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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第11章 旅の準備をしながら生きていこう

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183.事なかれ主義者は道行く人を観察した

高評価&いいね&ブクマ登録ありがとうございます。

 トネリコの使者と会った翌日。

 今日は一巡に一回のお世話係がない日だ。

 ジュリウスが警護のために近くにいるけど、その他に制約がない自由な日。

 だけど、安眠カバーはいつもと同じ時刻に強制的に使用者を覚醒させるので、いつもの時間に起きた。

 着替えを済ませて廊下に出ると、ジュリウスが静かに立って待っていた。


「今日はどの様に過ごされますか?」

「とりあえずご飯! その後は旅行の準備しようかなぁ、て。旅行って何がいると思う?」

「シズト様の旅は普通とは異なりますので何とも……」


 ですよね。

 日帰り旅だから着替えは必要ないし、朝ご飯と夜ご飯はここで食べるって決めてるから必要ない。

 万が一のためにアイテムバッグは持っていくから、着替えが必要になっても大丈夫だし、急遽食料が必要になっても問題ない。

 朝食の準備はすでに終わっているとの事だったので食堂に移動すると、いつものごとく皆揃っていた。

 レヴィさんは露出の少ない紺色のドレスを着ていて、ドーラさんは鎧を身に纏っている。

 ラオさんとルウさんも冒険者の装備を身に着けていた。

 今日は皆でお出かけするのかな。


「シズト様、お待たせしました」

「ありがと、エミリー」

「いえ、当然の務めですので……」


 チラチラとジューンさんの方を気にしているエミリーが、僕の前に料理を並べていく。

 ジューンさんに視線を向けるとニコニコしていた。


「ジューンさんとはうまくやってる?」

「え? あ、まあ……特に問題もなく、私を受け入れていただきました」

「そう、それならよかった」


 ギスギスした空気よりよっぽどいいよね。

 ただちょっと心配だから他の奴隷にも二人の様子を聞いて大丈夫か確認しとこ。モニカ辺りはそこら辺気にしてくれてるだろうから、後で聞いておこうかな。

 食事の挨拶をしてからパンを口に運ぶ。

 おそらく苺のジャムがたくさん塗られていて、とても甘くて美味しい。

 右斜め前に座っているホムラの方を見ると、口周りを汚していたので、ハンカチで拭ってやる。

 反対に座っているユキもホムラに影響されたのか口周りが汚れているので、そちらも綺麗にして自分の食事に戻る。

 その頃にはラオさんとルウさんはすでに食べ終わっていた。

 ただ、いつもと違って魔力マシマシ飴を舐めていない。


「ラオさんたち、今日どこか行くの?」

「最近体が鈍って仕方ねぇからダンジョンに行くつもりだ」

「夕方には帰って来れるように浅い所を探索する予定よ」

「なるほど。レヴィさんは?」

「公爵様の所にある転移陣で王都に戻って、根回しのお願いをしに行くつもりですわ。手紙でも問題はないのですけれど、直接会って話をした方が齟齬とか発生しないのですわ」

「私は護衛」


 なるほど。

 ジュリウスさんが今日の当番だからなのか、皆自由に過ごすようだ。

 じゃあ、僕は久しぶりの街の探索をしつつ必要そうなものがあったら買おうかなぁ。


「買い物であれば私が行います、マスター」

「直接見た方が買いたいかどうか判断できるから自分で行くよ。ホムラは店番お願いね。ユキは研修所の建設関係をお願い」

「かしこまりました、マスター」

「わかったわ、ご主人様」


 出来れば旅の経験があるラオさん辺りにでも協力してほしかったんだけど、仕方ない。別の協力者を探すかー。




「で、ボクの所に来たと? 間違いなく人選ミスっすね」

「そんな事を言わずに一緒に行こうよノエルー。ノエルもずっとこの部屋で過ごしてて苦痛でしょ?」

「全然苦痛じゃないっす。っていうか、快適っす。規則正しい生活を強制される事がなければ、もはやずっとここで生活してたいっす」


 ハーフエルフのノエルは、今作っている最中の魔道具から視線を外す事なくそう答えた。

 くそう……衣食住満ち足りてて尚且つ趣味の魔道具も見放題ってなったらノエルはそうだよなぁ。


「しょうがない、ホムラにノエルが言う事聞いてくれないって――」

「シズト様、何してるっすか? 早く旅行の準備しに行くっすよ」


 ちょろい。

 っていうか、ほんとにノエルに対してホムラ、何してるんだろ。

 知らない方が良い気がするけど、知りたい。

 早く早くと、飛び跳ねてゆるく波打っている髪がその度に乱れるノエルを見ながらそんな事を思った。

 久方ぶりに屋敷の門から外に出た気がする。

 いつも転移で外に出てるからなぁ。


「それで、シズト様。何をご所望なんすか?」

「わかんない。とりあえず服とか食糧?」

「アイテムバッグに腐るほど蓄えがあるっすよ。買う必要はない気がするんすけど?」

「だよねぇ」


 何がいるんだろう……。

 人の往来の邪魔にならないように道の端によって道行く人々を眺める。

 昼間の時間帯は冒険者の数が少ない代わりに、遠方からやってきた行商人の姿が目立つ。


「あ、馬車がないや」

「ユグドラシルの使徒として向かいますので、馬車は不要です」

「そう……その馬車って改造しても大丈夫なの?」

「シズト様のお好きなようにしてください」

「そう言うとシズト様、やらかすからほどほどにしてほしいっす」


 ノエルだけには言われたくない。

 でもそっか。馬車は後で改造しに行こっと。

 ファマリーのお世話を夕方にして、その後に魔力が残ってたら試作品の魔道具を作ってもいいかもしれない。

 となると、夕方までに買い出しというか、ひやかしというか、ただの散歩を切り上げなければならない。

 時間制限ができてしまったけど……旅って、何がいるんだろう。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] レヴィさんは普通にお姫様なので忙しいから自由なんてないと思うの 暇なのは主人公だけよー
[一言] 日帰りだから お菓子?
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