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太陽が沈むならば、星になればいいじゃないか
水色とオレンジのコントラスト
その色彩に心を奪われて
気が付かなかった日没に慣れない目を泳がせる
黄昏に沈む心
よその家から漂う匂いの温かみに
背を向けて歩き始める
ねえ太陽
あんたは暖かかった
だけど地球はまわってる
「月でも見てて」
そう言って笑ったその顔は
哀しいくらいに優しかった
だから私は何も言えないで
暗闇に向かって走り出した
走れこの体灰になるまで
燃え尽きたその時
星になる
***
【黒いキャンバス】
いつか見た十六夜
棄てられた音を聴きながら
今日も星は一つしか見えない
小さな夢を捉えるために
小さな秘密を一つ手放す
全ては心の中の出来事、だけど
そこから始まる予感に燃えて
冷たい風に身を乗り出す
まだ醒めない夢
月を切り裂いたら
オレンジに染まりそう
灰色の服に
点々とした塗料染み付く
願わくば、幻想の地平の向こうに
ダイブでは無くドライブ
***
【月の砂漠】
風が冷えてきた
あのぼんやりと輝く月を砕いて砕いて砕いて
大きな砂漠を作ろう
箱庭を埋め尽くす白い砂は空色
或る時はすみれ色に群青そしてクリーム色
そして或る時は赤く
音の無い聖域で何を想う




