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男子校出身の俺にとって、青春はやはり大学にあった   作者: ホーリョ
男子校出身の俺にとって、青春はやはり大学にあった
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夏祭り

いよいよ期末テスト期間に入った。


授業も部活も活動を停止し、勉強に集中しなければならない。


俺は京子や陽子といった法律研究会の部員たちと過去問を中心に勉強した。


京子や陽子は勉強中は真面目だが、終わって図書館からの帰りに二人きりになると、日向先輩との進展を聞いてくる野次馬と化した。


といっても、法律研究会の活動もないし、先輩とは今のところあまり会っていなかった。


そしてなんとか、夏休みに日向先輩と遊ぶことをモチベーションにしてテストを乗り切ることができ

た。


初日、二日目はクラスのみんなと打ち上げに徹夜カラオケに行き、C学園東京組とも久しぶりに焼肉行くなど充実したスタートを切る。


それから、待ちに待った日向先輩とのデートに何度か行った。


恋人になったからどう、というわけでもなく。いつも通りの関係だ。


あまり、ベタベタなるのは好きではない。


しかし、相手が日向先輩となると話は別だ。


そうは言うものの、心底惚れている日向先輩に無様な格好を見せないように必死だった。



8月中旬にテストが終わり、9月からしばらく帰省するため、8月末に用事が集中する。



今日は8月末の夏祭りに二人で行った。


一般人にとっては休みの終わりを示す花火だが、大学生にとっては始まりを示すものだ。


「お待たせしました」


「ううん、大丈夫」


振り向いた日向は深い青の浴衣に身を包んでいた。


「日向先輩、えっと、その、着てる浴衣とても綺麗です」


ぎこちなく褒める。


先輩があまりに綺麗すぎて童貞になってしまった。童貞だけど。


「ありがとう。レンタルしてきたの」


日向先輩はくるっと回って見せた。そのしぐさ一つ一つがかわいい。


「ほら、早くしないと花火始まっちゃう」


先輩のゼミがあったため、待ち合わせがギリギリになってしまったのだ。


それなのに浴衣を着てくれた先輩に感謝だ。


「すごい人ですね」


東京は人が相変わらず多い。


真っ暗で野外だからいいけど、そうでなければ人酔いするところだった。


「うん、今まで遠くで見てるばかりだったから新鮮」


途中で買った焼き鳥を二人で食べながら、始まった花火を見ていた。


俺は大げさだが、生きている実感がしていた。


中高は勉強と部活でいっぱいいっぱいで、こんな時でも頭の片隅でしなければいけないことを考えていた。


ゆっくりと花火を見ている今、自分が大学生になったことを改めて実感する。


隣にこんなに綺麗な彼女もいるし。


二人はしばらく無言で花火を見つめていた。


ハート形の花火、カラフルな花火、漆黒の夜空に散る火花は瞳にしっかりと焼き付く。


花火も終盤になり、大きな花火が次々と上がる。


俺は、ふと、本当に何気なく、横を見る。


日向先輩の綺麗な横顔は花火にくぎ付けだった。


「日向先輩」


「ん?」


日向先輩がこちらを向く。


先輩の左の頬には、花火の光が反射して青く光る。


「好きです」


言葉にできない愛しさを、なんとかまとめて言う。


「うん、私も好きだよ」


日向先輩が微笑んだ。


そのまま、俺たちは数秒間見つめあう。


そして、そのまま唇を重ねた。



花火はクライマックスで連発しているはずなのに、何も聞こえない。


そこは時間が止まったかのような無音の世界。


俺のファーストキスは、少し焼き鳥の塩でしょっぱかった。



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