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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第1章 冒険者になって生きていこう

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10.事なかれ主義者はダンジョンから帰還した

誤字報告ありがとうございました。

 今、僕たちはダンジョンに来ている。

 目的は冒険をする事と、スライムの魔石の納品依頼。

 納品依頼のために、魔物とも遭う必要がある事は分かっているんだけど、なんか魔物っぽい反応には近寄りたくない。

 地図を見ながら慎重に進路を決めて、第二階層は魔物に遭う事なく次の階層に続く階段に着いてしまった。

 ラオさんがこめかみを抑えてため息をついた。


「魔物を避けてたら依頼を達成できねぇだろうが。アタシが倒すから今度は避けずに行くぞ」


 第三階層になると人がだんだん減ってくる。

 第二階層でスライム狩りをする人が多いらしい。

 第三階層は罠が増え、魔物の数も増えるらしい。だから駆け出しはここには来ない事が多いんだとか。

 来るとしたら、自信過剰な馬鹿くらいだ、とラオさんが言っていた。


「この先の大部屋に反応が大量」


 一カ所に集まっている魔力反応を見ながら伝えると、ドーラさんが大盾を構えて先に部屋に入る。

 それを追って、ラオさんが僕を追い抜いて前に出た。

 大部屋の真ん中にスライムが集まっていた。


「ちょっと多い」

「変異種はいねぇみてぇだし、アタシ一人でも問題ねぇよ」


 ドーラさんがぽつりと呟いたが、特に気にせずラオさんは前に出た。

 素早い動きでスライムたちに近づき、思いっきり一匹を踏みつけた。

 スライムが周囲から跳びかかってきたのを最小限の動きで避け、裏拳で二~三匹まとめてぶっ飛ばし、正面に落下中のスライムを殴るとスライムが破裂するかのように飛び散った。

 ドーラさんは僕の近くから離れる事はなく、大きな盾を構えつつ辺りを警戒していた。

 僕はホムラと一緒にぼーっと観戦しているだけだったけど、部屋の中にいたスライムはすぐに倒されてしまった。

 ……うん、やっぱり戦闘とか無理!


「ほら、魔石拾うの手伝え」

「あ、はい。ホムラ、魔石拾うの手伝って」


 十数個の魔石をホムラと一緒に拾って、アイテムバッグに入れていく。

 ホムラも言われたとおりに魔石を拾って手伝ってくれる。ただ、ホムラは僕に指示されないと動かない。

 ある程度する事を伝えると自動で動くが、だいたいは操り人形みたいなものだった。

 これが僕のイメージによる従順さなのか、魔法生物特有のものなのかはわからない。

 1人で行動させるようになってからは「自分の身は守るように」と伝えているので良い感じに自己防衛はしてくれてるんだけど。


「ほら、次行くぞ」


 ラオさんがまた僕の後ろの位置で警戒をする。

 前にドーラさん。隣にホムラ。僕は地図を見ながらドーラさんに指示を出す。

 とりあえず、人気が少なく、かつスライムが多そうな部屋を端っこの方からつぶしていこう。




 結論、ラオさんが尋常じゃない速さでスライムを蹴散らすので、たくさん魔石がゲットできた。

 途中、魔力切れになりかけたところで地図を使うのをやめて、「敵がどこにいるか分からないし怖いから帰りたい」と伝えると、ラオさんは呆れたような表情になった。

 それでも要望は聞いてくれて、今日のダンジョン探索は切り上げ、撤退する。

 撤退の時にはホムラに地図を持って貰って、問題なく作動しているのを確認して進んだ。


「他の奴でも使えるならもっと進めばいいんじゃねぇか?」

「『何が起こるか分からないから気を抜くな』って言ったのはラオさんでしょ? それにホムラの魔力がどのくらいなのかも分かんないし、いつまで使えるか分かんないじゃん」

「いや、そうだけどよ……」

「シズトが戻りたいなら戻ればいい」


 ラオさんは何か言いたげな様子だったが、ドーラさんが僕の援護をしてくれた。

 結局その後、第一階層の途中でいきなりホムラが倒れた。

 ただの魔力切れだった。


「ったく、融通が利かねぇやつだな」

「ラオさん運んで?」

「お前が運べばいいだろうが」

「いやー……ほら、女の人は女の人が運んだ方がいいと思うんですよ」


 未経験の男の子が可愛い女の子をおんぶするとちょっと意識してしまうんですよ。何を、とは言いませんけど。


「使っていい?」

「え、はい。どうぞ」


 ドーラさんが地図を持って確認を取ってきた。

 魔道具が好きなのか、ただ珍しいから気になるのか興味深そうに地図を眺めている。

 ラオさんはため息をつきながらもホムラを背負って運んでいく。

 僕は遅れないようについていった。




 外に出たら空が赤く染まっていて、日が暮れそうになっていた。

 浮遊台車を納品しに行くため、一度宿によって台車を引っ張ってくる。

 ホムラは部屋に置いてきてもらった。


「使っていい?」

「あ、どうぞ」


 魔力が切れかけているから浮遊台車を引きずって宿の一階に降りると、ドーラさんが浮遊台車を興味深そうに見ながら聞いてきた。

 僕が許可すると、浮遊台車を浮かせて押して歩き始める。


「おお」


 ギルドまで、結局ドーラさんが浮遊台車を運んでくれた。

 時々、キックボードのように地を蹴って楽しそうだった。

 ギルドに着くと、イザベラさんの受付がやっぱり今日も空いていたので、彼女の所で浮遊台車を納品しよう。ついでに浮遊台車の上に乗せていた背負い袋をドサッと机の上に置いた。

 イザベラさんの笑顔がちょっとひくついているような気がするけど、ラオさんが強すぎるのが良くないと思う。


「随分と、スライム狩りをしたみたいですね」

「ラオさんがちょっと……」

「いや、お前だろ」


 なんかラオさんが言った気がするけど、ラオさんを見るとただため息をつかれた。解せぬ。

 スライムの魔石を数えてもらうと、146個あった。

 五個で銅貨一枚らしいので銀貨二枚と銅貨九枚をもらい、スライムの魔石一個が戻ってきた。

 正直、今泊っている宿は僕の今のランクだと贅沢をしすぎているんだと思う。

 パーティーで分けたら今日の宿代も稼げてない。

 付き合ってもらっているラオさんやドーラさんに申し訳ない気持ちでいっぱいだったが、二人はお金は要らないという。今度なんか魔道具プレゼントしよう。


「常設依頼を十件以上達成されましたので、昇格試験を受けてもらいますね。昇格試験は『はじめのダンジョン』のフロアボス討伐。フロアボスは、ゴブリンリーダーです。ゴブリンが複数出てくるので、気を付けてくださいね」

「あ、はい」

「まあ、アタシがいれば大丈夫さ。ほら、飯食いに帰るぞ」


 人型の魔物がやられるところ見て、何とも思わないでいられるかなぁ。

 ちょっと不安に感じてとぼとぼと歩いていたらラオさんが肩を組んできて、宿に連れ戻される。

 ちょっと、防具が固くて痛い! 嬉しくない!!

女性のスキンシップにドキドキする作者です。

おんぶなんてとてもとても……。


気が向いたときに幕間の物語また書きます。

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