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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第8章 二つの世界樹を世話しながら生きていこう

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124.事なかれ主義者はお金で買えない

評価&たくさんのいいね&ブクマ登録ありがとうございます。

 長い間、ドランを離れていた事もあって、ユキがしばらく僕のお世話係をする事になった。

 ドランに帰ってきた翌朝、目が覚めてからずっとユキは身の回りの世話をしてくる。朝食はユキも同じタイミングで食べるからお世話はなかったけど。


「お兄ちゃん?」

「あー、はいはい。あーん」

「あー、ん。……次はスープが飲みたいなぁ」

「はいはい」


 クーの食事の手伝いは今日までだから、明日からはのんびりと食べられるだろう。

 雛鳥のように小さな口を精一杯大きく開けて待つクーの口の中にせっせと食べ物を運ぶ。


「シズト様、今お時間よろしいでしょうか?」

「いいよ。何か用?」

「今日のご予定の確認を」


 ああ、なるほど。

 目だけで声のした方を見ると、モニカが控えていた。元貴族という事もあり、目鼻立ちの整った同世代くらいの女の子だ。

 彼女は僕が促すと、口を開いた。


「本日は、転移陣を使ってユグドラシルに向かい、加護を使ってすぐにお戻りになるんですよね」

「うん」

「では、お昼は?」

「用意しておいて」

「かしこまりました。緊急性の高い面会の申し込みや、魔道具の依頼は御座いません。お戻りになられてからはごゆっくりお過ごしください」

「家庭菜園の方は順調?」

「ええ、シズト様の加護がないからか、生育速度は遅いですが、どれも順調です」


 そっかそっか。

 加護がなくても無事に育ちそうだし、今まで通り魔力はギリギリまで使っちゃおう。

 クーの食事も終わり、口の周りを拭いてあげてクーの食事のお手伝いはおしまい。


「皆は?」

「私たち奴隷はいつもと変わらないです。ああ、でもエミリーはシズト様の分の食事の準備を……と、もういないですね。ジュリーンとダーリアは清掃後、菜園の手入れをしてもらっています。菜園の管理、というか雑草抜きなどの細々とした事はアンジェラが勉強の合間にしてくれていて助かってます」

「そっか。偉いなぁ、アンジェラ。何かご褒美買いに行こうかな。アンディーたちにプレゼントあげてもいいか確認した方がいいかな」

「不要かと。シズト様は思ったように振舞っても、私たち奴隷が文句を言う事はないです。菜園と言えば、早朝に小さな人影を見た気がするのですが、シズト様の魔道具ですか?」

「あー、多分ドライアドじゃない?」

「…………なるほど。流石シズト様です」


 どゆこと?

 首を傾げてモニカを見るが、何でもないです、と言って教えてくれなかった。




 ユグドラシルで用事を済ませて戻ると、ユキが転移陣の前で待っていた。


「お店はいいの?」

「ホムラが店番をしてるからいいのよ、ご主人様」


 ふっと笑って答えるユキ。

 どうやらホムラと話し合って、ユキが当番の時はホムラが店番をする事になったようだ。

 二人の間で話がついているなら僕が何かを言う事はない。

 地下室から出て、アンジェラを探す。この時間は菜園だろうか?

 そう思って外に出て菜園に向かうと、いた。

 レヴィさんとセシリアさんも当然のように農作業をしていた。

 ドライアドたちも精霊の道を通ってやってきたのか、アンジェラと一緒に雑草を抜いていた。

 ジュリーンとダーリアが何とも言えない表情でその光景を見ていて、僕が来た事に気づくとその顔のまま僕を見てくる。


「……なに?」

「「いえ、別に何も」」


 二人もそれぞれの畑の手入れに戻っていった。

 何か気になるけど、いいや。ドライアドが珍しいとかそんな感じでしょ、きっと。


「アンジェラ」

「あ、シズトさま! どうしたのー?」

「ほんとだ、人間さんどうしたのー?」

「どしたのー?」


 ちょっと待って、アンジェラにつられてめっちゃドライアドたちが来たんだけど!

 僕の足に抱き着いてきたりするドライアドに遠慮してか、アンジェラは抱き着いてくる事はなく、僕を見上げてくる。


「っと、作業の邪魔してごめん。勉強もお手伝いも頑張ってくれてるから何かご褒美上げようかなー、って思って。何か欲しいものある?」

「なんでもいいの?」

「お金で買える物なら何でもいいよー」

「シズトさまは?」

「僕はお金で買えません」

「ざんねん……そうだ、いっしょにかいものいこ! ほしいのみつけるの!」


 買い物か。

 ラオさんとルウさんは冒険者ギルドに行っちゃってるんだよな。

 護衛どうしよう? 流石に護衛なしで外で歩くのはまずいよね。

 そう思っていると、いつの間にかドライアドに混じって僕の体にしがみ付いていたクーと、側に控えていたユキが「ここにいる」と声を揃えて主張した。


「大丈夫そうだし、お昼ご飯食べてから街に行こうか」

「やったー!!」

「ただ、その前に身だしなみ整えて行こうか」

「はーい」


 トテテテテッ、と元気に駆けていくアンジェラ。

 アンディーたちに買い物に連れ出す事を言っとかないと流石に心配するよね、きっと。


「クーもいい加減、寝間着から着替えなよ?」

「えー、このままでもいいじゃん。めんどー」

「着替えないならお留守番だから」

「しょうがないなぁ」


 しがみ付いていた重さがなくなった。着替えるために屋敷へ戻ったようだ。

 僕も準備しなきゃな。

 ユキにアイテムバッグを取ってくるようにお願いして、アンジェラと外出する事を伝えるために、アンディーたちの元へと向かった。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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