葬送~そして世界は単一に染まり、人々は愛無き世界で静かに微笑む~
皆さま。
この度は、多様性の死を悼む場にお集まりいただき、ありがとうございます。
今一度、多様性について、考えてみようではありませんか……さあ。お座りになって。
では、手前の、盃を手に取って、乾杯しましょう。
「多様性のために」
赤いワインの色は、情熱を表しています。
これから、世間には春が来ますが……我々にとっては、冬の時代が来るやもしれません。
情熱の、灯を消さぬために。この、酌み交わした酒の、胸に広がる熱い感覚を、忘れないでいただきたい。
冷水を浴びせられ侮辱されようが、苦みばかりの、毒にも薬にもならない手土産を渡されようが、殴ってはいけません。殴れば、死、あるのみです。神の裁きは、全ての民草に等しく訪れるでありましょう。
弱き者にも、強き者にも、卑怯なものにも、高潔なものにも、愚かなものにも、聡き者にも。
その時が来るのを待つのです。それまでは、耐え忍びなさい。いいですか。殴られても、殴り返してはいけません。それは、悪人の成す事です。我々は、悪人でしょうか。
嘲るものはこう言います。「お前たちは悪人なのだから、地べたを這いつくばり蛇のようにしていたらいい」と。そうでしょうか。彼らのいう事は、正しいでしょうか。
嘲るものは、嘲りを受けるようになります。そういったわけで、くれぐれも気を付けなさい。
審判は、忘れたころにやって来るのです。盗人のように。
***
ハープの音色、フルートの息遣い
シフォンドレス、錦の帯
エメラルドの首飾り ルビーの指輪
紅茶で始まり ムスクで終わる
青い瞳に シルバーブロンド
涼やかな 吐息混じりの声が呼ぶ
穏やかな日常 変わらない毎日
季節は春 花は咲き乱れ
吹く風は清める 堕ちた幻想
少女がひとり 相手も無く佇む
永遠の乙女 涙を流す
神々は求婚する 美の化身に
振り払う手 誰のための柔らかさ
やがて世界は凍り付き
白に染まった
少年よ その汚れた手でかき回せ
白いキャンパス 罪色で描け
荒々しい欲望 恐ろしい夢
そして奪え 女の唇
折れるほどにかき抱け 高慢な女神を




