告白5
「好きです。俺の彼女になってください」
目の前の裕太が真剣な目をして私の目を見る。
まさか告白されるとは思っていなかった。
彼が私のことを好きでいることは気づいていたが、詩織や他の女の子とも仲が良く、こんなに早く私に好意を伝えてくるのは予想外すぎた。
私が裕太と付き合ったら詩織はどう思うだろう。あの子が一人ぼっちになってしまう恐れがあった。
「ありがとう。でも、ごめんなさい」
これまで、何度か言ってきた言葉を口にする。
だが、これまでとは違った苦しさがあった。
私は裕太に少しずつ惹かれている。決して飾らないところ、素直なところ、優しいところ。
でも、詩織には裕太が必要だ。
私にとって裕太以上に詩織が大切な後輩だった。
詩織の心が納得するまで、自分の気持ちは封印しようと思っていた。
もし、詩織が諦めるかして、裕太への想いを断ち切っていたら、私は頷いていただろう。
だが、今回はタイミングが悪かった。
「……好きです」
裕太は諦めずに言ってくる。
「…うん」
「大好きです」
「…うん」
真摯に告白する裕太に好感を持ちつつ、胸が張り裂けるような思いで返事をし続けた。
「日向先輩、俺じゃダメですか?」
「詩織に悪いよ」
ごめんなさい、あなたのことも好きだけど、今の私は詩織の方が大事なの。
「俺は日向先輩に聞いているんです」
わかってる。悪いのは私。あなたの一所懸命な告白を誤魔化そうとしている私。
「日向先輩が俺のこと眼中にないのはわかってます。でも、絶対振り向かせてみせるから、後悔なんてさせないから、だから俺の彼女になってください」
裕太の言葉に思わずドキッとする。
「裕太くんはすごいな」
そんな告白されたことがない。
本当に口がうまいんだから。
そんなに一生懸命に見つめてこられたら。
だめ、詩織が悲しむ。本気になったらダメ、本気になったらダメ。
「裕太くんは私のどんなところが好きになったの?」
「最初は綺麗な人だなって思って近づきました」
「それは知ってる」
私は苦笑した。
今まで告白してきた人はみんなそうだ。
付け足したかのように内面を触れる人もいたが、私の顔が醜かったらきっと告白してこなかっただろう。今までの経験から、男からの目線に対しては私は少し卑屈になってしまう。
「でも、今はわからないです」
「わからない?」
裕太の言葉に思わず聞き返す。
「別に採点しながら好きになるわけじゃないし。日向先輩の好きなところはよくわからないです。でも間違いなく確かなことは、俺はあなたのことが好きだということだけです」
私は息をのんだ。
優しいところが好き、顔がタイプ、そんな告白をされるたびに私は心で毒を吐いた。じゃあ性格が変わったら?事故で顔に傷が付いたら?あなたは私から去っていくんでしょ?
私の好きなところはよくわからない。裕太の言った言葉は、私がこの人生で求め続けていた言葉だった。ただ、この人は私を無条件で好きなんだな。
とくん
私は心から安心感を覚えた。いや、これは恋に落ちる音だったのかもしれない。
「裕太くん」
「はい」
裕太が綺麗な目で私を見る。
夢中になったのは私の方だったのね
「私もあなたのことが好き」
いつも聞く側だった言葉。
言ったことがないので少し緊張して震えた。
「私を、彼女にしてください」




