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【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~  作者: みやま たつむ
第5章 新しいお姉ちゃんと一緒に生きていく

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69.事なかれ主義者は作り直した

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「プロスもやる~」

「ぐえ!」

「お、重いんだな~」

「シズトくん、大丈夫……?」


 結構な勢いをつけて上にのしかかってきたら自分の半分くらいの大きさの神様でも流石にしんどいっす。

 エント様がファマ様とプロス様を僕の上からどかしてくれて体を起こすついでに正座をする。ええ、怒られる準備はできております。それで、今回のお叱りは世界樹の件ですね?


「あ、あの木はシズトにあげたものなんだな」


 あれ? もしかして怒られないのでは? じゃあ正座をしなくてもいいね。そう思って立ち上がりかけたけど目の前で両手を腰に当てて怒っている幼女がいた。


「プロスの像作り直して!」

「オ、オイラの像も作り直すんだな! ご、号泣の神様にされちゃうんだな!」

「私もできればしっかり顔を見て作り直してほしいかな……?」


 すっと正座の姿勢に戻って話を聞くと、どうやら世界樹の件ではなくて、神様たちの像が良くなかったみたい。世界樹に関しては、神様としてはどうでもいいらしい。まずは加護を使ってほしい神様たちが考えて、あの木は加護の力でしか育たないから渡したら加護を使うだろうと思ってくれたらしい。

 神様としては、加護をしっかり使ってくれて、信仰も広めてくれるなら世界樹だろうが家庭菜園だろうがどっちでもいい、と。


「じゃあエルフにあげちゃってもいいんですね?」

「んー、でもでも! エルフにあげても枯らしちゃうけどいいの?」

「え? エルフって生育の加護を持ってるんじゃないですか?」

「も、もう剥奪した後なんだな。だ、だからシズトが要らないなら世界樹は枯らせばいいと思うんだな」

「なんでそんな事になってるんすか!?」

「加護を使えば神力をちょびっと得る事はできるけど、信仰してもらった方が神様として成長できるんだよ……? でも、エルフさんたちはファマくんがどれだけ言っても信仰を広めようとしてくれなくて、ひどいよね……?」

「それに比べてシズトは偉い! よしよししてあげる~。でも、プロスあんな怒った顔してないからちゃんと作り直してね!」

「あ、はい」


 目と鼻の先に顔を近づけてくるプロス様。大きく丸い瞳と同色の焦げ茶色の髪を肩まで伸ばしている。手足は細く、ちょっと日焼けしている肌は健康的な女の子、という感じだ。

 エント様はちょっと一歩引いたところでこちらを上目遣いで見ている。端正な顔立ちで、人形のような感じ。肌は白く、それとは対照的な黒い髪と瞳。

 ファマ様は二人よりも頭一つ分くらい大きく、ちょっと小太り。そりゃこの大きさでタックルかまされたらああなるよね。二人に宥められていた印象が強いから同じ背丈で作っていたからちょっと修正しないと。坊主頭で号泣していた以前と比べると今は何というか……ボーっとしている感じ? え、これで作り直せばいいんすか。


「今回呼び出されたのは像についての事だけでしょうか?」

「それもあるけど、お祈りしてたから声をかけただけ!」

「?」

「プロスたち、そんなに力ないし、こんな事で最高神様にお願いすると後が大変だからこれから毎日お祈りするか、安眠カバー使って寝ないようにしてもらおうかな、って思ったの!」

「?」

「シズトくんが安眠カバーを使うと夢に入れないからお話しできないんだよ……?」

「ああ、お告げ的な」

「加護をあげた人が夢を見てる時か、お祈りしてる時はちょっとの力でお話しできるようになるんだよ……?」

「だ、だから逃がさないように捕まえたんだな!」

「次からはお手柔らかにお願いしたいです」


 その内、腰とかやっちゃいそうで怖いので。




 ちびっこ神様たちに像を作り直す事と毎日お祈りをする事を約束させられて元の場所に戻してもらえた。

 静寂だった真っ白な世界から元いた場所に戻ったのを騒がしさですぐに分かったんだけど、なんか顔に柔らかくていい匂いのするものが押し付けられてるんですけど、どういう状況これ!?

 バタバタと手を動かすと、やっとルウさんが僕を離してくれて大きくて柔らかい両手で僕の顔を挟んだ。


「シズトくん? あ、反応があったわ~。全然反応なくって、お姉ちゃんとっても心配したんだから!」

「今度から抱きしめる以外で反応確認してもらっていいですか」


 嬉しさよりも恥ずかしさの方が勝つので!

 何かぶつぶつ言っているルウさんを放っておいて像を作り直す。

 エント様の顔はもうちょっと大人びた女の子って感じで。プロス様はにっこり可愛い笑顔に直して髪を少し調節する。ファマ様はまず縦にも横にも大きくして、ぼーっとした表情に直す。

 こんな感じでどうっすかね、神様? と、手を合わせて目を瞑ってみたけど変化は起きない。たぶん問題ないって事だろう。

 ルウさんがじりじりと迫ってきているのを感じたので、すぐに立ち上がり屋敷に戻ってお風呂に入ろうと思ったんだけど、馬車が屋敷の前で止まる。

 お客さんかな、と思って見ていると中からドレスを身に纏ったレヴィさんが出てきた。


「ああやってみると王女様っぽい」


 その声が聞こえたわけではなさそうだが、レヴィさんと、その後に下りてきたドーラさんがこっちに走ってくる。


「シズト! 身支度を整えるのですわ!」

「王様がシズトと非公式で会いたいらしい」


 ……神様の次は王様っすか。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] シズト君は世界樹に思い入れないからなぁ レヴィア様の方が思い入れある説 「国境付近に凄い資源が見つかったせいで領地争い起きてます」にしちゃったわけだけど それも全部神様に従っただけだし …
[良い点] (世界樹枯らしても)ええんか……
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