響く感じになったんですか?


『神力の温存のためだよ……?』

『ちょ、直接呼ぶより力を使わなくて済むんだなぁ』

『今コツコツ貯めてるから、極力使わないようにしてるんだよ!』


 なるほど。

 ……雪だるま作りのために呼び出された気がするんですけど。


『それは大事な用件だから仕方ないの!』


 そうですか、それなら仕方ないっすねー。

 話を戻しますけど、何の用ですか?


「って、ルウさん、抱き着かないで!」

「あら、今日はすぐに反応があるのね」

「神様と話をしてるから邪魔しないで! ラオさん、ちゃんと見張ってて!」

「わーったよ」


 ついルウさんに抱き着かれて目を開けちゃったけど、もう一度像の前で手を合わせて目を瞑り、祈りを捧げる。


『な、何度も祈りを止めるのをやめるんだなぁ! い、いちいち繋げるために力を使っちゃうんだなぁ!』


 それはごめんなさい。

 でも、僕は悪くないと思うんすよ。


『言い訳しないの!』


 すみません。

 ……またルウさんにいたずらされる前に手短に用件を仰っていただいてもよろしいですか?


『わ、分かったんだな。お、オイラたちも何度も繋げるのは嫌だからそうするんだなぁ』

『繋げてる間も、ちょっとずつ神力を使っちゃうもんね……?』

『パパッと伝えちゃお!』


 はい、お願いします。


『し、シズトだけおいしそうな物を食べてずるいんだな! お、オイラたちも食べてみたいんだな!』


 食べてみたいって言われても……。


『お供えしてくれるだけでいいんだよ……?』

『プロスたちもお魚食べたーい!!』

『ま、毎日食べたいんだなー』


 毎日って、僕もそんなに食べてないのに!


『た、食べたければ食べればいいんだな』


 いや、そうなんすけどね?

 外に出るのが面倒なんすよ。

 でも、それもジューンさんたちがガレオールの料理をマスターすれば問題解決できる!


『お、オイラたちも食べたいんだな!』


 わかりました。

 とりあえずエミリーとジューンさんがガレオール料理をマスターするまでは屋台で買ってきてもらった物でいいっすか。


『異議なーし!』

『よろしくね……?』

『きょ、今日から食べたいんだなぁ。つ、伝える事は伝えたから切るんだなぁ』


 そうして言いたい事だけ言い終えた神様たちの声が聞こえなくなった。

 しばらく目を瞑って待ってみたけど特に変化がなかったので目を開く。


「んで、神様たちはなんて言ってたんだ?」

「海鮮料理をお供えしてだって」

「………」

「いや、ほんとだよ? 嘘ついてないよ?」

「はいはい、分かった分かった」

「絶対分かってないよね? ほんとに神様が食べたいって言ったんだって! 僕が食べたいからとかじゃないってば!」


 ラオさんは「はいはい」というけど、これ絶対信じてない!

 何とか信じてもらおうと思ったけど、「昼飯食いたいんだったらさっさと作れ」とラオさんに言われたので、お昼休憩までせっせと魔道具を作る事になるのだった。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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