表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第13章 獣人の国を観光しながら生きていこう

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

320/1357

215.事なかれ主義者は納豆が恋しい

誤字脱字報告ありがとうございます。

 ファマリアにある研修所などを見学した翌朝。

 目が覚めると、ジューンさんが僕が寝ているベッドの上に座り、僕の前髪を弄っていた。

 窓から入ってくる太陽の光に、彼女のゆるく波打っている髪がキラキラと金色に輝いている。

 僕が起きた事に気付いた彼女は優しく微笑むと、そっと頭を撫でてくる。


「あらぁ、シズトちゃん、おはようございますぅ。今日も時間通りに起きて偉いですぅ」

「まあ、そういう魔道具だから……」


 規則正しい生活を魔道具無しに行えるかと問われたら、無理だと即答できる。

 体を起こすと既に服が用意されていた。ジューンさんが用意してくれたのだろう。彼女がお世話係の日は大体そうだ。


「シズトちゃん、寝癖を直すからぁ、じっとしててくださいねぇ?」

「ありがと」


 ジューンさんがそっと頭を撫でてくる。魔法の影響なのか、それとも元々なのか彼女の手は温かい。

 精霊魔法って便利だなぁと思いながらじっとしていると、すぐに終わったようだ。

 ジューンさんは満足したのか、着替えるから出て行って欲しい事を伝える前に、部屋から出て行った。

 着替えを済ませて部屋の外に出ると、ジューンさんが廊下の窓から外の景色を眺めていた。


「お待たせ、ジューンさん」

「そんなに待ってませんよぉ。ご飯はもうできてますからぁ、食堂に行きましょうねぇ」

「……ジューンさん、手を繋がなくてもちゃんと行きますよ?」

「あらぁ、ごめんなさい。婚約者なのでぇ、このくらいはするのかなぁと思ったからしたんですけどぉ、嫌だったらやめますぅ」

「べ、別に嫌じゃないっすよ!?」


 しょぼんとしたジューンさんに慌ててフォローを入れて、繋がれた手を握り返すと、ジューンさんの顔色が元に戻った。

 手を握るのが好きなのかな。思い返してみたらよく手を繋がれてるし……。

 考え事をしている間に階段を降り切って一階の食堂についた。

 食堂では皆が勢揃い……してないな。


「レヴィさんは?」

「レヴィア様でしたら、もうそろそろお戻りになられるかと」


 壁際に控えていたジュリウスが答えた。

 どうやら朝早くから日課の農作業をしていたらしい。

 いつもなら朝ご飯の時間には終わるようにしていたはずなのに、珍しい事もあるんだなぁ。

 椅子に座って、レヴィさんが来るまでのんびりと待つ。


「今日はぁ、昨日行かなかったファマリアの西側にいくんですかぁ?」

「うん、そのつもり。ついでに教会の方に問題がないか確認しようかなぁって思って」


 エント様の教会の管理を任せるために新しく作ったホムンクルスの様子が気になるし。

 他の二柱の教会の管理は、ファマ様はエルフが、プロス様はドワーフが率先してやってくれているので、一人しか作っていないけど、今後の事を考えるともう少し増やした方が良いのかもしれない。

 でも魔法生物を作るとなると、高ランクの魔石が必要になるし、他にも心配な事があるからホイホイ作らない方が良いよな……。

 なんとか現地の人で信者をゲットしないと。


「まあ、今後も国を通るたびに教会を建てていくなら、間違いなく人手不足にはなるだろうな」

「サイレンスの支店にも人手は必要かと、マスター」

「まあ、そうだよねぇ。それこそ、研修所で教育した中でこれはと思う人に任せちゃうとか?」

「だいぶ先になるんじゃねぇか? さっさと見繕うなら、エルフから希望者募りゃー、ファマ様と店番の面子は集まるだろ」

「お望みとあらば、何人でも用意致します」

「ジュリウス待って。エルフたちにお願いしてもいいんだけど、転移陣があるとはいえ、それが故障したらユグドラシルから遠く離れた場所に取り残される可能性とかあるし、そういう懸念点はしっかり伝えてから集めるんだよ?」

「かしこまりました。シズト様のご意向だと伝えれば、その程度の事問題ないでしょうが……選定を進めておきます」


 ……なんかちょっと不安になってくるなぁ、その言い方。

 廊下の方から走ってくる音が聞こえてくる。

 どうやらレヴィさんが戻ってきたようだ。勢いよく扉をあけ放ったレヴィさんは、いつもの長袖長ズボンの作業服姿だったけど、なぜか指輪を首から下げている。

 基本的に指に嵌めていたその加護無しの指輪を首から下げているという事は、朝早くに誰かと会ったのだろうか?

 基本的に交渉事をする時に指輪を外して対応している事が多いし。

 僕の視線に気づいたのか、それとも考えている事に反応したのか、レヴィさんは僕を見ると「誰にも会っていないのですわ」と答えた。

 加護無しの指輪を首飾りとしてではなく、指輪として左手の薬指に嵌め直すと、レヴィさんは席に着いた。


「まあ、いいか。それじゃ、いただきます」


 皆の復唱を聞いてから箸を取って食事を始める。

 今日はニホン連合国から取り寄せたお米が食卓に並んだ。味噌汁もちゃんとある。白味噌が良かったけど、赤味噌しかなかったらしい。……製法とかなんか違うんだっけ。

 だし巻き卵は甘くなく、綺麗に巻かれていた。ジューンさんに作り方を教わったエミリーが頑張って作ってくれたようだ。褒めるとおすまし顔だったけど、尻尾は正直にぶんぶんと振られていた。

 納豆と海苔があればもう言う事はなかったんだけど、流石になかった。……納豆菌とかありそうだけど、腐った食べ物だと思われてるのかな。

 転移者が関わっているならありそうだけど、日本人でも好き嫌い別れるしな。

 モニカが淹れてくれた緑茶を啜る。紅茶があるならあるでしょ、と思っていたらちゃんとあって、手に入れる事ができた。

 これまでの転移者たちが頑張って伝えてくれたんだろうな。ほんと、食で困る事はなさそうだ。

 ……でも、やっぱり納豆は欲しいなぁ。

納豆は熱々のご飯にかけて食べたい派。味噌は赤味噌派。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] >僕が寝ているベッドの上で座っているジューンさんが、僕の前髪を弄っていた 間違いではないのでしょうけど、 →ジューンさんが僕が寝ているベッドの上に座り、僕の前髪を弄っていた の方…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ