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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第9章 加工をして生きていこう

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136.事なかれ主義者は裸の付き合いをした

評価&いいね&ブクマ登録ありがとうございます。

誤字脱字報告もありがとうございます。

 世界樹を育てる生育の加護を僕が持っている事は周知の事実だ。

 世界樹ファマリーの騒動で、リヴァイさんが国内に向けて僕の存在とファマリーの関係性を伝えていたから。

 気楽に屋敷の外には行けない存在になってしまったけれど、ドラゴニアには何の負い目もないと周辺諸国に伝えるためにも必要な事だったと知ってるし、実際その後はユグドラシル以外の国々は手を引いたとも聞いていた。

 だからドロミーさんも生育の加護を僕が持っている事を知っていたのだろう。

 あと、加工に関してはドフリックさんの目の前でやっちゃったからね。まあ、隠すつもりがその時になかったからやったんだけど。


「でも伝えてると思ってたんだけどなぁ」

「切り札でもある加護をむやみに他言しない事がマナー。シズトも気を付けて」

「あ、はい」


 ドーラさんが後ろから注意してきたので素直に頷いておく。

 戦闘系の加護は、それを持っていること自体を相手に知られない方が有利だろうしね。知られてたら相性の悪い相手が襲ってきちゃう可能性もあるし。


「ただ、有名になると具体的な加護は知らんが、だいたいどの系統かはバレる事が多いんじゃ」

「有名になるのも考え物ですね」

「そうでもない。加護持ちの一部には、神々の事を広めるようにと神託を受けている者もいる。そういう者はむしろ自分から加護の有用性について話し、信者を少しでも増やそうと躍起になる。ちゃんと広めんと、異なる姿形で勝手に信じられて歪んでしまった神もおったらしいしな。ワシらですら、曖昧にしか伝わっておらんが、呪いの神がその代表格だそうじゃ」


 神様も大変なんだな。

 そんな事を思いつつも、とりあえず今はちょっと臭いひっつき虫とドワーフ親子にお風呂に入ってもらわなければいけない。

 クーにお願いするとまた何かご褒美を求められそうだったので、転移陣を使って屋敷に帰る事にした。


「……魔道具を使う加護を持つ者は転移陣も作れるのだな」

「え? まあ、そうですね。貰った加護の中では一番使ってる加護です。便利な生活をしたいですし」

「廊下の端に置いてある箱も魔道具なのか?」

「そうですね。あれは埃吸い吸い箱っていって、周囲の埃を吸い込んでくれるんです。中にスライムを入れてるので、ゴミ捨ても不要ですし楽ですよ。時々スライムが中で分裂して増えちゃうから、放置してたら大変な事になりかねないですけど」

「シズトさん、アレは物がたくさんある部屋でも埃を吸い込む?」

「はい、問題なく吸い込んでますよ」

「パパン、あれ家にほしい! 掃除が楽」

「親方と呼べ」

「アレは売り物ではないので……」

「そう……残念」


 しょんぼりするドロミーさんと、どうでもよさそうなドフリックさんを引き連れて、浴室に案内した。




 ドロミーさんとクーの後に、僕とドフリックさんがお風呂に入る。

 湯船には常にギリギリまでお湯が溜められていて、入浴魔石の効果で色と香りがついている。

 その湯船の奥を覗き込むように目を細めているドフリックさんが、こちらを見て呆れた様子で口を開いた。


「浴槽にも魔法陣を付与しておるのか」

「魔石を入れるだけで素早く簡単にお湯を溜める事ができるようにしてるだけです。いついかなる時でもすぐにお風呂に入りたいですし。かといって常に万全の準備にしておくのは大変でしょうからね」


 ドフリックさんは呆れた様子のままお風呂を見ていたが、僕に促されてまずは体を洗う事にしたようだ。

 僕と違って筋骨隆々のその体をのそのそと動かして、木製の風呂椅子に座ろうとして、動きを止めた。


「これも魔道具か」

「ええ、カビが生えないようにするために自動修復をちょちょいと」

「……なんという無駄遣いよ……」


 ちょっと何言ってるか分かんない。

 浴室全体を魔道具化しようとしているのはちょっと黙っていよう。

 掃除面倒だから仕方ないじゃん。まあ、僕がするわけじゃないんだけどさ。楽できるなら楽したい。ジュリーンが「仕事が減ってしまいます」とかなんとか言ってた気がするけど、その分違う事できるからいい事だと思うんだけど。


「流石に石鹸は魔道具ではないようじゃな」

「…………ええ、まあ」


 絶賛、志願者による実験をしている最中だ。そのため、まだ替えてないだけなんだけど黙っとこう。

 体を泡まみれにしたドフリックさんがシャワーを手に取って、ため息をついた。


「油断するとコレか……。もうどれが魔道具か先に聞いといた方が良いような気がしてきたわい」

「体洗ったら魔道具紹介でもしましょうか?」

「いらん」


 即答しなくてもよくないですか。自分から言ったくせに。

 髪の毛を洗う際にもこもこと出来上がった泡で遊ぶ。久しぶりにすべて自分でやる開放感からか、ついつい遊んじゃってダメだな。

 シャンプーを洗い流して、体を別の石鹸で作った泡で洗っていく。

 体を洗い終わると、ドフリックさんとお湯に浸かる。


「壁から湯が出ているのはどういう意味があるんじゃ? 魔道具なのは分かるんじゃが」

「あれは打たせ湯ですね。こう、落ちてくるお湯に当たってのんびりするんです」

「……なるほど、これは良い物じゃな。体なんぞ拭いて終わりじゃったが、これはなかなか……」


 そうでしょう、そうでしょう。貴方もお風呂の虜になってしまいなさいな。

 にやり、と口元が歪んでしまうが、隣のドフリックさんは気持ちよさそうに目を瞑っていて気づかれなかったからヨシ!

いつも読んで頂きありがとうございます。

気づいたら200話超えてました。

評価やブクマ登録、コメントなどいつも励みになってます。

今後も自分のペースでのんびり更新していきます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 筋骨隆々だから、打たせ湯、効くよね~
[気になる点] >ドラゴニアに何の負い目もないと 「ドラゴニアは」もしくは「ドラゴニアには」の方が意味がわかりよいかと >ドフリックさんにも世界樹の加護を僕が持っている事を知っていたのだろう …
[気になる点] むしろ、鍛冶屋の方が炉の熱使って湯沸かししたり、サウナ作ったりしてそうだけど…… ゴミ処理施設の焼却炉の熱で温水プールとかみたいに?
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