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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第6章 亡者の巣窟を探索して生きていこう

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87.事なかれ主義者は見られてる気がした

高評価&いいね&ブクマ登録ありがとうございます。

 ナイフとか剣とかで殺さなかったのが良かったのか、それともサクッと終わりすぎて現実味を感じていないのか。血を見なくて済んだこともよかったのかもしれない。フロアボスのヴァンパイアを倒せた。

 その後の事はボケーッとしていたからかよく覚えていないけど、テントの中じゃなくて、自分の部屋で目が覚めた。昨日もホムラに無理やり眠らされたのかな。ホムラを見ると頭をスッと差し出してきた。素直でよろしい。

 朝食の準備は既に狐人族のエミリーが終えていた。ご飯を食べるために一階に下りて部屋に入ると珍しくほとんどの同居人が揃っていた。いないのはアンディーとシルヴェラだけ。食べ終えて仕事を始めているらしい。


「みんなどうしたの? いつも一緒にご飯食べようって誘っても遠慮するのに」

「いやー、特になんもないっすけど……ほら、最近シズト様ダンジョンに行ってばっかりだから忘れられないように顔を見せておこうと思ったっす」


 僕の顔色を窺いつつ、そんな事を言って愛想笑いをするノエル。いつもは魔道具作りをギリギリまでしててホムラに引っ張られてくるのに。

 僕が横長の机のお誕生日席に座ると、テキパキとエミリーが準備をしてくれて食事が始まる。

 すぐ近くの斜め前にそれぞれ座っているホムラとユキは片方はニコニコしながら、片方は無表情で食事をしていた。ちょっとホムラ、口の周り汚しながら食べるのやめなって。ユキも真似しない!

 ホムラの隣にはドーラさん、ユキの隣にはレヴィさんが座っている。レヴィさんはいつも一方的に話をし続けてドーラさんが適当に相槌をしているんだけど……。


「僕の顔になんかついてる?」

「え……なんもついてないのですわ! いつも通りの顔ですわ」

「大丈夫」


 そう? それならいいんだけど。

 気を取り直してご飯を食べていると視線を感じる。そちらの方に視線を向けると、ドーラさんの隣に座っていたラオさんと目が合った。もうすでに食べ終わって魔力マシマシ飴を舐めている。


「あれ、ダンジョン探索し始めてから舐めてなかったけど、どうしたの?」

「今日は探索は休もうと思ってな。魔力が余っちまうから舐めてるだけだ」

「予定よりもすごく早く探索が進んじゃってるから、のんびりしても大丈夫。今日はお姉ちゃんと一緒にのんびりしましょ?」

「のんびりって言っても、中にいるって事を知られないように部屋からあまり出られないんだけど……」

「お部屋でゴロゴロしましょ? 今日のお世話当番じゃないけど、膝枕してお昼寝のお手伝いしてあげちゃう!」

「遠慮しときますー」


 予定では戻れない事も考えて計画を立ててたから本当に早いらしいし、今日はユキが買い込んできてくれた本を読んで過ごす事にしようかな。

 ラオさんの隣に座っているノエルがなんか「新しい魔道具作って欲しいっす!」とか言ってたけど無視。

 ノエルの向かいに座っていたモニカが後で最近の様子について話をしてくれるだろうし、モニカ達よりも奥に座っているアンジェラのお勉強の手伝いをするのもありか。

 それが終わったら三十一階層以降の情報も知っておきたいなぁ。鉄も欲しいけどミスリルを見た事がないからどんな風に使われているのかも一応知っておきたいし。

 朝食を食べ終える頃には、ノエルが床に寝転がって駄々をこね始めたけど、ホムラが足首を持って引き摺って出ていった。それに続いてユキも仕事をしに出ていく。


「今日のお世話係だからたっぷりお世話したかったけど……残念だわ、ご主人様」

「どこでおべんきょうするの、シズトさま?」

「とりあえず、書庫かなぁ」


 食後にのんびりと紅茶を飲んでいると食事を終えたアンジェラがトテテテッと僕のとこまで来て尋ねてきた。ピンク色の髪を優しくなでながら考えて書庫でする事にした。便宜上書庫と呼んでいる場所は本をとにかく詰め込んだ部屋で、モニカもそこで話をしてくれるそうだ。

 ジュリーンとダーリアは仕事があるので離脱して、ピーピー騒いでいたパメラを眠たそうな様子でだらだらとしていたシンシーラが面倒臭そうに引き摺って去っていった。フリフリと振られているモフモフの尻尾を見送っていると、モフッと腕に柔らかい感触が。

 エミリーが机の上の片づけをしている時に、たまたま尻尾が当たってしまったようだ。こっちの尻尾ももふもふでいいよね。

 紅茶を飲み終えるまでピンと立った尻尾を見ていたけど、「いい加減行くぞ」とラオさんに引っ張られて鑑賞が終わってしまった。

 二階の使われていない部屋をどんどん通り過ぎ、目的の場所に辿り着く。

 部屋に本棚を【加工】で作り、本を詰め込んだ場所だ。なんか書庫っぽいのでそう呼んでいるけど、まだまだ書庫という割には本が足りない。アイテムバッグに入れればいつでもどこでも読めるだろ、とかなんか聞こえたけど気にしない。

 モニカの報告を聞き終わった後は文字を読む練習として使われている本を使ってアンジェラと読書をする。

 ソファーに座って読んでるんだけど、アンジェラが上に乗ってきて、若干の重みを感じる。たどたどしく読むアンジェラの声を聞きながら時々間違っている所を一緒に読んで覚え直す。

 本を何度か読み直したら今度は書く練習をするらしく、机で勉強をしようとしていたのでアンジェラの体に合わせた椅子と机を【加工】で作った。

 何か言いたげな様子で僕の方を見ているラオさんは放置して、僕も本を読む。

 ミスリルは見つかり辛いらしいけど、今のうちに手に入った後の使い道を考えておかなきゃね。

 お昼ご飯のサンドイッチを途中で食べたけど、それ以外はひたすら本を読み続けて一日が終わった。

 今日なんか視線をよく感じる日だったな。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 自覚のない者はこわいんだよ? いつ、フラッシュバックするか分からないから きっと、顔色が悪いんだろう みんな、やらせなければ良かったと思ったんだろう でも、これは…
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