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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第2章 露天商をさせて生きていこう

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23.事なかれ主義者は、眠り過ぎ

いいね、とブックマーク登録ありがとうございます。

 領主様からの依頼を受けてから8日目の朝。

 東門の『壁』の人気がない場所でホムラがお店をしているので久しぶりについていくことにした。

 ホムラは手慣れた様子でキビキビと用意をしていく。

 どこかで買ったのだろう敷物を広げ、アイテムバッグから次々と品物を取り出していく。

 浮遊ランプをその場に浮かせ、何となく真似て作った武器を奥の方に置き、オートトレースはホムラが座る場所の近くに置いていた。

 浮遊台車はまとめて詰め込まれた武器の近くに置いてある。

 ホムラは敷物の中央に座り、僕の方をじっと見る。


「準備できました」


 そう言ってポンポンと太ももを叩いている意図が分からないなあ?

 あ、ドーラさんがガチャガチャ音を立てながらこっち来てる。接客しないとね!

 口数が少ないドーラさんは端的に欲しいものをホムラに向けて言う。


「新しいの」

「ありますよー。ほらほら、ホムラ。アイテムバッグからあれ出して!」


 ホムラ、ポンポンと太もも叩いている場合じゃないよ。

 こっちじゃなくてお客さんを見て。

 ほら、お話聞いているんでしょ?


「こちらです」


 ホムラがアイテムバッグから取り出したのは、昨晩何となく作った『どこでも鍵かけ鉄板』を取り出した。ちょっと改良して、無理矢理解除されたら喧しい音が鳴るように設定した。強度上げるより周りの迷惑を考えさせる作戦でラオさんを止めよう!計画を実施中です。


「それは?」

「簡易魔法錠です」


 あれれ、ホムラさん。なんか名前違いますよ?『どこでも鍵かけ鉄板』ですよ?


「テントなどにつけておけばいきなり開けられる心配がなくなります。あと、これを壊して開けると大きな音が鳴るので防犯にはうってつけでしょう。箱などにも差し込むだけで開かなくなりますので、使い勝手はいいと思います。ここのくぼみにスライムの魔石の欠片を入れることでだいたい半日程度持ちます」


 ロッカーとかみたいに荷物預ける棚みたいにできそうだよね。

 そうなるとちょっといろいろと面倒そうだけど。


「いくら?」

「金貨1枚です。使いまわせるのでコスパはいいかと思いますよ」


 あれ、金貨1枚で売る事にしたんだっけ。

 まあ、ホムラさんがそれでいいならいいんですけど、名前がですね?


「簡易魔法錠とオートトレースあるだけ」

「こちらですね」


 ドーラさん、それ、『どこでも鍵かけ鉄板』っていうんですよ。

 去っていくドーラさんの後ろ姿を見ながらそんな事を思う。


「好きなように商売をしてよいと言われましたので、短くわかりやすい名前にしようかと」

「そうですか……」


 僕は敷物の上でふて寝した。

 ホムラ、頭を持ち上げようとしないで。

 力強いっ!ちょっとマスターなんですけどもうちょっと丁重に扱って――……気づいたら夕方だった。

 どうやら昨晩「お昼寝用の安眠カバーを作ってみては?」と提案されて作ったものを太ももの上に置いておいたらしい。

 ええ、ぐっすり眠れましたとも。昼寝というにはずいぶん長い時間でしたけどね!

 ちょっとホムラに文句を言いつつ宿に戻る。

 ラオさんもどうしてホムラを止めてくれなかったの?と、ラオさんの方を見ると食道楽をしている最中だった。

 そんなに食べてばっかだと太っちゃうよ。

 街の中で見かける人で太っている人は稀なので目立ちそうだ。

 宿に戻って夕食を食べ終え、自分の泊っている部屋に戻ると、当然のようにホムラがついてきていた。

 別にいかがわしい事をするわけではなく、ただただ必要な魔道具を作るためだ。


「先に浮遊台車作るから待ってて」

「わかりました、マスター」

「ついでにそのお昼寝用の安眠カバーも返して」

「これはもう私の物です、マスター」


 従順ってなんなんだろうね。

 あれか、自分で考えるように、って言ったからこんな感じになってきているのかな。

 魔法生物に詳しい人いたら教えてほしい。

 浮遊台車を作るのはもう喋りながらでもできる単純作業となった。


「もうそろそろ木の板が足りないかも」

「今度買い付けてきます、マスター」

「んー、ちょっと暇だし僕が買うからいいよ。お金頂戴」


 ホムラから銀貨1枚貰ってお財布に入れておく。

 ちょっとホムラから渡される売り上げが大金で、持っておくのが怖くなった。だから、ホムラに持っていてもらうことにした。それからは何か欲しいものがあるとホムラにお金を強請るのが日常になった。

 ……客観的に見たらお金を出してもらって宿に泊まらせてもらいつつお小遣い貰うのってどうなんだろう。


「それで、今日は何を作ればいいの?」

「今日も大きめのオートトレースを出来るだけ作っていただければ大丈夫です」

「ドーラさん、結局全部買ってったもんね」


 何に使うのかはちょっと気になる所。

 もともとボールガイドと一緒に使うなら自動探知地図の大きさでいいはずだ。でもそれ以上の大きさの物で、しかもサイズがばらばらの物を全部買うのはさすがに驚いた。

 何か使い道でもあるのかなぁ。

 そんな事を考えながら【加工】で大きめの紙を作り、オートトレースを作れるだけ作る。

 魔力が増えているからだろうが、昨日よりも多くは作れたが急に使えなくなった。


「魔力足りないみたい」

「おつかれさまです」


 ホムラ、なんか残念そうじゃない?え、気のせい?そうかなぁ。

 とりあえずホムラを追い出して明日の準備をする。

 まあ、準備と言っても特にやることないんですけどね。

 明日は何をして過ごそうかな、なんて考えながら枕に頭を置いた瞬間――次に目を開けた時には朝だった。睡眠取りすぎていても問答無用で寝れる便利な魔道具だ。使い方に注意しないと。

 そんな事を考えながら、また僕の1日が始まった。

お時間があるときに、ブックマーク登録と広告の下にある★で応援していただけると幸いです。

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