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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第11章 旅の準備をしながら生きていこう

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189.事なかれ主義者は少し緊張している

いいね&評価ありがとうございます。

 エント様の教会の備品を魔道具化していたら日が暮れてきたので、ファマリアからドランに戻る。

 屋敷の地下室に転移すると、いつものようにモニカが待っていた。

 黒い髪に黒い瞳の彼女を見ていると親近感が湧くが、長いスカートのメイド服を着ているせいでコスプレをしているように見えてきて困る。

 ただ、頑なにメイド服を着る彼女に普通の服装にしてくれと言っても無駄だと諦めた。

 そんなモニカは、ぺこりと綺麗なお辞儀をしてから真っすぐに僕を見てくる。


「お帰りなさいませ、シズト様。先程、先触れがやってきて、国王陛下御一行が日が暮れてからお越しになるそうです」

「お出迎えの準備は?」

「つつがなく終えております」

「そっか、分かった。食事は待った方が良いかな?」

「お食事されてからいらっしゃるそうなので、必要ないそうです」

「なるほど」


 じゃあ、急いでご飯食べないとね。

 日が暮れるまであと少ししか時間がないし。

 防具を脱ぐために部屋に戻っていくラオさんとルウさん、ドーラさんと別れて一階の食堂に移動すると、ホムラとユキは既に席に座って待っていた。

 ジューンさんは、どことなく表情が硬いエミリーのお手伝いをしている。

 リヴァイさんたちが来ると聞いて緊張しているようだ。


「お帰りなさいませ、マスター」

「お帰り、ご主人様」

「ただいま。お店の方は問題なかった?」

「いつもと変わりないです、マスター」

「それならいいや。ユキの方は?」

「読み書きを教えた経験のある者が思いのほか多かったから順調よ、ご主人様。教師役予定の冒険者たちが新人の冒険者に読み書きを教えていた事があったみたい」

「イザベラさん、そういう所も考慮して紹介してくれたのかもね」


 何はともあれ、順調そうでよかった。

 人手は足りてそうなので、次に起動するホムンクルスは教会の仕事を任せても問題なさそうだ。

 ただ、以前ホムラに言われて作ったホムンクルスだとそういう仕事に向いてそうな子はいない気がするし、新しく作るしかないか……結構魔力持ってかれるからユグドラシルのお世話をする時にしておこう。

 ラオさんたちが着替えを終えて、食堂に皆が揃ってから食事をした。

 いつもより急いで食べたおかげで、リヴァイさんたちがやってくるまでのんびりする時間ができた。


「そんな急いで食べなくても、待たせておけばいいのですわ」

「王様を待たせるのはちょっと……」

「お父様は、国王としてシズトに会いに来るのではなく、私の父親として遊びに来ているのですわ。国王としてシズトに会うとなったら、シズトが呼び出される側なのですわ。まあ、私の婚約者である前に、異世界転移者だからある程度の配慮はあるとは思うのですけれど……」


 食後に紅茶をのんびり飲みながらレヴィさんと会話をしていると、モニカが何かに反応して食堂から出て行った。

 ジュリウスさんが僕の近くに来て跪こうとしたので、手で止める。


「どうやら国王陛下がいらっしゃったようです。応接室で対応されますか?」

「んー、そうしようか。ラオさんたちはどうする?」

「王様次第だけど、同席するつもりだ。お前がやらかさないように見とかないとだろ?」


 信用がないけど、僕もなんか無意識でやらかす自信があるので、大人しくラオさんたちを引き連れて応接室へ移動した。

 ……信用されるようにもうちょっと頑張らなきゃなぁ。




 応接室のソファーにレヴィさんとジューンさんに挟まれて座っていると、リヴァイさんたちがやってきた。

 ただ、想定よりも人数が多い。

 僕の正面に座った金色の髪につり目がちな青い目の男性をジッと見ていると、彼は頭をかいた。


「リヴァイさんとラグナさんだけじゃなかったんですね?」

「いやぁ、パールとガントに知られてしまってなぁ。それで、仕事終わりに連れてきたわけだ」

「王都を留守にして大丈夫なんすか?」

「そこら辺は何とでもなる」

「あら、シズト様は私たちがいるのが不満なのかしら?」

「滅相もないデス!!」


 鋭い目つきと同色のツインドリルが顔の両サイドにあるレヴィさんのお母さん、パールさんが僕をジロリと見てきたので、ピンと背筋を伸ばして返事をする。

 パールさんの視線が僕から僕の左隣に座っているジューンさんに移った。


「貴方がシズト様の二人目の婚約者ね」

「恐れ多い事ですがぁ、そうですぅ。精一杯頑張りますぅ」

「そう。娘と協力してシズト様のサポートを頑張りなさい」

「そのつもりですぅ」


 王妃様は言いたい事を言い終えたのか、紅茶を飲み始めた。

 その様子を見て、一緒に机を囲んでいた赤毛で筋骨隆々の青年ガントさんが口を開いた。


「シズト、今日も勝負……じゃなかったな、試合をしよう。ボウリングとやらをやってみたい」

「流石に暗い中やるのはちょっと……あ、でもナイター設備みたいに照明で明るくしちゃえばワンチャン?」


 首を傾げて考えていると、屈んで僕の耳元に顔を寄せてきたラオさんが僕にぎりぎり聞こえるくらいの小さな声で囁く。


「夜も遅いから今度にしろ」

「あ、はい。ごめんなさい、ガントさん。外でやる遊びだから、また今度ね」

「む、そうか。仕方ないな。では、ジュリウス殿。前回の卓球の決着をつけよう」

「受けて立ちたいところではありますが、私はシズト様の護衛に専念しておりますので。話し合いが終わってからでもよろしいでしょうか。無論、シズト様から遊戯室の使用の許可を頂けなければお相手はできませんが」

「まあ、いいんじゃない? ジュリウス、ずっと僕の護衛してるし、たまには息抜きも必要でしょ。屋敷の中だったら安全だろうし、今から行ってきてもいいよ?」

「いえ、他の事が気になっている状態で勝てるほど楽な相手ではありませんので、終わってからにします」


 そっか……。好きにすればいいよ。

 応接室、広いけど流石にこの人数だと狭く感じる。

 体の大きい人たちが出て行ってくれたらよかったんだけどなぁ……残念。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] この、安請け合いと、考えずに返事をする、脊髄反射を辞めて、『考えてからお返事をします』と、必ず答えるようにするだけで、ラオの心労は軽くなる 本当に何にも考えないで答えてるもんね~
[一言] オイ、王族 さすがに人数が増えたなら先触れで言っておかないと、受け入れ側に非礼では??? そしてガタイのいい兄ちゃん、もうちょっと空気読もうよ さあ闘(や)ろうぜ、じゃなくてさぁ
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