和尚の悲劇
掃除をしようと本堂に入った和尚は、埃が舞う前にお供え物の団子を片付けようと思い、観音様の前で合掌した。そして顔を上げた時、おや、と首を傾げた。
「団子が無いんじゃあ!」
和尚は驚きのあまり、手に持っていたろうそくを落とした。ろうそくは、真っ二つに割れた。
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「きっと、アイツの仕業じゃあ! ほんに腹の立つことよ」
和尚は息子の部屋に向かった。そして襖の引き手に指をかけ、まずグッと持ち上げ、少し下げてから気合いを入れて開けた。敷居には和尚の知らぬ間に、ロウが塗られていた。
ゴトゴト、ピシーーーーーーン! バリ!
「雄慈! 団子を返さんかい! お月見団子は、村の子供らの楽しみなんじゃあ。はよ出さんかいな~!」
和尚は、何かを壊したことを悟り目を固く閉じたが、それでも息子に、言うべき事を言った。
「知りませんよ、僕は。何ですか、それでもあなたは信仰者なのです? そんなあなたを、僕は軽蔑しつつも赦す……いや、やはり許せない! PURICOちゃんのポスターが!」
激しく抗議しながらもゲームをプレイする手を止めずに、父親を審判する息子。
彼の万年床には、珍しい色のきのこが生えていた。和尚は、チャンス! と思い、息子の布団の下から生えているきのこを3本収穫した。
「お父さん、話はまだ終わっていないですよ!」
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和尚はウキウキしながら、妻にきのこ料理を作ってもらおうと、台所に行った。するとどうだろう。70近い妻は、60代の「小僧」と乳繰り合っていた。和尚は動揺のあまり、持っていたきのこを握りつぶしてしまった。物音に気が付かないほど夢中になっている二人を残し、和尚はその場を後にした。
「長い間、小僧のままにしておいた、わしの不徳の致すところ……許せ、珍良よ……」
和尚はその日、夜を徹して観音様の前に伏していたという。
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【奴隷解放戦線】
「できると思ったことを、できる環境にいて、試さずにいられる人間はいない。確か、そんな事を言ってたな、ある科学者が」
「誰すか。危ねえ奴っすね、そいつ」
「俺たちの生みの親さ」
「へえ」
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