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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第9章 加工をして生きていこう

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141.事なかれ主義者は差し入れをしようと決めた

いつも読んで頂きありがとうございます。

 同じ円卓に座った面々を見ながら、未だによく分からない事をはっきりさせようと思って口を開く。


「それで? いったい何を決めるの?」

「これからできる町の名前の事ですわ」

「町の名前?」


 レヴィさんが頷くと、他の人たちもそれぞれ頷いた。


「冒険者ギルドの書類仕事の際に、それがどこの依頼なのかを書く欄があるので、できるだけ早く決めて欲しいんですよね」

「私たち商業ギルドでも同様ですな。まあ、仮でファマリーの根元の開拓村としておりますが……それでは、ねぇ?」


 両方のギルドマスターがそれぞれ目配せしてくる。

 もう一組同席していた人に目を向けると、ボケッとしていたからか、ビクッと反応した。なぜかお腹をさすってるけど、大丈夫だろうか?


「お、俺ですか? 正直、町の名前が何だろうと俺たちのする事は変わらないですから、何でもいいというか……」

「なるほど。ちなみに、なんか候補とか出てるの?」

「いえ、特に考えてないですね」


 イザベラさんが首を横に振ってそう言った。

 ギルさんは肩をすくめて「普通は、その土地を治める人物が決めるものです」という。

 ここを治めてる人って誰だろ? 王様から貰ったし、王様?


「シズトは不毛の大地の所有者なのですわ。つまり、この土地を治めている人物という事になるのですわ。きっと嫌がるでしょうから、貴族になるのは気が向いたらでいいと国王陛下が仰っていたのですわ」

「領主不在とは……聞いた事がありませぬな? 私が代理人として統治いたしましょうか?」

「もう間に合っているのですわ。シズトの代わりに、代官として私がここを統治しているのですわ」

「そう、ですね。レヴィア王女殿下に町の事とか諸々相談してますし」


 イザベラさんが顎に手を添えて、思い出しながらそう言った。

 確かに、お店の場所とかいろいろレヴィさんが率先して話をつけに行ってたもんね。

 それに、僕よりも長くファマリーにいるし。

 僕がユグドラシルに行ったり、ドフリックさんの相手をしていたりする時、レヴィさんは家庭菜園の面倒を見てるか、ファマリーで過ごしてるもんね。最近はドレス着て出掛ける事もあるけど。


「シズトが望めば、いつでも代わるのですわ!」

「……それって貴族になるって事だよね?」

「そうですわ」

「遠慮しときますー」


 にっこり笑って断ると、レヴィさんもにっこりと笑って頷いた。どうやら分かってくれているようだ。

 話を戻そう。


「それで、町の名前だっけ? レヴィさんが決めてもいいんじゃない?」

「…………シズト村にするのですわ?」

「よーし、張り切って考えるね!」


 と、つい言ってしまったけれど、パッと思いつくはずもない。

 名前……名前かぁ。


「ファマリーでいいんじゃない? ほら、お隣さんの国は、世界樹ユグドラシルの名前がそのまま国名になってるし」

「まあ、妥当ですな」

「そうですね。その土地で有名なものがそのまま名前になる事はありますし」


 でも、木の事を言ってんのか、国の事を言ってんのか分かんなくなる時あるんだよね。わざわざ世界樹ユグドラシル、って言う時もあるし。


「あ、それか神様の名前をそのまま使うとか? ファマって。神様の名前広めるのに役立つし良いんじゃないかな」

「流石にそれは不敬なのですわー。名前が含まれているものはあるはずですけれど、そのまま使うのは暗黙の了解で避けられているのですわ」

「そっか。んー、じゃあ………ファマリア?」


 イタリアやオーストラリアとか、たくさん最後がリアの国があるし。この世界だとエンジェリア帝国とかそうだし。

 どうしてか知らないけど、変な意味じゃないでしょきっと。

 特に反対する人もおらず、新しい町はファマリアという事になった。




 名前を決め終わった後、すぐに解散かと思ったらまだ話があるとギルさんに引き留められた。

 世界樹の素材や魔道具を買い取りたいと言われたけど、僕じゃ相場が分からない。

 調べれば分かる事だけど、損をする可能性が高いから、ホムラに話をするようにお願いした。それに、大金が動きそうだし、心の平穏のために知らない方が良いと思う。

 イザベラさんたちは、僕の魔道具を定期的に納品しているからか、窓口がホムラである事を知っている。だから特に話もなく、ラックさんに護衛される形でファマリーの根元に戻った。

 レヴィさんはまだやる事があるから、と男二人だけだ。


「送っていただきありがとうございます」

「これも仕事ですから。っていうか、あなたに何かあったら俺の首が飛びますし」

「ご冗談を」


 二人一緒に声を出して笑うけど、なぜだろう。ラックさんの目が笑ってない。


「物理的に首が飛ぶ可能性もありますね」

「……ほんとに?」

「ほんとに。貴方はもう少し自分の価値について理解して行動するべきだと思います。今日は誰も護衛がいなかったじゃないですか! 当てがなければ俺の隊から誰か向かわせますので、ほんとお願いします……。ストレスで胃が痛くなっちまうので……」

「今度ポーション差し入れしますね」

「俺にストレス与える行動をする前提で差し入れしないでもらいたいんですけど!?」


 気を付けるけど、それでもいろいろやらかしてるから……うん。

 ラックさんがどんな事になっても大丈夫なように、余ってるエリクサーにしようかな?

 そう思ったけど、ふとラオさんの顔が目に浮かんだ。

 ……上級ポーションにしとこ。

読んで頂きありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] エリクサー、差し入れられたら、それのせいで胃に穴が開く(笑)
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