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いつか終わる物語  作者: むらさき毒きのこ
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遅効性のある言葉

 誰だったかなあ、言葉を薬に例えていたのは。食べ物に例える人もいた。どっちでもいい感じはするんですが、肥料に例えてもいい気がします。ざっくりいうと、速効性か遅効性か、と言う感じで。


 萩原朔太郎氏の「遺伝」という詩は、なんだか不思議というか、不気味なのです。だけど、なんだろうなあ。私にとっては、「病める魂の所有者と孤独者との 寂しいなぐさめ」という言葉と共に、腑に落ちる内容だと感じました。


 最近、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を含む短編集を読んだのですが、そのあとがきを読んで、そうだったのかと思う事がありました。それは、宮沢賢治の作品はそのほとんどが「生前未発表の未定稿」だったという箇所です。こんなに有名な作家・作品なのに、なんだろうなあ……と思いました。


 書いたものがすぐに「評価」される楽しみが、投稿サイトにはあるのです。しかし、片や何年も読まれずに埋もれている、そういう存在もあるのです。なんというか、遅効性的文章というのはおそらく、極端な言い方をすれば、未来の人のために書かれた文章なのかもしれない。少なくとも、速効性的文章のように、見た瞬間、読者を魅了するようなたぐいのものでは無いのかもしれない。


 おととい、ある物書きがこの場を去ったのであります。これで何度目かなあ。その次の日、別の物書きが去りました。不思議な事に彼らは、お互いに頑張りましょうと言った次の日と次の次の日に、両者ともいなくなったのでした。片方は忘れられ、片方は愛されているのです。


 私は、忘れられている方に餞別を送った。なぜなら、その人物の作品に罪はないと思っていて、ある作品に対しては、消えたのが惜しいとも思っているからなのだ。それは、散々揉めた後も、始めからずっと変わらない「感想」なのである。


 ここに本当の気持ちを書くならば、私は、ある人々を魅了した言葉や作品に対しては、一人恐怖を感じていた。たぶん、世の中とあべこべの目が付いているからなんだろうと思う。黒い川がその間には流れていて、私はたぶん「あちら側」の人間なのかもしれない。もしかしたら。


 こういう疎外感、分かってくれたのは、同じようなものを見た人だけなのだ。そしてそれは、悲しい事でもあるのかもしれない。たぶん。

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