コンビニのレジ袋の有料化は、海のごみを減らせるのか -コンビニ店員の視点から考える-
目次
・コンビニのレジ袋が有料になった件
・海洋プラスチックごみの現状とは
・プラスチックごみはどこからやってくる
・レジ袋を使用しない事が、海のごみを減らすことに繋がるのか
・コンビニの店員という立場から見た、レジ袋の有料化について
・コンビニのレジ袋の有料化は結局、意味があるのか
■コンビニのレジ袋が有料になった件
2020年7月1日より、全国の小売店にレジ袋の有料化が義務付けられた。そのため、今まではレジ袋を無料で配布していたコンビニ大手3社においても、1枚3円から、レジ袋の有料化が始まった。さて、ここで素朴な疑問が湧いてくる。そもそも、なぜ今まで無料で提供していたレジ袋を、有料にするのだろうか。
その答えは、レジ袋有料化政策の背景を示す資料「参考資料 レジ袋有料化に係る背景について」[1]にある。その冒頭には、海洋プラスチックごみの現状、という項目がある。そこには、海洋プラスチックごみの削減に対する、各国の取り組みが紹介されている。その活動の一環として、レジ袋の有料化があるという事が分かった。
■海洋プラスチックごみの現状
さらに、環境省の資料「海洋プラスチック問題について」[2]を見ると、以下の事が分かった。
陸上から海洋に留出したプラスチックごみ発生量は、日本の場合、年間6万トンである(2010年推計)
漂着ペットボトルの製造国別では、太平洋側では日本製のものが多い
陸上から海洋に流出したプラスチックごみ発生量が最も多い中国の年間353万トンと比較すれば、日本は少ないと感じるかもしれない。しかし、6万トンというごみの量は決して「少ない」とは言えない。従って、プラスチックごみが海へ流出するのを防ぐ事は、大きな課題と言える。
■プラスチックごみはどこからやってくる
株式会社/一般社団法人ピリカの「『日本の河川・港湾・湖におけるマイクロプラスチック浮遊状況調査』及び『人工芝の流出源調査』レポート」[3]によると、以下の通りである。
・国内100地点中、98地点でマイクロプラスチックを採取
・都市部だけでなく、様々な地域からの流出が明らかに
・港湾にはマイクロプラスチックの浮遊量が全体平均と比較して50倍以上も高い「ホットスポット」が存在
・日本のマイクロプラスチックの浮遊量は東南アジアの発展途上国と比較しても高水準
・人工芝、プラスチックコーティング肥料、ペレットに加えシート類やロープ類の流出が明らかに
・人工芝は全国で流出、肥料は流域に水田がある河川に集中
・この事から分かるのは、海に流出しているごみは、砂浜等でポイ捨てされたペットボトルやストロー、コンビニの袋だけでは無い、という事である。
■レジ袋を使用しない事が、海のごみを減らすことに繋がるのか
さて、これまでの章で紹介した参考資料により、コンビニのレジ袋が有料化された背景に、海洋に流出しているプラスチックごみ問題がある、という事が分かった。しかし、コンビニの袋を使用しない事で海が綺麗になるのかというと、良く分からない、という事も分かった。なぜなら、海に浮かぶごみの出どころは多岐にわたり、その種類も様々であるからだ。
そこで、いちコンビニ店員の立場から、レジ袋有料化における現場の反応を例に挙げ、レジ袋の有料化は海のごみを減らす事に貢献しているのか考える。
■コンビニの店員という立場から見た、レジ袋の有料化について
NHK NEWS WEBの2020年8月3日の記事「レジ袋辞退率 大手コンビニ3社で70%超 有料化と比べ大幅増」[4]を見ると、以下の事が分かる。
・有料化が義務づけられる前の辞退率はおよそ25%であったが、有料化により70%を超えた
・商品を袋に入れずそのまま持ち帰るケース、マイバッグの利用が増えた
・袋の値段は1枚3円からである
・これは、現場にいる者として得た実感と変わらない。では実際に私が見た、顧客の反応をいくつか例に挙げる。
・商品一つを購入する場合、ほとんどの顧客が「袋いらない」と答えるようになった
・「袋いらない」と言った後、通勤カバンの中に弁当を縦に入れる顧客がいる。弁当を縦にする事により、中身が崩れる事がある
・マイバッグを持参する顧客が増えている
・店員として見ていて「これはいかがなものか」と感じる例に「弁当を縦に入れる」事を挙げる。こういう場合は無理をしないで、弁当用の袋を購入するか、弁当を水平に入れる事が出来る袋を持ってきて頂きたい。
また、今の季節(8月現在)は夏場特有の問題もある。弁当を食べた後の、ごみの臭いである。レジ袋があれば、ごみをレジ袋に入れ口を縛る事により、臭いの対策が容易に出来る。しかし、レジ袋を辞退しマイバッグに商品を入れる事により、食品を食べた後のごみは、おそらく職場や学校のごみ箱にそのまま捨てられる事になる。そのごみをしばらく放置すればどうなるかは、容易に想像がつくのである。無駄な袋の使用が減った事は事実であるが、手放しで喜べない現実もある。
■コンビニのレジ袋の有料化は結局、意味があるのか
そもそもコンビニでの買い物に限らず、私たちの生活のあらゆる場面において、プラスチックのごみが出ない日は1日たりとも無い、というのが現実である。おにぎりを包むフィルム、マスクの個包装、詰め替え用の洗剤、野菜・肉・魚のパック、お菓子の袋……プラスチックの無い生活など、想像がつかない程である。従って、コンビニのレジ袋を有料化し、結果、レジ袋を辞退する顧客が増えたところで、根本的な問題である「商品の製造または生活のあらゆる場面で、プラスチックを使い過ぎている」事に目を向けない限り、海のプラスチックごみは、消える事は無いのである。
海のごみ問題は、食物連鎖の中にある私たちにとって死活問題でもあり、また、途方も無い問題でもある。出来る事から一つずつ行う事が、私達の、ごみ問題に対する第一歩であると言える。従って、コンビニのレジ袋が有料化する事によってレジ袋を使用する人が減っている事は、海のごみを減らすための第一歩であると言える。
[1] 環境省ホームページより検索「参考資料 レジ袋有料化に係る背景について」
(https://www.env.go.jp/recycle/y0313-02/ps4.pdf)
2020/08/26アクセス
[2] 環境省,平成30年,「海洋プラスチック問題について」(https://www.env.go.jp/council/03recycle/%E3%80%90%E8%B3%87%E6%96%99%EF%BC%93%E3%80%91%E6%B5%B7%E6%B4%8B%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%83%81%E3%83%83%E3%82%AF%E5%95%8F%E9%A1%8C%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6.pdf)
2020/08/26アクセス
[3] 株式会社/一般社団法人ピリカ,2020,「『日本の河川・港湾・湖におけるマイクロプラスチック浮遊状況調査』及び『人工芝䛾流出源調査』レポート」
(https://drive.google.com/drive/u/0/folders/11mTGZwQ7AXVpufAZc7lSWP6Lfc2KlOAU)
2020/08/26アクセス
[4] NHK NEWS WEB,2020,「レジ袋辞退率 大手コンビニ3社で70%超 有料化前と比べ大幅増」
(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200803/k10012547971000.html)
2020/08/26アクセス




