キャンパス見学
恋愛ものは慣れておらず、手探りで書いてます。
アドバイス等ありましたら感想をいただきたいです。
また、低評価でも構いませんので、評価をいただけると大変助かります。
A大学のキャンパスは俺の家から歩いて15分程度のところにあった。
「わぁ受験以来だ」
詩織がはしゃいだように声をあげる。
「受験の時は緊張して周りが見えていなかったけど、こんなに広かったんか」
俺も少しびっくりした。
中心に大きな講堂があり。それを取り囲むように建物が密集している。
建物は奥まで続いており、その向こうには大きなグラウンドがあった。
講堂に行くまでの一本道には、部活やサークルの勧誘が行われている。
部活やサークルのユニフォームを着た運動部系の団体が張り切ってビラを配っている。
文化系団体も、体育会系に負けじと勧誘をしている。
「ゆうちゃんはサークル決めた?」
勧誘のチラシを次々と受けとりながら詩織が聞く。
「軟式野球サークルとなんかもう一つ入るつもり」
野球部だったから、大学でも野球をしようと思っていた。
でも、部活はきついからサークル入ることにした。
野球サークルはいくつかあるため、新歓について行ったり、チラシを見て決めようと思う。
「私は女子ソフトだから同じグランドになるかもね」
詩織は高校と同じと同じ女子ソフトサークルに入るようだ。
大学のことだろうから、きっとグラウンドはたくさんある。
同じグラウンドにはならないと思うが。
「あれ?もしかして詩織?」
チラシを配っていた女性が、驚いたように詩織の名前を呼んだ。
「え?あ!日向先輩!!」
少し、記憶を探るように考えた後、詩織は目を見開いて言った。
「うそ!ほんとに詩織だ!!A大学に来たんや」
その女性は嬉しそうに詩織に抱きつく。いい光景だ。
「私も日向先輩がいたなんてびっくり!」
詩織も嬉しそうに女性を抱きしめる。うん、いい光景だ。
「ええ~めっちゃ嬉しいんやけど!積もる話もあるから、今度ケーキ食べに行こう!」
「いいですね!」
俺は隣で気配を殺していた。
連れの知り合いが連れと話している間、俺はどのような顔をすればいいのだろうか。
高校では習ってないぞこんなこと。
「そうそう、私は法律サークルの勧誘をしているんだけれど、詩織は興味ない?」
女性はビラを詩織に見せる。
法学部か。俺の先輩やん。
「私は経済学部なのでちょっと…」
詩織は申し訳なさそうに言って、俺をチラリと見る。
「でも、ゆうちゃんは法学部なので興味あるかも」
女性はようやくこっちを向いた。なかなかの美人だ。
「はじめまして!詩織の高校の先輩だった桜井日向です」
前も言ったかもしれないが、男子校出身者は一周回って女性と話せる。
公園で急に話しかけてくるコミュ力が高い爺さんと普通に話せるのと同じだ。
「えっと、詩織の昔の友達の山田裕太です」
詩織が隣から口をはさむ。
「私の幼馴染です」
「馴染んではないやろ」
小中高が違う幼馴染なんているか。
日向さんは俺をじっと見て、チラシを見せた。繰り返すがなかなかの美人だ。
「山田君、どうかな?法律サークル。興味ない?」
もともと、体育系と文化系のサークルに入ろうと思っていた。
一年では法学部でも法律の勉強をあまりしないらしいから、サークルで勉強するのも悪くないかもしれない。
「少し興味があるのでチラシいただいて帰ります」
そう答えると日向さんは嬉しそうにチラシをくれた。
「ありがとう!じゃあ詩織またね!」
そのあと、いくつかのサークルのチラシを受け取った後、キャンパスを見学した。
帰りながら、詩織がうれしそうに呟く。
「まさか、日向先輩A大学だったなんて」
「お前の高校からは珍しくないんじゃないか」
「でも、こうやって会えるなんて思っていなかったからびっくりだよ」
「日向先輩は同じソフト部だったんだ~」
運動部とは意外だ。アニメとかではバリバリの生徒会長やっていそうだが。
「へえ~あまり運動部には見えなかったけどな」
「ソフトは高校で辞めたっぽいね。成績もめちゃくちゃよかったんだよ」
文武両道か。完璧だな。
「しかも美人だし」
詩織の口は止まらない。
「大学が始まるのホントに楽しみになってきた!」
「それは良かったな」
そうこうしているうちに、詩織のアパートについた。
「今日はありがとう!」
詩織が入り口の前で振り帰っていった。
「ああ、お疲れ。確認やけど入学式は明後日だよな」
「うん!」
危ない危ない、明日は友達と飯の約束だった。
「オッケー、じゃあな」
家に帰る途中、日向さんとの会話を振り返っていた。
女子、しかもあんな美人と普通にしゃべれるなんて、
感動した。俺は今、猛烈に感動している。
今日初めて、男子校を卒業したという事実を実感した。
ヤバイ
これから女子が当たり前にいる大学生活が幕を開ける。
俺は感涙にむせびながら家まで駆けていった。