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後日譚322.事なかれ主義者はついつい反論してしまう

 陽太が手配してくれた部屋でもぐもぐと食事をしながら陽太と話をする事になったけど、陽太が話す内容はどれもどうでもいい事ばかりだった。

 お嫁さんたちとの夫婦の営みから始まって彼の性癖に関しても聞く事になったんだけど「やっぱり胸も尻も大きい方が良いよな」とか言った時には「好みの問題でしょ」と流石に口を挟んだけれど、それ以外はただ黙って食事をしながら話を聞き続けた。聞き流したともいう。

 ……陽太は気にしないかもしれないけど、一応会話っぽい感じにした方が良いかな。ずっと話続けている陽太に対してジュリウスが何を思うか分からないし。

 最近起こった国境線付近での戦いについて話し終わったところで、咀嚼していたなんかの魔物の肉を飲み込んで口を開いた。


「それで、今はお嫁さん何人いるの?」

「三十くらいだな」


 僕の初めての質問に対して陽太は即答した。


「くらいって……正確に把握してないの?」

「まあ、あんまり会わねぇ奴もいるからなぁ」

「それで夫婦生活何とかなってるの?」

「なってんじゃね? 知らんけど」

「そんなんで父親としてやっていけるのか疑問なんだけど……」


 先程の話では早速誰かが妊娠したとかそんな話が出ていたような気がする。聞き流してたからうろ覚えだけど……。


「乳母に頼むのが貴族の常識らしいぜ。平民出身の奴らも、クロエが取り仕切ってるから妊娠したとしても問題ねぇだろうし」

「ふーん。クロエさんってルカソンヌの人だっけ?」

「そうそう。宗教に関する事以外はこっちに歩み寄ってくれるから楽だわ」

「…………そっか」


 陽太は確か正室だけじゃなくて側室もルカソンヌの出身の人を多く娶っていた気がする。ルカソンヌの人という事は加護を授かっているかどうかをとても気にするんじゃないだろうか?

 もしも加護を授かっていないとなると、その後の扱いはどうなるのか……懸念点はいくつもあるけれど、僕が心配しても仕方がないだろう。


「それより、そっちはどうなんだよ。なんか変わった事とかねぇのか?」

「変わった事? 変わった事って言っても日々同じ感じで過ごしてるからなぁ……。姫花と明が結婚する事になったのもどうせ知ってるだろうし」

「いや初耳だぞ!? なんだよ、そういうの真っ先に言えよ!」

「陽太がずーっと喋ってたから話すタイミングがなかっただけだよ。……文通とかしてないの?」

「してるわけねぇだろ」

「…………それもそうか。今は確か向こうの家の人と日程の調整をしている段階で、相手の両親への挨拶をしようとしている段階みたいだよ。なんか知らんけどファマリアで会うんだってさ」


 明と姫花はどちらもファマリアに根を下ろしそうな勢いだ。『聖女』の加護を授かっている姫花は何かと力を借りる事になる可能性もあるし、『全魔法』の加護を授かっている明も子どもたちに魔法を教えてもらう事になるかもしれない。そう考えると、会食の場をファマリアで設けたいと言われても断る事も難しかった。


「へー。あいつらもやる事しっかりやってんだなぁ。他にはなんかあったか?」

「んー、子どもたちと町の散歩をしたとか?」

「散歩なんてどこが変わった事なんだよ」

「僕の立場を考えてみてよ。大騒動だよ。町の散歩するためだけに最初の頃は町の立ち入り制限してたんだから」

「ふーん」

「最初は僕も心配だったけど、ジュリウスとドライアドたちに協力してもらって自由に散歩していい事になったんだけど、それでもレヴィさんとか貴族出身の人との間に生まれた子は社交界デビューまでは町の散歩はしないらしいけどね。できれば平等に接したいんだけど、一律で禁止するのもあんまりいい案ではない気がするから、とりあえず育生たちには埋め合わせを何かしようかなって考えてる所なんだ」

「へー」

「あ、平等にってのはお嫁さんたちにも言える事だからレヴィさんたちにも何かしらした方が良いのかな?」

「別にいいんじゃね」

「いや、平等に接するのってたくさん娶るうえで大事なんじゃない? 陽太はそこら辺しっかりしてる?」

「平等にヤッてるつもりだけど、あいつらが不公平を感じてるかは分かんねぇなぁ。身分とか違うと考え方も違うだろ? 全員まとめて相手をして酒池肉林を楽しむ日も設けたいところなんだけどよ、どっちからも反対されるからなぁ」

「…………反対されてよかったね」

「はぁ? どこがいいんだよ。最悪だろ」

「いやいや、同時に相手するなんて体がいくつもないと無理だからさ。誰かとしてたら誰かは放置みたいな感じになるわけで」

「自分でさせてればいいだろ」

「あー……そういえばしてたようなしてなかったような……?」


 魔道具とかでそういう事もできる物も作ったけれど、そういう事を言うとめんどくさい事になりそうだからこれは言わなくてもいいか。

 僕が口を噤んだところで陽太が再び会話の主導権を握った事で会話がどんどん下品な話になっていく。

 どういう相手が好みなのかという所から始まり、夜の営みについての妄想や願望の話等々……。

 レモンちゃんがいるのも忘れて話し込んでしまったけれど、どうやら途中で話に飽きて部屋の探検をしていたレモンちゃんをジュリウスが外に出してくれていたようだったので助かった。

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えっ、ヒメカ他の男と結婚するの?
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