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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第12章 ドワーフの国を観光しながら生きていこう

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210.事なかれ主義者は建物を見て回る

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 ジュリウスさんとお風呂巡りを堪能した翌日。

 クーを乗せた馬車がウェルランドを発った。

 ウェルランドの近くにあるトンネルを通って、隣国アクスファースへと向かう馬車をホムラと一緒に見送る。

 クーは今頃、ぐっすり眠っているだろう。

 僕もたまには惰眠を貪りたいなと思うけど、今日はお店や教会の建物が出来上がったと聞いたからやってきた。


「それじゃ、行こうか」

「かしこまりました、マスター」


 ホムラはいつものとんがり帽子に体をすっぽりと覆い隠すローブを着ているが、念のため『適温』の魔法を付与していた。

 お揃いのコートを用意したんだけど、ローブの方が落ち着くらしい。

 護衛としてジュリウスが僕の後ろを歩き、周囲を警戒している。

 ただ、この国のドワーフはドゥイージ陛下が上手く抑え込んでいるのか、アダマンタイトを加工できると知ってからも変化はない。

 観光をしやすかったからとても助かったんだけど、ちょっと拍子抜けだ。


「まあ、誰も加工できないと思われていた物を加工できた瞬間を見たドワーフと、事前に加工できると知っていたドワーフでは反応も違うのかも」

「そうですね。ただ、万が一の事がありますので、くれぐれもお気を付けください」

「分かってる」


 ウェルランドの街をどんどん進んでいく。

 坂が地味にしんどい。お店はまだか。

 山の頂上にあるお城に近ければ近いほど格の高いお店らしいんだけど、正直山の麓辺りのごちゃごちゃしたところの片隅にお店を開くスペースを作ってくれればそれだけでよかったんだけど……。


「こちらの建物です、マスター」

「……無駄に大きいね」


 お城のすぐ近くに建てられたその建物は、随分と真新しい感じだ。

 三階建てで、一階はガラス張りで店内がよく見える。割られたら怖いから後で付与をしておこう。

 とりあえず木製の扉を開けて中に入る。

 要望通り、大きな棚が部屋の奥にあり、それは天井にまで届いている。

 対となる物を後で作っておかないと。

 他にもテーブルはあったが、大きな魔道具を展示する事ができるように空きスペースがたくさんあった。


「三階に転移陣を設置しましょう、マスター」

「うん、そうだね」


 三階は完全に居住用スペースとして使う事にしている。その一室に転移陣を設置する事にした。

 階段を上り二階を素通りして三階に着くと、部屋がいくつかあった。

 廊下の一番奥まで進み、扉を開くとちょうどいい広さの部屋だった。

 アイテムバッグから取り出した組み立て式の転移陣を設置する。

 まだファマリーの方の転移陣が準備できていないのか、反応はない。


「ちょっと待とうか」

「わかりました、マスター」

「その間にこの部屋に荷物置いてっちゃお」

「お手伝いいたします」

「ありがと、ジュリウス」


 ジュリウスはアイテムバッグから鉢植えを取り出すと、窓辺に置いた。

 僕はホムラが並べてくれた木の端材をまとめて【加工】して、ベッドの土台を作った。

 何も言わずともホムラがテキパキとアイテムバッグから布団一式を取り出して、すぐにベッドが出来上がる。

 衣装棚もファマリアの使用人用の屋敷にある小さな物を観察して覚えてきたのでばっちり作れる。

 観察させてくれたジューロさんとアンジェラには感謝だ。

 家具を作って部屋に設置していると、転移陣が淡く輝き始めた。

 どうやら向こうの準備が整ったらしい。

 一際明るく輝くと、ドライアドの青バラちゃんが転移してきた。


「人間さん、こんにちはー」

「こんにちは。手伝ってくれてありがとね」


 青バラちゃんの頭を優しく撫でていると、青バラちゃんが何かに気づいたように声をあげた。


「あ! 鉢植え!」


 トテトテと小走りで窓辺に向かう青バラちゃん。

 ジュリウスが彼女を慣れた様子で持ち上げると、青バラちゃんは鉢植えの中をじっと見る。


「………何もない?」

「ああ、まだ何も植えていない」

「そっか。じゃあ……えい!」


 ズボッと鉢植えの土の中に指を突っ込んだ青バラちゃん。

 満足した様子で、ジュリウスに下ろしてもらうと転移陣を通って帰ってしまった。

 ……何だったんだろう。




 一階のガラスの強度を【付与】で上げてから次の目的地へと向かう。

 プロス様の教会もお城のすぐ近くにあって、とても大きかった。

 真っ白で、とても立派な建物だった。

 中に入ると、礼拝堂にはプロス様の像があった。

 ドワーフたちが作ったその像は、しっかりと幼い女神の姿をしていた。

 男性のドワーフがその像に向けて祈りを捧げている中、教会を後にする。


「問題なさそうだね」

「そうですね、マスター」


 そうして次の建物へと向かう事にしたんだけど、異質な建物が視界に入って嫌な予感がする。

 エント様の像は山の中腹にあるんだけど、建設予定地だった場所に変な建物がある気がするんだけど気のせいかな。

 気のせいだったらよかったな。


「……まあ、ドワーフたちにとってはこのイメージが強いでしょうから仕方ないのかもしれません」

「お好みでなければ解体しましょうか、マスター?」

「……しなくていいから」


 エント様の教会の前でため息をつく。

 エント様の教会は、どうやって作ったのか分からないけど、だるまのような形をしていた。

 エント様、だるまの神様にならないよな……ちょっと心配だ。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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