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いつか終わる物語  作者: むらさき毒きのこ
24/70

●ホクロマン●やきそば橋はなぜ、ホクロ橋になったのか

 墨田(すみだ)カワウ(9)はその日、新しく通う事になった「ヒバリーヒルズ小学校」に向かって歩いていた。時刻は八時。あと三十分後に、授業が始まる。


 通学路の山道には、あじさいが咲いていて、カワウは雨上がりの匂いを吸い込みながら、元気よく階段を昇っていた。そして、橋に着いた。


「やきそば橋」


 その橋は、やきそば構造という方法で作られていた。真ん中に穴が開いていて、橋を渡る際には端っこを歩く。

 やきそば橋を見たカワウは恐ろしくなり、足がすくんで動けなくなった。


 橋の下には「ヒバリーヒルズ通り」がある。その道路は片側だけで五車線あり、毎朝多くの車や自転車が走行している。


 側道に、トラックに向かって腕を振りながら怒鳴る髪の長い男がいる。トラックは止まらない。男は倒れた自転車を起こして、トラックが走り去った方向に中指を立てた。


 自転車乗りの男はおもむろに、背負っていたギターケースからギターを取り出し、歩道に一番近い車線の真ん中で仁王立ちになって首を振り始め、アンプに繋いでいないエレキギターの音を鳴らし始めた。そして激しく頷くため振り乱れた長い髪の毛が、赤いヘルメットを被った自転車乗りの首に絡まって、赤いヘルメットの自転車乗りが首に絡まった長い毛を取ろうとしてハンドルから手を離したためにその自転車は倒れ、その後ろにいた黒いボディスーツの自転車乗りが赤いヘルメットの自転車乗りを()いた。

 長い髪の自転車乗りの自転車を除く、計二台の自転車がその日の朝、事故に遭った。


 その様子をじっと見ていたカワウは、少し離れた場所から聞こえる、始業の、チャイムの音を聞いた。


「どうしよう、お母さんに怒られる」


 登校初日の遅刻確定に、カワウがうめき声を上げたその時。


「ほくろ~、ほくろ。ほくろは、いらんかね~」


 天秤棒(てんびんぼう)を担いだ、おじいさんが現れた。おじいさんは手ぬぐいのねじり鉢巻きをくいっと整えると、腰をかがめて、カワウの顔を覗き込んだ。


「知らない人とは話しません!」


 カワウは、母との言いつけを守ろうとした。するとおじいさんは「ふーむ」と言ってから、橋の真ん中を歩き始めた。


「あぶない!」


 カワウは思わず叫んで、目を手のひらで覆った。しかし、おじいさんは歩くのをやめない。カワウは恐る恐る指の隙間から、橋を渡るおじいさんを見た。


 おじいさんは飛ぶように、ぴょーんぴょんと、天秤棒の(おけ)からホクロのジュースがこぼれるのも構わないで、行ってしまった。そしてやきそば橋の真ん中には沢山のホクロがこびりついて、光沢のある堅い石になった。


 ヒバリーヒルズにはいつしか、こんなうわさ話が流れ始めた。


「やきそば橋には、ほくろマンが出る」と。


***


 その年の六月、世界的祭典である「ハッスルムーブメント・スポーツフェスティバル2021」の中止が決まった。開催日まであと一か月という時に、「運動(ウンドン)一号」という名前のミサイルが飛んできて、富士山の静岡側に刺さったためであった。そしてそのあと富士山は、怒って爆発したのだった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 破天荒です!(゜∀゜) [一言] ネーミングセンスがいい。
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