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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第5章 新しいお姉ちゃんと一緒に生きていく

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73.事なかれ主義者と王様のお願い

評価&いいね&ブクマ登録ありがとうございます。

 何かいろいろあった日から一週間、家庭菜園をしたり魔道具を作ったりのんびり生活をしていた。

 ラオさんとルウさんはドーラさんと交代で僕の近くに控えていたが、特に陽太たちがやってくる事もなく、エルフからの介入もない。

 世界樹の側でエルフたちが壁に何かしているらしいが、そこに陽太たちの姿はなかったらしい。

 エルフからの声明は王様が自ら否定し、世界樹は『生育』の加護を持つ者が神様から賜り育てていたのだと声明を出した。その結果、ファマ様の像がドラン内で作られたが、それ以外は特に変化はなかった。

 ただ、その平穏な日常もそこまで続かないようだ。レヴィアさんが王様から一通の手紙を預かってきた。

 大規模なアンデッド討伐作戦に協力してほしい、という事だった。

 朝ごはんを食べつつ、ドーラさんの話を聞く。


「初心者用のダンジョンで周期とは異なるタイミングで活発期になっていた。南のダンジョンもその可能性がある。不毛の大地は軍が対応するから私たちはダンジョンを確認してほしいらしい」

「シズトには同行してもらって便利な魔道具を作って欲しいのですわ! 出来高払いで、アンデッドに有用であれば今後も軍の魔物討伐の際に使うらしいのですわ」

「僕も行くの?」


 もう冒険はしたくないんですけど。

 そうは思っても王様からのお願いだ。僕の友人としてではなく、ドラゴニア王国国王としての依頼。


「アタシらが守るから大丈夫だ。それに何かあれば帰還の指輪で勝手に戻るし、死んでなきゃ余り物のエリクサーで何とでもなるだろ? あの時みたいに誰かが倒れてたとしても何とでもできるだろ」

「……まあ、そうだね。転移陣使えるか試して、いけそうだったら作っちゃえば逃げ道作れるし」

「お姉ちゃん、頑張ってシズトくんに良い所見せるわ!」

「浮遊台車の準備は万全です、マスター」

「運ばれる前提、って不安しかないんですけど!?」

「昇格試験の時の事で心配してたが、この前の勇者たちとの話し合いで戦えないわけじゃないって分かったしな」

「まあ、拘束程度ならできるけどさ……」

「そのくらいできればいい。まあ、基本案内人兼荷物持ちとしてついてきてくれるだけでいいさ」


 朝ごはんを食べ終えたラオさんが僕の頭をくしゃくしゃと撫でてくる。

 冒険、したくないんだけどなぁ。

 でも、ラオさんの言う通り、以前とは状況が違う。転移系の魔道具が使えるか検証をしておく必要はあるけど、戦力も増えてるし相手にも優位が取れる魔道具をたくさん作る事もできる。挑戦するなら今なんだと思う。

 ずっとこの街の中で生活してても、魔物が襲撃してくるかもしれない。街から街へ移動する時に野盗が襲ってくるかもしれない。そういう不測の事態じゃなくて、どこにどんな魔物がいるのか分かっている状況できるのは恵まれてる。

 この前みたいに、降りかかる火の粉は自分で振り払う必要はきっとどこかである。それまでに、血にもちょっとは慣れておかないと。

 やると決めたらすぐに準備をしなきゃ。何かあった時にはすぐにでも皆が戻って来れるように帰還の指輪も人数分以上作っておこう。


「ホムラ。お金を気にせず、ランクの高い魔石買ってきて」

「かしこまりました、マスター」




 朝ごはんを食べ終えて家庭菜園に『生育』を使った後は僕の部屋に集まって魔道具作りをしている。

 今回の王様からのお願いでは、ダンジョンに異常がないのかを確認するために最低でもフロアボスの階層までは確認してほしいという事だった。ラグナさんも協力は惜しまない、と今まで集めてきた不毛の大地にあるダンジョンの情報をまとめた資料を出してくれている。

 ラオさんとルウさんがそれを見ながら、出てくる魔物やダンジョンの構造についてなどいろいろ教えてくれる。


「10階層までは洞窟型でゾンビ系の魔物しか出てこねぇ。罠は特にねぇけど、とにかく臭いが酷いから行きたくねぇな。神聖ライトを使うだけでも最初の方は倒せるだろ。フロアボスはジェネラルゾンビとその配下どもだ。物量で攻めてくるが、ジェネラルゾンビさえ倒せば後は消える」

「その後の20階層までは沼地が続いていて、実体を持たない魔物が出てきたのよね。匂いも酷いし、沼も毒だから間違っても飲んじゃ駄目よ? 中には底なし沼もあるから気を付ける必要があるわ。その20階層のフロアボスはリッチが出て来たかしら? 比較的魔物のランクも高いのよね」

「魔石たくさん」

「そうですわね! たくさん手に入るのですわ!」

「レヴィア様、貴女はお留守番です」

「なぜですわ!?」


 セシリアさんに文句を言っているレヴィさんを気にした様子もなく、皆が話をしてくるのでその情報をまとめていく。


「とりあえず匂いは嗅覚遮断マスクでいいよね。魔石で動くようにした方がいい?」

「難しい所。途中で切れたら悲惨」

「吐くほどくせぇからな。下に行けば行くほどくせぇ」

「ダンジョン内で戦闘以外で魔力を使うのは極力避けたいところね」

「三人は行った事があるの?」

「領主からの依頼で」

「アタシたちは昔ちょっとな」

「できれば臭い問題は何とかしておきたいから、魔石を使わないタイプでお願いしてもいいかしら?」

「わかった」


 僕も吐きたくないし。

 でも食事とかどうしようか。臭いを無くす結界でも……うん、できそうだからそれを作っちゃおうか。そのタイミングで魔石を交換すれば問題ないし、マスクも魔石を使うタイプを一応作っとこう。

 毒報知鈴もそれぞれの分だけあった方がいいよね。ドーラさん、アンデッド討伐を見越して作って欲しいって言ってたのかな。

 ダンジョンへ行くのは一週間後。帰還の指輪を使えばいつでも戻って来れるし、ダンジョンの中で転移陣が使えたら日帰りも可能だけど、準備万全にしていこう。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 死んだら、終わりなのに、よく、ダンジョンに行けとか言うな、王様 勇者は死なないとか思ってるのかな? 戦闘力無いのに やっぱり、今までの勇者のイメージが、拭えないのか
[良い点] エルフ何やってんだろね!
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