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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第6章 亡者の巣窟を探索して生きていこう

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90.事なかれ主義者は新しく祠を建てた

高評価&いいね&ブクマ登録ありがとうございます。

 不毛の大地に生えている世界樹ファマリーのすぐ近くで【生育】の加護を使った結果、がっつり魔力を持ってかれて気を失っていたようだ。

 ラオさんたちが設営したらしいテントの中で目を覚ます頃には日が暮れていて、世界樹の様子は分からない。ただ、レヴィさんの興奮した様子を見ると問題なく元気になったようだ。


「シズトも無事に起きた事ですし、明日からまた世界樹のお世話を頑張るのですわ!」

「周りに人がいるから転移陣で戻れないし、今日明日はここで寝泊まりするしかないよね。だったらやっぱり家とか建てとくべきかな?」

「まあ、どっちでもいいんじゃねぇか? 作りたければ作ればいいし、面倒だったらテントで寝泊まりすれば問題ねぇよ」

「王女様がテントで寝泊まりってどうなの?」

「問題ないのですわ!」


 レヴィさんの後ろに控えているセシリアさんの方を見るけど肩をすくめるだけで何も言ってこない。

 テントで寝泊まりに不満を持っている人がいない様子だったので、家は作らずにテントで生活をする事になった。まあ、明後日にはドランに戻るつもりだしいいや。

 食事を済ませてそれぞれのテントで眠り、目を覚ますとみんな既に起きて作業を始めていた。

 レヴィさんとセシリアさんは魔動耕耘機をアイテムバッグから取り出して地面を耕している。ファマリーが元気なかったからか分からないけど、ファマリーの周辺に生えていた草が枯れてしまっていたので「また耕すのですわ!」と張り切っていた。

 ドーラさんは少し離れた場所で鳥と話をしている。ドラン公爵の使い魔で、報告をしているんだろう。最初は二人ともついて来ようとしていたらしいけど、結局なんか色々あって来れなかったみたいだし。

 ラオさんとルウさんは体が鈍らないように、と聖域の外で魔物狩りをしている。近衛兵等が周りを固めている以上、少しくらい離れても大丈夫だろう、という事だった。

 僕の側に控えているのはホムラだけ。そのホムラと一緒に今日もファマリーにお祈りをするんだけど、あまり魔力を持っていかれないように気を付ける。気を抜くと勝手にがっつり持ってかれるのは世界樹だからかな?

 新しい葉っぱがたくさん生えて、元通りに戻ったファマリーを背に、今日はとりあえずホムラと一緒に祠を作る事にした。


「とりあえず中に作ろっか」

「かしこまりました、マスター」


 ドラン側にとりあえず作ろう、とドランの方向にある門のそばまで歩いていく。両開きの門が開かれていて、外の様子が分かるけど、門のギリギリの所に屋敷で作ったような祠を作った。門から入ってきた人たちが、祠と一緒に世界樹を見えるように外側が正面になるように気を付けつつ、像もササッと作って中に飾る。誰が誰か分かるように近くに名前を書いた立て看板を突き立てておいた。

 後光が差すように神聖ライトを祠に付与して、観音開きの格子状の扉を開けたままにして世界樹の方へと戻ろうとしたら、後ろに控えていた近衛兵の人と目が合ったけど、特に何も言われなかった。

 周囲の近衛兵の人たちは静かに周りをつかず離れずついてくるけれど、後ろがなんだか賑やかになった。


「……何してんの、あれ?」

「お祈りでしょう、マスター」

「いや、それは分かるんだけどさ……何で?」


 聖域の外にいた人たちが祠の近くにたくさん集まって何やらしている。地面に膝をついて手を合わせている人もいれば、静かに目を瞑っている人もいる。世界樹に向けて土下座をしている人もいるのがちょっとアレなんだけど……。


「シズト様、世界樹の側にも祠を立てるのでは?」

「あ、そうだった。いこ、ホムラ」

「かしこまりました、マスター」


 近衛兵に促される形で世界樹の方に歩を進める。

 後ろでは、さっきのフードを目深に被った魔法使いっぽい人たちがしばらくの間祈りを捧げ続けていた。なんか泣いているようにも見えるから、もうちょっと祠の見た目おとなしい感じにした方がいいのか心配になってくるんだけど……。

 何とも言えない気持ちになってきたので、近衛兵の人たちを後ろに従えながら足早に世界樹の方へと向かった。




 祠を作り終え、駆け回るレヴィさんを放っておいて壁に纏わりついている土をどうするか考えてる。けど、正直エルフへの嫌がらせと陽太たちがちょっとでも迷ってくれたらなぁ、って思って刻んだ言葉を元通りにするか悩む。

 もうエルフはいないし、陽太たちは帰ったみたいだし。もう役目は終えている感じはする。

 っていうか、世界樹が成長していったらこの壁も邪魔になるだろうし、やっぱり撤去しちゃうのが一番かな。ただ、またすぐに作れるようにはしておきたいし……前みたいな感じにするか。

 と、いう事で壁に纏わりついている土の一部分を【付与】して強化したツルハシで壊そうとしてるんだけど、これが思いのほか硬い。


「私にお任せください、マスター。あと、危険ですので離れていてください」

「ちょっと待って、そのメイスで叩くつもり?」

「はい、そうですが何か問題でもありますか、マスター」

「壁をぶっ壊すんじゃないよ? 土を剝がすだけだよ? 分かってる?」

「はい、もちろん承知してます、マスター」

「壁をぶち抜いて向こう側にいる人に迷惑かからないよね?」

「………」

「ホムラさん、ホムラさん。どうして目をそらすのかな?」


 結局ホムラにやってもらう事になったんだけど、ツルハシで地道に削っていく事になった。

 なんかフルスイングしてる気がするんだけど、気のせいだよね? ツルハシがすぐ壊れちゃうからツルハシを十数本作り直してから思いついて、ミスリルを【加工】してツルハシを作った。【付与】もしやすかったため、いろいろと強化したものを渡したら一撃で広範囲の土が剥がれ落ちる。

 なんかミスリルを取り出したところでざわざわしていた近衛兵たちは意図的に無視して、露になった鉄の部分に触れて【加工】をする。変幻自在に形を変えられるので内側から一部分だけ膨れあげたり、槍のようにとがった形状にして内側から削ったり、その形状のまま高速回転させたりして土を一通り剥がし終わった。

 以前のように一面鉄の床にしようと聖域の外側を見たら、たくさんの人が動きを止めてこちらを見ていた。……そこにいられると邪魔なんだけど、これどうしよう?

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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