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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第10章 婚約(仮)をして生きていこう

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176.事なかれ主義者は引き続き案内した

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 ジューロさんをアンジェラに任せて本館に移動すると、一緒について来ていたラオさんたちが自分の部屋に戻っていった。


「護衛? 屋敷の中だったら必要ねーだろ」

「屋敷の外で見張っております。お呼び頂ければすぐにでも駆け付けます」

「後は若いお三方だけでごゆっくり」

「セシリアさんも若いよね」


 僕のツッコミは曖昧な微笑みで流されて、困ったような表情のジューンさんと、気にした様子もないレヴィさんだけが残された。

 屋敷の玄関の前でどうしたものか、と突っ立っていると、レヴィさんが不意に腕を組んできた。

 その様に腕を組まれると大きなアレがですね?


「ジューン、シズトのそっちの腕が空いているのですわ」

「そうですねぇ」

「シズトからはこういう事してこないから、慣れさせていくのですわ!」

「なるほどぉ」

「本人の前で、そういう事言うのやめてくださーい」


 婚約者だからと最近、レヴィさんのスキンシップが激しくなってきている件について……。

 嬉しいけど、それよりも恥ずかしいんです!


「じゃあ、失礼しますぅ。嫌だったらすぐに止めますからぁ」


 そっと、手を握ってくるジューンさん。

 柔らかな感触が手から伝わってくる。

 ……このくらいなら、まあ……。

 僕の顔色を窺っていたジューンさんが口元を綻ばせた。


「それじゃ、案内するのですわー!」

「ちょっとレヴィさん、引っ張らないで! 歩き辛いから!!」

「私なんかのためにぃ、時間を取ってもらわなくてもいいでですよぉ? 一人で見て回りますしぃ」

「んー、新しい同居人にはみんな案内してるから、そこは気にしなくていいよ」

「そうですかぁ。……それじゃあお言葉に甘えますぅ」


 少し悩むそぶりを見せたジューンさんだったが、困ったような笑顔でそう言うと、一緒に見て回る事になった。

 とりあえず、下から順番に説明していこう、という事になって地下室に向かう。

 以前はどんな使い方をしていたのか謎な牢屋みたいな所や、じめじめした部屋は置いといて、物置として使われていたであろう部屋だけを案内する。


「ここから、ファマリーの根元やユグドラシルの根元に行けるよ。って、使った事あったか」

「そうですねぇ。ここに連れて来られる時に使いましたぁ。ダンジョンとか入った事なかったのでぇ、初めて使いましたぁ」

「これもシズトが作ったのですわ!」

「すごいですねぇ」


 のほほんというジューンさんに転移陣の使い方を説明する。

 まあ、説明と言っても、屋敷の敷地内でうろちょろしているドライアドに声をかけて、向こうの転移陣を起動してもらうだけなんですけどね。


「ドライアドもいるんですねぇ。ビックリですぅ」

「ユグドラシルにもいるけど、珍しいの?」

「エルフでもぉ、お願いをされる時以外は姿を見かけないですぅ。私はまだお願いをされるほどのエルフじゃなかったのでぇ、見た事がないんですぅ」


 そう言われれば、ユグドラシルの方は禁足地でしか見ないもんな。

 ファマリーでも世界樹の周辺でしか見ないし……ここがもしかして特殊?

 魔道具で作ったたい肥をもらいに来るついでに、のんびり日光浴したり、作物の様子を見たりしてるから全然そう思わなかったけど。

 近所の子どもの相手をする気分で接してたけど、もうちょっと敬って対応した方が良いのかな……。

 悩んでいる間にもレヴィさんは次の場所へと移動する。

 一階の端っこ、元物置っぽいその部屋の扉を開けると、ノエルが魔道具をせっせと作っていた。


「お邪魔するのですわー」

「お邪魔しますぅ」

「邪魔しないでほしいっす」

「ホムラに告げ口……」

「よく来たっす!! ささ、何もない所っすけど、寛いでいってほしいっす! ……誰っすか、そのエルフ……エルフ?」


 僕も魔法が使えるようだ。

 ボソッと言っただけでノエルは弾かれたかのように立ち上がってニコニコ笑顔で僕たちを応対し始めた。

 けど、僕と手を繋いでいるジューンさんを見て、首を傾げた。そして、視線がある一点に向かってさらに首を傾げる。


「ちゃんと話をしたと思うのですわ」

「ユグドラシルの使徒の代理をしてもらうジューンさん」

「恐れ多い事ですがぁ、精一杯頑張りますぅ」

「ああ、シズト様の新しい婚約者っすね」


 そうだけどさぁ! 意識しないようにしてるんだからわざわざ言わないでもらえますかね!




 ノエルの邪魔をし過ぎてはいけないから、と軽く部屋の説明とノエルの紹介を済ませると、ジューンさんの仕事場になるであろう場所に向かう。

 食堂の近くにあるその部屋の扉を開けると、狐人族のエミリーが待ち構えていて、ぺこりと綺麗なお辞儀をした。

 調理場の隅の机では、アンジェラとジューロさんに加えてなぜかパメラがおやつタイムを楽しんでいた。


「お待ちしておりました、シズト様」

「ジューンさんに紹介するね。この子がエミリー。これから一緒にご飯を作ってもらう事になると思う。奴隷だけど、仲良くやってくれると嬉しいな」

「もちろんですぅ。よろしくお願いしますぅ」

「こちらこそ、よろしくお願いします」

「それで、あっちでこっちの事を気にもせずにお菓子を食べてるのがパメラね」


 紹介するためにパメラの方を見るが、ポテチに夢中で全然こっちを見ない。

 エミリーがぺこりと頭を下げると、スタスタとパメラの方に歩いて行き、拳骨を落とした。


「痛いデース!!」

「シズト様がいらっしゃってるんだから、食べるのやめなさい!」

「でも、なくなっちゃうかもしれないデス!」

「はぁ……追加あげるからちゃんとあいさつしなさい」

「ほんとデスか! 流石エミリーデース! シズト様、何の用デスか?」


 おやつが貰えると分かったらすぐに立ち上がって僕の目の前に来るパメラ。


「……いや、用って言うかついでに紹介しただけなんだけどね。この人がジューンさんね。仲良くしてあげてね」

「分かったデスよー。一緒に遊ぶデス!」


 パメラはジューンさんの空いている方の手を両手で握ってブンブンと上下に振る。


「調理器具とかはエミリーに聞くといいのですわ。とりあえず、細々としたものは後回しにして部屋の説明をしていくのですわー」

「そうだね」


 と、いう事で元気なパメラとジューンさんをじっと見ていたエミリーに別れを告げて、他の部屋を案内していくのだった。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 尻尾の危機←いや、違うか 普通なら、悲観しながら自分の運命を仕方なく受け入れるハズの愛玩奴隷に、何故かアイデンティティを持ってる?のが約一名
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