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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第7章 世界樹を育てつつ生きていこう

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99.事なかれ主義者は集中できなかった

高評価&いいね&ブクマ登録ありがとうございます。

また、誤字脱字報告ありがとうございました。いつも助かります。

 ノエルを使った空飛ぶほうきの試験飛行は無事に終わった。

 敷地内を飛び回っていたノエルが「どこまで高く行けるのかな」という僕の疑問に応えて雲の中にまで突入した時は、すごいなーと思いながら遠くを見る魔道具を使って観測していた。

 ただ、戻ってきたノエルは唇が真っ青で、とても寒そうだった。


「高く飛ぶなら寒さ対策もしなくちゃいけないか。風圧とかもあるだろうし、結界みたいなのを作って寒さと風圧の対策したらいけるかな……? ノエル、ありがとね。とりあえずその魔道具の中で温まってて」


 暖房機能付きの結界の中にノエルを放置して、僕はノエルが落としたほうきを取ろうとする。だが、それは先にルウさんが拾ってしまった。

 ルウさんはニコニコしながらほうきを持って僕を見ている。


「……ルウさ――」

「ダメよ?」

「まだ何も言ってないんだけど!?」

「言わなくても分かるわ、お姉ちゃんだもの」


 あなたの様な姉がいた覚えはない! と言いたいけれど、それを言ったら不機嫌になって、余計にほうきを渡してくれなさそうなので口を噤む。


「練習するためにほうきが欲しいんでしょう? でもそれはダメ。シズトくんにこれはまだ早いと思うの。空を飛びたいなら、ホムラちゃんにお願いすればいいんじゃないかしら? 跳び回ってくれると思うから、それで我慢しましょ? あ、それか私がお姫様抱っこして跳び回る? お姉ちゃん、楽しんでもらえるように頑張るわ!」

「自由に空を飛びたいんですー」

「ダメよ、これは危ないもの」


 ……これはダメっぽいっすねー。

 ほうきでレースとかしてみたかったんだけど、仕方ない。別の方法で空を飛びましょう。

 アイテムバッグを探って何かいい感じの物がないか探すと、大きな絨毯が入っていた。

 ホムラにお願いしていたけど、さっそく街で買ってくれたのだろう。

 空飛ぶほうきがダメなら空飛ぶ絨毯を作ろうじゃないか。

 そう思いつつ作り上げた絨毯も、ノエルに実験させたら取り上げられた。


「空を飛ぶものは全部ダメよ」

「ちょっとだけ! ほんのちょっとだけでいいから! こっからあそこまででいいから飛びたい!」

「ダメなものはダメよ」

「そこを何とか!」


 ルウさんが絨毯とほうきを頭上に掲げてしまった。流石に飛びついて奪い取るわけにも行かず、取り付く島もない。

 そんな僕たちを呆れた様子で見ていたラオさんだったけど、魔力マシマシ飴を舐めるのをやめて口を開いた。


「別にいいんじゃね、一緒に乗れば。万が一何かあっても、一緒に乗ってる奴がシズトをかばえばいいじゃねぇか」


 二人乗りと聞いて、自転車の二人乗りが脳裏に過った。

 ほうきは一人で乗るものだと思ってたけど、別にそうじゃないとだめとか決まってないしアリなのでは?


「ルウもシズトのやりたい事をやらせないのは本意じゃねぇだろ? 流石にシズトも昨日の今日だし、危ねぇって事は理解してるだろ。普通に使う分には問題ねぇってノエルが証明したし。後は危なかったらアタシらが守ればいいだけだろ」

「そうね……分かったわ。それじゃ、一緒にほうきに乗りましょ、シズトくん」


 あ、ルウさんと一緒に乗るんですね。

 てっきり提案してくれたラオさんと乗るのかと思ってたけど、ラオさんはノエルの近くで待っているようだ。ルウさんから預かった空飛ぶ絨毯をノエルに渡して、自分は魔力マシマシ飴を舐めていた。

 まあ、一人で乗りたいって思いは強くないので、ルウさんと一緒にほうきに跨ろう。

 そう思って実際に跨ってみたんだけど……。


「ルウさんルウさん、近いです。もうちょっと離れてもらってもいいですか?」

「ダメよ、危なかったらすぐに動けるようにしたいもの」


 そうは言っても、腰に手を回す必要なくないですか?

 え、いつでも抱えて飛び降りる事ができるようにするため?

 そうですか……。

 ルウさんの柔らかさを背中で感じつつ、そちらに意識が行き過ぎないように集中する。

 ノエルの飛ぶ様子は見ていたので、何となくイメージはできていた。そのおかげか何も問題は起きずに、ほうきが浮かび上がった。

 僕の足が地面から離れ、ルウさんの足もその後地面から離れる。

 一定量の魔力を常にほうきに流し続けるとその場で静止する、と思うんだけどこれがなかなか難しい。

 その場に留まれずに歩くくらいの速さで前に進んだり、浮遊すらしなくなって地面に足が着いたりを繰り返す。

 ちょっと前に進むたびにルウさんがギュッと抱きしめてくるので、それも落ちる原因だと思う。心臓に悪いのでルウさんは下手に動かないでほしいんだけど……。

 休憩を挟みながら、その日の【生育】に必要な魔力を残しつつその後も練習をしたんだけど、結局空中で静止する事はできなかった。


「次は私と練習しましょう、マスター」

「ホムラちゃん、あなたはお仕事があるでしょ? 専属護衛の私たちに任せてお仕事頑張ってね」


 夕食の時にホムラとルウさんが何やら騒いでいたけど、それを放っておいて空飛ぶ魔道具に思いを馳せる。

 飛行機みたいなの作ったら移動時間が短縮できて、世界樹ファマリーとドランの往復が楽になるんだけどなぁ。……飛行機よりも車の方が、まだ安全だし簡単かな。流石に明日には間に合わないけど、ちょっと考えてみよ。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 空飛ぶ絨毯は夢がいっぱい(//∇//)
[一言] ぶつかり防止装置付きにして、速度制限付ければいいとおもう ぶつかったり、早すぎるのが駄目なら、ぶつかりそうになったら自動で避けてスピードは自転車くらい? あれは最高でも60キロと…
[気になる点] >戻ってきたノエルは唇を真っ青で 唇を真っ青にして あるいは 唇が真っ青で >即興で作った暖房機能を付きの結界の中に 暖房機能付きの >後はアタシらが危なかったら守れば…
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